※この記事は2014年11月30日にBLOGOSで公開されたものです

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29日夜、衆院選の公示を前に8党の代表が一堂に会し、「ネット党首討論」が行われた。番組のリアルタイム視聴者数は、ニコニコ生放送、Ustreamあわせて20万人が視聴した。 この模様を書き起こしでお伝えする。(前編はこちらから→ ネット党首討論」書き起こし・前編)

「集団的自衛権行使容認」閣議決定をどう見るか

角谷:経済政策は様々な側面がありますけれども、これで時間の都合上終わらせていただきたいと思います。続いての討論はこちらのテーマです。「安全保障政策」です。これは討論の皮切りに、今度は社民党党首の吉田さんからスタートしてもらいましょう。吉田さん、お願いします。

社民党・吉田:7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定は、私は撤回すべきだと思っております。その閣議決定の眼目は大きく2つありまして、1つは限定的な集団的自衛権の行使ということでございますが。数少ない国会の議論の中でも、限定的では済まないということは明らかになっております。

もう1つが、いわゆる「武力行使との一体化論」の緩和。現に戦闘が行われていなければ、海外での後方支援を可能にするということでありますから、これはアメリカと一緒に戦争に巻き込まれる可能性も出てくる。そして、集団的自衛権行使容認の閣議決定の、そもそもの内容は、1981年の「集団的自衛権の行使容認はできない」という文脈の中で、それを改ざんしたもの。「当てはめ」と、言ったそうでありますけれども。非常に曖昧な形での閣議決定になっております。したがって、自民党と公明党でも解釈が分かれる。あるいは政府部内でも、内閣法制局と外務省で綱引きが生まれている。そして曖昧な閣議決定は撤回すべきだと思っています。

角谷:ありがとうございます。安全保障政策ですけれども、皆さんから活発なご議論いただきたいと思いますけれども。では、安倍さんからいきます。

自民党・安倍:今年7月1日の閣議決定というのは、まさに日本人の命と、そして幸せな暮らしを守るための閣議決定であります。いわゆる集団的自衛権の行使容認、一部を認めたのは、例えば、国の存立が危うくなり、自由や民主主義、生存権といったこの権利が、根底から覆されるおそれのあるとき、明白なおそれのあるのあるときに行うというものでありました。

そういうときに、日本の持っている権利を行使しないのは、むしろそれは怠慢であろうと、このように思っております。近隣諸国で動乱があって、そこから逃れようとしてくる日本人を輸送している米艦を、はたして自衛艦が守らなくて良いのかどうか。そういう現実の問題であります。そのための閣議決定であると。当然、それに基づく法制、来年の通常国会で行なっていきたいと思っています。

角谷:では志位さん、いきましょう。

共産党・志位:集団的自衛権行使の現実の危険がどこにあるか。国会論戦を通じてですね、2001年のアフガニスタン戦争、2003年のイラク戦争のような戦争をアメリカが起こした際に、自衛隊が従来の戦闘地域まで行って軍事活動をすることになる。こういうことを総理はお認めになりました。で、自衛隊が攻撃されたら、武器の使用をすることになる。このこともお認めになった。

ですから、集団的自衛権行使とはですね、日本の国を守ることでも日本の国民の命を守ることでもない。アフガン、イラク戦争のような戦争で、米軍と自衛隊が肩を並べて戦争をする。海外で戦争をする国づくりだということは国会論戦ではっきりしたと思います。私たちは、憲法9条を破壊するような、集団的自衛権の行使容認の閣議決定の撤回を求めます。国民の目、耳、口を塞いでですね、戦争に動員する秘密保護法は、きっぱり廃止にということを求めていきたいと思います。

角谷:平沼さん、いきましょうか。

次世代の党・平沼:私どもはですね、やはり憲法解釈によって集団的自衛権というものは必要だと。こういうことで党も意思を決定しているわけであります。憲法の前文にあるように「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」する。現実の世界では、そんなものはありません。

ですから、何でも戦争に巻き込まれるから、アメリカの戦争に巻き込まれるから危険だと。こういうことじゃなくて、要は日本国として絶対に侵略戦争はしない、そういう形で安全と平和を、いわゆる軍国主義になるという形じゃなくて、しっかりと担保していく。こういう姿勢が私は必要だと、このように思います。

角谷:小沢さん、いきましょう。

生活の党・小沢:日本の安全は日米同盟と、そして大きくは国連の平和機能、この2つによって平和を守っていくべきだと思います。それぞれの国は集団的であれ、個別的であれ、自衛権を持っているということは、国連憲章にも書いてありまして。私は日本国憲法も同じ解釈だと思います。ただし、日本国憲法で違うのは、第9条がありますから。これは日本の国が直接攻撃されたりなんかしたときじゃない、その他の国際紛争については国権の発動たる武力の行使はいけない。ということになっておりますので、この憲法9条の趣旨を単に閣議決定で変えられるものではないというふうに思います。したがって、一般的な集団的自衛権の行使はやはり、それをしたいということであれば、憲法の改正を主張すべきだと思います。

角谷:はい。山口さん。

公明党・山口:集団的自衛権というのは憲法にはどこにも書いておりません。今回の解釈ではあくまで憲法の考え方をはっきりと示したものでありまして、国際法でいうところの集団的自衛権のことを議論したわけではありません。この憲法の解釈は長年、政府の採ってきた基本の枠内で今回、確定したものであります。他国に対する武力攻撃があった場合も、我が国が自衛権を行使できることを明記しましたけれども、その条件は「日本の国民の自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に限っております。

で、この明白な危険がある場合というのは「我が国に戦火が及ぶ蓋然性、日本の国民がこうむる犠牲が深刻かつ重大である」場合。これを客観的、合理的に判断する。こういう考え方を採っているわけでありますので、これまでの論理的な整合性と憲法の歯止めはしっかり守られているし、これからも改正をしなければ変えることができない、そういう解釈を確定しました。

角谷:江田さんからいきましょう。

維新の党・江田:我々、維新の党、結党した9月の時点で自衛権の範囲の明確化ということで統一見解を出しました。我々は、他国攻撃であれ、自国攻撃であれ、その結果、国民の生命、財産に重大な危害、戦火が及ぶ場合には、自衛権を行使するのは憲法9条によってなんら禁止されていないという立場です。

いずれにせよ、国際法的にはニカラグア判決に見られるように、自国を防衛する権利が個別的自衛権。そして他国を防衛する権利が集団的自衛権です。しかしこの、個別的、集団的のこの範疇、この外縁の部分が重なりあってきた。総体化されてきた。したがいまして、我々が認めるのはあくまでも47年見解の延長線上の、この個別的自衛権にあたる、しかし、一方から見れば集団的といって良いようなケースを限定的に認めるというのが、今回の我々の統一見解の趣旨でございます。

角谷:海江田さん、いきましょうか。

民主党・海江田:今、国民が何を一番心配をしているかというと、実は尖閣の問題であり、そして小笠原の問題なんですよ。で、これは我が国の領土と領海の問題なんですよ。ですから私たちは、この、まず我が国の領土、領海、そして領空もそうですが、これをしっかり守るということで、領域警備法という法律を作りました。これは個別的自衛権の問題ですが、今一番、近々の問題であり、多くの国民が心配しているのはこの点です。

そして、集団的自衛権の問題、今もお話ありました。これは我が国に対する直接的な攻撃じゃないんですよ。他国に対する攻撃でありますから、その意味では、まずしっかり国民の間で議論をしなければいけない。その議論が決定的に不足をしています。特に7月1日の閣議決定というのは、そうした議論をしないまま、国会が閉じられた後にですね、それを閣議決定しているわけですから。こうしたやり方というのは、これはやはり、おかしいということで、私たちはこの閣議決定は撤回すべきだということを主張しています。

角谷:安倍さん。

自民党・安倍:先ほど志位さんが、まるでアフガン戦争やイラク戦争に自衛隊が参加をするかのごときの発言をされましたが、そんなことはないということは、再三、国会で私は発言している通りであります。言わば、武力行使を目的とした戦闘行為に参加することはありません。ですから、例えば、かつてのベトナム戦争や、アフガン戦争や、湾岸戦争や、イラク戦争に、そうした戦闘行為に参加することはないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。

日本の平和国家としての歩みは、まったく変わることはありません。もちろん、日本の領土、領海、しっかりと守っていかなければいけません。領空もそうです。しかし世界中で日本人は活躍をしている中において、いろんなことが発生した際ですね、しっかりと守っていくその責任を果たしていく。今、世界中で一国で自分の国を守れる国はありません。日本においては日米同盟をきっちりと維持をしながら絆を強めて守っていきたい。守っていかなければならないと思います。

角谷:じゃあ、志位さん。

共産党・志位:今あの、総理から反論があったんですがね。私は安倍さんと国会の予算委員会で論戦しました。で、アフガニスタン戦争、イラク戦争のときに自衛隊を派兵しました。しかし、そのときは「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」2つの歯止めがあったんですね。これを残すんですか、残さないんですか。安倍さんに聞きました。残すと言わなかった。で、結局ですね、戦闘地域まで行くことになるんではないか。これは明らかになりました。そうしますとね、攻撃されることになる。「攻撃されたどうするんですか?」私たちは聞きました。武器の使用をすると。任務遂行のための、あるいは自己防衛のための武器の使用をするとおっしゃいましたよ。

これはね、武器の使用をするということになりましたらね、これ戦闘が起こるんです。ですからね、アフガン戦争、イラク戦争のような戦闘に参加することはないと言うけど、実際、そうやって論を詰めていったら、戦闘に参加することになるっていうのは明らかになったというのがね、国会の論戦の到達点ですよ。これはごまかしちゃいけない。

角谷:じゃあ、安倍さん。お答えになりましょうか。

自民党・安倍:いわゆる、武力行使を目的とした戦闘行為には参加をしませんし、一般に海外派兵はしないということを明確にしています。アフガン戦争については、いわば給油活動をしていました。そしてイラク戦争については、戦闘行為が終わってから平和構築に我々は参加をしたわけであります。

そして、いわば後方支援。これはですね、集団的自衛権の行使の一部として行うものではありません。国際社会において国連決議があって、その中でどういう協力をしていこうかという中で行っていく行為であります。その中においても、武力行使を目的とした戦闘行為に参加することはありません。今までとの概念を整理して、今度は戦闘現場には行かないという、そういう現実的なラインをきっちりと引いているわけでありますから、志位さんが言っているようなことにはならないということは、はっきりと申し上げておきたいと思います。

角谷:小沢さん、いきましょう。

生活の党・小沢:安倍総理のお話にちょっと、異論を挟みたいんですけれども。湾岸戦争と、ベトナムやアフガンやイラク戦争を同列で論じておられますけれども。これはまったく性格の違うものだと思います。湾岸戦争のときは、安全保障理事会、国連の理事会であらゆる手段を講じてよろしいというお墨付きが出ております。その他は違います。

ですからそういう意味において、私はここははっきりと国連の認めた平和作戦に、維持作戦なのか。あるいはそうでない、アメリカなどの特定の国が行なう軍事作戦なのか、そこは区別して考えなくてないけない。私はそう思います。それから、武力の行使で前線でドンパチするかしないかは別にしまして、後方支援、兵站線というのは昔から一番、武力行使では大事なとこなんです。ですからそれはまさに、一体なんです。ですから、その意味におきましても、私はここは認識をしっかりしていただきたいと思います。

角谷:山口さん。

公明党・山口:志位さんのお話はPKOと多国籍軍への後方支援を混同してるんですね。PKOは武力を使う活動ではありません。しかもこれは、受け入れる国々の同意が前提。また紛争当事者の同意も、別に求めて行なわれる活動ですから、基本的には武力が使われない。その中で、警察的な活動をする範囲で武器の使用を認めていこうという考え方を今回、はっきりさせたわけです。

また、多国籍軍の後方支援。これは従来から「武力行使と一体となる後方支援はやってはいけない」というのが、これまでの政府の考え方です。今回も「戦闘行為が行なわれている現場ではやってはならない」ということを決めたわけであります。そして、後方支援活動をやっている現場が、もし、戦闘行為の現場になりそうになったら辞める。休止して中断せよ、こういうことを決めたわけです。ですから、危険をいかに回避して後方支援の実を挙げるか。これからのやり方であります。

角谷:じゃあ志位さん、いきましょうか。

共産党・志位:総理はですね、武力行使を目的とした海外派兵はしないんだということをおっしゃいます。しかし、私が言ったのは、米軍の活動に対する兵站支援、後方支援といわれる活動ですが。それをですね、これまでは戦闘地域ではやってはならないという歯止めがあったわけですね。この歯止めなくなるわけですよ。で、戦闘現場ではやらないということをおっしゃいますけども、自衛隊が行った場所が戦闘現場になりうるということは、答弁で認めました。

そうしますと、やはり相手から攻撃されることになる。そこで戦闘が起こるってことを私は問題にしている。これはね、国会で詰めた議論やったわけです。そしてやはり、まさに自衛隊をそういう海外での戦闘に参加せることになる。ですから、ここを私たちは日本を殺し殺されるようなね、危険な国にしてはならないということで、閣議決定の撤回を求めてる一番の理由がここにあるわけです。

角谷:吉田さん、いきますか。

社民党・吉田:数少ない国会の議論の中で、総理は注目すべき発言を2つされています。ホルムズ海峡に機雷が撒かれて、原油を積んだタンカーが通れなくなって、日本経済に甚大な影響が及ぶ場合には機雷の掃海に行くと。それが1点。2つめは、日米同盟は死活的に重要な関係ですから、アメリカから集団的自衛権の行使を求められれば、その行使もありうる。この2つを言われております。

で、総理は何回も「アフガニスタンやイラクのような所に行って武力行使はしない」と言いますが、その歯止めがまったくないんです。総理がいくらそう言っても歯止めにならない。それをどういうふうに付けていくのか。そもそも、そういうことができませんから私たちは集団的自衛権行使容認の閣議決定は撤回すべきだ、専守防衛で今の解釈の中でやれることをやるべきだ、そのことを主張している。

角谷:安倍さん、いきましょう。

自民党・安倍:歯止めというのはですね、先ほど、山口代表がおっしゃったように「3要件」、明白な歯止めがあります。我が国の生存、あるいは様々な諸権利がですね、根底から覆される明白な危険がある際にしか行わないということであります。

また先ほど、志位さんがおっしゃいました。志位さんが例として挙げられたのは、繰り返しになりますが集団的自衛権の行使ではなく、集団安全保障の中で何をするか、ということでありますが。その際にも、先ほど申し上げましたように、戦闘行為に参加する、あるいは、武力行使をすることを目的に参加をすることはけっしてないということでありますし。もし戦闘現場になれば、直ちに撤退をするということは明白であります。そういう意味においては、ちゃんとラインは決まっている。歯止めは決まっているということは申し上げておきたい、このように思います。いずれにせよ、我々は日本人の命と幸せな暮らしを守るための、これは閣議決定であり、そしてこれから進めていく法整備はそのための法整備であります。

角谷:江田さん、いきましょうか。

維新の党・江田:確かに7月閣議決定、私も読みましたが、究極の官庁文学というか玉虫色決着で。あの何ページにも合わたる文書にで、集団的自衛権という言葉は1ヶ所しか出てこない。で、問題はもっと国会で議論させてくださいと。もっとそういう歯止めとかいろんな基準等をね、議論させていただきたいんですけれども、それはされてない中で、自民党、公明党の間にはですね、いわゆる集団安全保障への考え方、さらには、ホルムズ海峡の機雷掃海の考え方について違いがあるといわれています。

しかしこれはですね、我々野党はなんの自衛隊指揮命令権限も持ってません。与党というか官邸、安倍総理が持っておられる。その中で与党の立場に違いがあるということは、危機はいつ何時降りかかるか分かりませんし、それに対応するときに、それから議論しようじゃ困ります。その法案の整備とかが、まったく今、行なわれてない。この国会にも出てこなかった。そして来年の統一選だと。領域警備法のようなものは我々も作りましたけど、グレーゾーン対応の法案も出てこない。これは本当に残念なことだと思います。

角谷:山口さん、いきましょう。

公明党・山口:先ほど、小笠原の話がでましたけれども、これは尖閣の問題とは違います。領土の問題は関係しておりません。そして、外国の漁船がサンゴの密猟に来ましたけれども、中国船と思われるものが多かったですから、事前に中国側とやり取りをして、これは中国から見ても違法なことである。日中協力して取り締まりを強化する。こういう了解のもとに取り締まりを強化をする法律を、全党で一致してこれを作ったわけであります。一斉に海上保安庁と水産庁、これは警察権を行使して取り締まりを強化する。そういう枠組みの中で一斉取り締まりをしまして、外国漁船はゼロになりました。こういう実績をすでに生んでいるわけでありまして、自衛隊はここにはまったく関与しておりません。そういう解決が求められる場合があるということ。ここはよく見抜いていかなくてはならないと思います。

角谷:小沢さん、行きましょうか。

生活の党・小沢:紛争、戦争の個々の事例について、事前にいろいろ予測できるものではないと思います。ですから、私は自国が攻撃を受けたときには、それはもちろん、自衛権に基づいて反撃をするということは当然ですけれども。

他国の紛争については、たとえそれが後方支援であろうがなんであろうが。さっき申し上げましたように、後方支援というのは武力行使の最大の要因なんですね。要因といいますか大事なことなんですね。兵站線が続かなければ戦争はできないんですから。ですから後方支援がどうだとか危険性がどうだとかという仕分けのしかたではなくして、他国の紛争については、あくまでも国連の平和活動に日本は積極的に協力すると。そういう仕分けのしかたをすることが一番、明白だと私は思います。

角谷:海江田さん。

民主党・海江田:私は安倍総理の隣に座っていますと、安倍総理の発言がよく聞こえるんですね。この集団的自衛権の問題で「明白な危険がある場合」と「明白な危険のおそれがある場合」ということを、使い分けをしているんですよ、実は。で、もちろん言うまでもありませんけれども、閣議決定の中では「明白な危険のおそれがある」というとこですから、ここは1つ曖昧だということです。

それからさっき江田さんからお話ありましたけれども、与党の公明党と自民党の間で、今まさに選挙の協同公約というものを作っているわけですが、じゃあこの集団的自衛権の問題について、ちゃんと協同的な公約ができているのかというと、私はできてないと思うんですね。まさにこの政権与党の両党で、しかもこれからちゃんと法整備をするんだ、法律を国会に出してくるんだというときに、与党がどういうスタンスなのかということを、これははっきりさしてもらわなければいけないわけですから。その点はぜひ、お聞かせをいただきたいと思います。

角谷:じゃあ、山口さん。

公明党・山口:先ほどの「明白な危険があるかどうか」については7月14、15日の予算委員会集中審議で内閣法制局長官の答弁と、安倍総理の答弁は一致しております。「明白な危険があるかどうか」というのは「我が国に戦火が及ぶ蓋然性、そして我が国の国民のこうむることとなる犠牲の深刻性、重大性。これを客観的、合理的に判断をする」。こうやって答弁をしているわけです。

そしてまた「他国に対する攻撃があった場合においても、我が国に攻撃があった場合と同様の、国民に対する被害の深刻性、重大性があった場合である」。これも一致した答弁になっているわけなんです。ここが大切な部分でありまして、これをもとに、これから安全保障の法的整備をやろう。ここは与党として一致しておりますので、ご心配なく、これから丁寧に議論を進めたいと思います。

角谷:これで最後の質問になります。じゃあ、志位さんで終わります。

共産党・志位:総理がですね、歯止めがあるんだということをおっしゃいました。しかしね、これまでの政府の見解というのは、日本が武力行使できるのは「日本に対する急迫不正の主権侵害があった場合」だけだと。発生した場合だけだと。それ以外の武力の行使、つまり一般に海外での武力の行使はできませんと。これが政府の見解だったわけですね。これを変えちゃってるわけですよ。この歯止めを外したわけです。

ですから先ほど言ったように、湾岸戦争やイラク戦争の場合も、これまでは武力行使をしてはならない、戦闘地域に行ってはならない、この歯止めはあったわけですけど、この2つの歯止めは外れてしまっている。歯止めを外して海外への戦争への道を開くのが、今行なわれていることの本質だと思います。

角谷:ここで。じゃあ一言だけ、大変短くお願いします。

自民党・安倍:先ほど山口代表が述べられたことで、すべては尽きているんですが。自民党と公明党、まったく一致をしております。でなければ、閣議決定ができない。これをはっきり言います。そして、山口代表がおっしゃったようにですね、まさに「我が国に対する侵略、侵害と同じ規模の侵略と同じ規模の被害を受ける場合」でなければ、集団的自衛権の一部行使は行なわない。武力行使は行なわないということははっきりしていると。これほどの歯止めは世界中ではないだろう、このように思いますよ。

各党首がユーザーからの疑問に答える

角谷:ありがとうございます。安全保障政策について、各党の皆さんでご議論いただきました。さて、テーマ別はこのへんで終わります。続いてはこちらの、ユーザーの皆さんからの企画というふうになります。各党代表ユーザー指名質問というものがあります。事前にユーザーの皆さんから、各党の代表に聞いてみたいことを募集しました。それに答えていただきたいというふうに思います。

なお、質問は番組中にユーザーの皆さんへアンケートを行って、決定したものを採用するということになっております。よろしくお願いします。この企画は討議ではありません。質問には党の代表としてお答えいただくというふうな、個別のものになります。よろしくお願いします。では、順番にいきます。まずは、安倍総裁への質問はこちらです。「10年後、世界のパワーバランスはどのようになっていると予測しますか。アメリカの一極体制は崩壊しかけており、今のままの日米同盟では日本は守れないと思います」という、大阪の20代の男性からです。安倍さん、お答えください。

自民党・安倍:おそらく10年後であればですね、軍事力においても、経済においても、ソフトパワーにおいても、まだアメリカは圧倒的な力は持っているんだろうと。ただ、その段階で、世界中がどうなってくるか。中国の台頭もあります。だからこそ日米同盟はきっちりとですね、絆を強くして強化をしていく必要があります。それと同時に、今すでに、日豪の関係、日印の関係においても同盟に近い関係を構築しております。海軍同士のですね、海軍と海上自衛隊の合同演習も行っています。

そして、防衛担当大臣と外務大臣、いわゆる「ツープラスツー」の会合も持っている。ロシアともスタートしました。また、日・ASEANのですね、防衛担当会合。初めてですね、今年行うことができました。こういう形でマルチのネットワークを張り巡らしながら、日本の安全を確保していきたい。そして、日本のソフトパワーもしっかりと強化をしていきたいと思います。そういう中で日本の国益を守ってまいります。

角谷:ありがとうございます。では続いては、海江田さんへの質問。「民主党政権時代の民主党に点数をつけると100点満点中、何点でしょうか。民主党政権時の総括はきちんとされているんでしょうか」という、東京都の50代の男性です。

民主党・海江田:まあ、100点満点で何点かということは、私はつけません。これは、まさに国民の皆さまが決めていただくことだからです。ただ、民主党の政権担当時代、3年3ヶ月。総括はやっております。やりました。今もやっている途中ですけれども。やっぱりいくつか、この民主党が1回、政権に就きながら、その政権の座を転がり落ちたということには理由があります。

そのやっぱり1番大きな理由というのは、民主党が政権与党にありながらバラバラだったじゃないかということです。ですから私はその意味では、民主党のバラバラ感を克服するために一生懸命努力をしまして、そして今は本当に一丸となって今度の選挙に向かっています。消費税の問題もそうです。集団的自衛権の閣議決定の問題もそうです。それから原子力発電所のエネルギーの問題もそうです。民主党は2030年代に原発ゼロを目指すということを、これ全体で決めています。そういう形で1つ1つ民主党が一丸となって、そしてやっぱり今、自民党の政治に対してしっかり対峙をしていかなければいけないというふうに思います。

角谷:続いては維新の党の江田さんへの質問です。「なぜ今、野党再編が必要なのでしょうか。再編ではなく、前回の選挙のように維新が単独で第三極を取りにいかないのでしょうか」という、東京都20代の男性の質問です。お答えください。

維新の党・江田:今「一強多弱」といわれますね。巨大与党があって、我々、与党はバラバラで弱小政党だとですね、本当に緊張感のない、慢心の政治を生むんですね。その典型が、4月増税をしておきながらですね、5月、国会議員の歳費2割カットを元に戻してしまう。国家公務員の7.8%カットも元に戻してしまうと。こういうことなんですね。

私も自民党がすべて悪いと言うつもりはありません。しかしこの自民党に対抗しうる、政権交代可能な1大勢力を作って、お互いが切磋琢磨し競争しなければ、国民本位の政治はできません。民間だって競争があるから、良い製品、サービスが生まれるんですね。ですから、ぜひとも野党再編。これは私の政治家としての原点でもございますから。あくまでも政治理念、基本政策の一致が大前提です。そういう軸で私はみんなの党、結いの党、維新の党を作りましたから。ぜひとも更なるですね、自民党に対抗しうる1大勢力作りを目指して頑張っていきたいというふうに思っております。

角谷:続いては、公明党の山口代表への質問です。「消費増税の影響で、7月から9月期のGDP成長率はマイナスでした。この結果が出た以上、どうやって10%に上げるのかを考えるのではなく、まずは8%にあげたことの是非を検証すべきではないか」という、長野の40代の男性からです。山口さん、お願いします。

公明党・山口:はい。これは公明党が野党のとき、自由民主党も野党でしたが。民主党の提案を受け入れて3党で合意をいたしました。中長期的な視野で社会保障を維持、強化する。そして、その安定財源として消費税を確保する。さらにその結果として、財政健全化がなされていくと。こうした見通しをもって、消費税の税率引き上げの時期を2段階で法律で決めたわけであります。

しかし「時の経済状況を見極めて政権が判断をする」という景気条項もいれました。それにしたがって昨年、安倍総理が8%引き上げを決断されたわけでありますが、そのときの状況ではアベノミクスの成果が上がって、経済状況を見た上でも8%引き上げは妥当であったと、こういう大方の見方だったと思います。しかし、いろいろな8%のマイナスの影響を克服して、これからもそれを…。やり遂げていきたいと思います。

角谷:はい、分かりました。続いては、平沼さんへの質問です。「次世代の党は、政権公約で自主憲法の制定を掲げていますが、具体的に現在の憲法をどう変えるのがベストだとお考えですか」という、東京都20代の女性からです。お願いします。

次世代の党・平沼:今の憲法というのは、どんなことを言っても戦勝国のアメリカが強権でもって日本に押し付けてきた憲法です。したがって前文も非常に不自然ですし、9条にも私は問題があると思いますし。第3章の「国民の権利及び義務」、これにも大きな問題があると思います。そういう意味で我々は、自主憲法を制定をしたい。こういう勢力ですから、同じ考えの人たちと協力しあって、国民の皆さま方に、どこが違うのかということを明確に知っておいていただいて、そして改正に全面的に取り組んでいきたい。このように思っているわけであります。

角谷:続いては、志位さんですね。「日本共産党が最終的に目指すのは、どこなんでしょうか。資本主義社会の打倒ですか。社会主義、共産主義社会の実現ですか」という、長野の20代の男性からの質問です。志位さん、お願いします。

共産党・志位:私たちは共産党ですから、人類の社会は資本主義で終わりではない。社会主義、共産主義に進むという展望を持っています。ただ、2つの点を強調しておきたいと思います。1つはですね、日本が直面している改革の課題というのは資本主義のまず枠内で、異常なアメリカいいなり、あるいは財界中心の政治を改革して、国民が主人公の民主主義の日本を作るということにあります。これをやり遂げた上で、国民多数の合意で未来の社会に進んでいくというのが1つです。

もう1つはですね、あの崩壊した旧ソ連のような、国民を抑圧し、他の国を侵略するような体制というのは、これは社会主義でもなんでもない。こういう暴圧の再現は絶対に許さないというのが私たちの立場です。資本主義の時代に作られた自由や民主主義のあらゆる制度は、全部豊かに継承的に発展し、人間の自由、人間の開放、これが本当に花開く。そういう社会を私たちは目指しております。

角谷:続いては、小沢さんへの質問です。「衆院選の直前に議員や前議員の離党を容認し、数人が他党から出馬することになりました。離党を容認したのには何か狙いがあるのでしょうか」という、栃木の30代の男性からです。お願いします。

生活の党・小沢:特別な狙いはございません。ただ私は、今回のこの選挙もそうですが、野党が一体として力を合わせて自公と選挙戦を戦えば、必ず勝利できると。そういうふうに今なお、思っております。したがって私は、いろんな意味において、野党が結集して1つの自公に変わる受け皿を作るべきであるということを、ずっと主張し、また、それを望んでおりました。

しかしながら現実にはそれができませんでした。そういう中での選挙ということになりますと、小さい政党は大変不利ですから、その意味において今までずっとやってきた同志が、自分たちの政治生命を守るために、良かれと思う道を選んでくれということを申し上げました。

角谷:では最後は、吉田さんです。お願いします。「12月10日に特定秘密保護法が施行されます。社民党は公約の中で、特定秘密保護法の廃止を掲げていますが、今回の施行をどのように感じていますか」という、東京都の30代の男性からです。吉田さん、お願いします。

社民党・吉田:まず、衆議院が解散されて、衆議院議員がいないときにこれが施行されるというのは大問題です。そして特定秘密保護法は、国民の知る権利や、報道、取材の自由を奪う。そして秘密をもらした公務員や、あるいは民間人を処罰する。極めて問題のある法律であります。これまで2回、国会において特定秘密保護法の廃止法案を提出をいたしました。これまで成立した法律も、廃止した事例はいくつもありますから、粘り強く廃止に向けて取り組んでいかなくてはならない。このように思っております。12月に施行されますけれども、施行以前に、あるいは運用基準をどれだけ変えても、やはりこの法律そのものは大きな問題がありますから、粘り強く廃止に向けて取り組んでいきたいと考えております。

参加者から有権者へのメッセージ

角谷:そろそろ、ネット党首討論、時間が迫ってまいりました。短い時間でしたので言い足りなかったことは皆さん、沢山あると思います。議論が深まるだけでなくこれから、この議論の発端になるようなテーマも沢山あったように思います。ここからは最後になりますけれども、お一方、30秒ずつで申し訳ないんですが、一言。ユーザーの皆さんにお話いただいて終わるということにさせていただきます。こちらは、じゃあ吉田さんからいきます。よろしくお願いします。

社民党・吉田:社民党は消費税増税を撤廃し、5%に引き下げるとともに、経済政策の抜本転換を求めます。そして集団的自衛権行使を認めず、平和憲法を守りぬく。また、原発再稼働を許さず、脱原発社会を実現する。そしてTPPに反対をして、農林水産業をしっかり守っていく。こうした政策を掲げて戦ってまいります。少数になりましたけれども、ぜひ、衆議院で仕事ができる議席を与えていただきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。

角谷:小沢さん、お願いします。

生活の党・小沢:国民生活を守り、景気を良くするという意味におきましては、国民の収入を増やし、生活を安定させることが大事だと思います。したがいまして、国民生活に密接な関連の持つ農林漁業であれ、雇用であれ、医療であれ、そういうところのセーフティーネットはきちっと守り、充実させて、そして国民の暮らしを守っていくことが大事だと思います。

角谷:はい、ありがとうございます。志位さんお願いします。

共産党・志位:日本共産党を伸ばしていただければ、日本の政治は必ず変わります。昨年の参議院選挙では共産党、躍進させていただきましたが、そこで得た議案提案権を活用して「ブラック企業規制法案」を提出いたしました。この法案提出は厚生労働省を動かし、集中的な実態調査、離職率の公表など、ブラック企業の根絶に向けて1歩、踏み出しております。秘密保護法の廃止法案も提出しました。共産党をぜひ、今度の総選挙で躍進させてください。お願いします。

次世代の党・平沼:よくあの、今回の解散総選挙は大義がない、国費が600億もかかる、こういうことがあるわけですけれども、民主主義において解散総選挙というのは、ある意味の大義だと思います。ですから次世代の党としては、この解散を雄々しく受けて、そして国民の審判を仰いで、さらにしっかりとした政治を確立する。こういうことで、我々は努力をしていきたい。このように思っておりますから、よろしくお願い申し上げます。

角谷:山口さん、お願いします。

公明党・山口:はい。先ほどの続きです。このアベノミクスを進めて、地方、中小、小規模企業。そして企業から家計へと及ぼしていきます。景気回復を実感できるようにいたします。そして10%引き上げのときは、軽減税率を実現をして、この軽減措置も生活支援の実感を持ってもらうようにしていきたいと思います。ぜひ、これを実現させていただきたいと思います。

角谷:はい、ありがとうございます。続いて江田さんです、お願いします。

維新の党・江田:維新の党は増税ストップで身を切る改革の断行です。選挙の時は各党、良いことばかり言います。しかし、国民の皆さんは我々も含めて政治不信だと思いますよ。それを払拭するためには、議員や役人が率先して身を切る。維新は国会議員定数3割カット、給与3割カット、国家公務員、地方公務員の人件費25兆円の2割カットで5兆円を出してみせます。橋下徹さんが府知事になり、議会で多数を占めたら、議員定数が2割減り、給与も3割カットされました。これをやりたい。よろしくお願いします。

角谷:はい、ありがとうございます。海江田さん、お願いします。

民主党・海江田:政治の役割というのはやっぱり社会的に弱い立場の人、それから頑張りたくても頑張れない人たち。この人たちにしっかりと光を当てて、そして、それぞれの人が居場所と出番のある社会を作ることだと思っています。今の政治は、強い者の声が大きくなって、そして強い者がますます強くなっていくという社会です。これをなんとしても是正をしなくてはなりません。そのためには民主党が国会の中で、しっかりとした勢力を確保することが大事です。どうぞ今度の選挙、民主党をよろしくお願い申し上げます。

角谷:はい、では安倍さん、お願いします。

自民党・安倍:私たちは、この2年間でデレから脱却するチャンスを、ようやくつかむことができました。このチャンスを手放すわけにはいきません。さらに、3本の矢の政策を進め、この景気回復の波を地方に、中小企業、小規模事業所で働いている皆さんにお届けをしていきたい。そのために全力を尽くしてまいります。この道しかない。お約束をしたことは必ず実行してまいります。どうぞ私たちに力を与えてやってください。ありがとうございました。

角谷:本日は各党の皆さん、本当にお忙しい中、ありがとうございました。ユーザーの皆さんもご視聴ありがとうございました。それではネット討論、このへんで終了させていただきます。ありがとうございました。

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