※この記事は2014年12月05日にBLOGOSで公開されたものです

4日、外国特派員協会で生活の党代表・小沢一郎氏が会見を開いた。

小沢氏は、アベノミクスによって雇用・労働分野で課題が生じているとし、農林水産業も含めたセーフティーネットの充実の必要性を訴えている。今回の総選挙についても「アベノミクスは自由競争優先させる、それによって、私はその結果は国民生活を破壊し、国の将来を誤るものだと、そう思っております。今回の争点は国民の生活を第一として考えていくか、安倍さんの言うように、"強いところをどんどん伸ばしていく、国民の生活はその後で"、という経済政策を進めていくか、そういうところが争点だと思います。」と指摘した。

写真一覧
ー安倍首相の政治思想について、どう考えているか。

小沢氏:小沢氏:ごくわかりやすく言いますと戦後体制に疑問を投げかけれうあるいは否定する、ということになると思います。ですから、いつも問題になりますが、歴史認識についても、あるいは極東軍事裁判につきましても、安倍さんは常に曖昧な言葉で答えを濁しています。

ー与党の優勢が報じられているが、野党はどうすれば躍進できると思うか。

小沢氏:野党が、何党だ、何党だ俺の党だ他人の党だと、そういうことを言っている限り、政権は取れないと思います。ですからこのままの状態が続けば、新55年体制ではないかと言ったこともあります。しかし、今の安倍内閣に、非常に不満を持ち、批判をしている人たちは、大変国民の中に多いと思います。

ですから、私もずっと言い続けてきたんですけれども、大きな基本の問題の一致はもちろん必要ですけれども、自民党に代わる、野党の政権担当できる受け皿をみんなで力を合わせて一つの受け皿を作れば、例えばこの選挙でも、国民は安倍政 権ではなく、野党の統一体を選んだと思います。残念ながら今回はできませんでしたので、新聞・テレビで報道されるような、当然の結果になるのだろうと思います。

ー1993年に「日本改造計画」という本を書かれた。現状を見て、新しい本を書く計画はあるか。

小沢氏:私が「日本改造計画」を世に出しました時、私は日本の霞ヶ関のいわゆる行政、国の統治、霞ヶ関支配、これ自体をやはり根本的に変えないといけないだろうという、個々の政策の前提として考えておりました。

これは短期間で言えば戦後強大になった官僚機構ですし、長く言えば明治以来の行政の機構ですから、そう簡単には転換、大改革というのはできないんですけれども、考え方としては、今なお私はそれをやらなけれな根本的な日本の体質にメスを入れることはできない、そう思っています。

ただ、そう言っても、私は官僚を否定しているわけではありません。ただ、特に国の官僚は国家的レベルで考えて仕事をすべきだ、国会議員もやはり同様に、国家レベルのことでそれを前提として政治活動しなくてはいけない、そういう意味で申し上げているだけです。

その意味で、予算も、地方に関係することは、これは医療や介護も、地方の役割なんですけれども、いろんな問題につきましては、地方に全部お金もやり、権限もやり、地方の知恵と努力によってやらせるべきであると。その中から、大変大きな無駄を省くことができると。今、補助金や政策の経費でもって50兆円から60兆円の予算があります。
ですから、今言った、地方のことは地方でという大改革をするならば、そこから2割、3割の無駄を省くことができると。それは一挙両得だと思います。

もちろん、中央の政府についてはスリムにすることなんですが、それと同時に、日本は憲法以下どの法律にも、行政にも、危機管理・非常事態のシステムは全くありません。その一事を取ってみても、スリムではあるけれども、強力な中央政府を私はイメージしております。

続編を書こうと思って原稿かなり書いておりますけれども、今はまだ出版するタイミングではないので、そのままにしております。

ー世論調査によれば、国民の多くは、なぜ衆議院が解散し、総選挙になったのか理解できていない。一方、与党の優勢が伝えられている。これは相反する状況ではないか。なぜ日本ではこういう状態が続くのか。

小沢氏:日本人の意識というか、ある意味、外国の皆さんにはちょっと理解できないかもしれません。例えば安倍さんの政治的なスタンス。あるいはアベノミクスと呼ばれる経済政策。誰も良いと思っていないんです。世論調査をすると大部分の人がノーなんですね。

ところが安倍内閣を支持するとか、あるいは選挙は、これはさっき言ったように、野党の責任が非常に大きいんですけれども、政権を代わって担当する政党がないということで、自民党が結果的に勝つということなんです。

私は、日本人はもっともっと積極的に自己主張し、その自分の考えにもとづいて行動する。これは何十年も前から言っていることですが、自立した個人個人にならないと、日本の民主主義は定着しないということで、みなさんが疑問を持つということに、私も本当にそういうことを心配している一人です。

ー小沢さんは今72歳。80歳、85歳までやるとしても、あと2回くらいは仕掛けるチャンスがあると思う。もう一度、2009年のような興奮を作り出す余力はあるか。

小沢氏:まあ私、今まであまりにも色々なことがありましたので、結構くたびれてますし、年も取ってきましたので(笑)、そういうご質問をいただくと何と答えていいかわからないのですが、しかしながら私が長期政権の自民党を離党して、そして今日まで、ある意味で苦労を重ねながら参りましたのは、なんとしても日本に議会制民主主義を定着させないなければいけないと。
そのためには、少なくとも二大政党、政権を担当できる政党を最低2つは作らなければいけない、そういうことで政治が切磋琢磨して、与党・野党の中でより良い政治を目指していく。まさにそれが民主主義の最大の機能だ思っておりまして、私はこれを生涯の目標にいたしておりますので、80まで、85までやれるかどうかは別として(笑い)、もうしばらく、なんとか、その実現を見るまで、もう少し頑張りたいと思っています。

■関連記事
・【全文】各党党首が答えた経済、安全保障政策、ユーザーの疑問…「ネット党首討論」書き起こし
・【速報・書き起こし】公示日の0時に合わせ、各党代表がネット上で「第一声」
・「生活の党」関連記事一覧