すだち農家が教える!徳島県民ならではの活用方法&使い方のコツ
旬のすだち、どう使う?
爽やかな酸味が特徴的なすだち。旬の時期には袋にいっぱい入ったすだちをよく見かけますが、使い切れる自信がなく購入を断念してしまう方も多いはず。すだちといえば、日本一の生産量を誇る徳島県が有名ですが、多いのは生産量だけでなく消費量も同じなんです!
この記事では、徳島県のすだち農家「神山すだち」さんに家庭でのおすすめの使用方法や香り、風味を楽しむ切り方のコツなどを教えていただきます。
教えてくれた人
NPO法人里山みらい 副理事長/永野裕介さん
子供の誕生を機に8年前に神山町に移住。移住後、すだちの魅力に惹かれ農業に携わる仕事をはじめる。現在はNPO法人里山みらい 副理事長兼プロジェクトマネージャーとしてすだちの食文化を次世代に繋げるため、古くて新しいすだち農業を目指して奮闘中。
すだち農家/國本量平さん
2012年神山移住。2019年までオーガニックフレンチ「cafe on y va(カフェオニヴァ)」に勤務。ジャンルを選ばず料理の魅力を引立てるすだちという食材に興味を持ち、同年すだち農家に転身を決意。来春の独立に向け準備中。
そうだったのか!徳島県民のすだち事情
「徳島の家庭では、半分に切ったすだちがドーンっと食卓に置かれるのが一般的。特定の料理に添えるというよりは、自由に好きな料理にかけるという使い方をするんです。
県外の方からは、すだちを購入しても使いきれないという声を聞くことが多いんですが、この使い方をすればすぐに使い切れる、むしろもっと欲しい!と思うはずですよ(笑)」(永野さん)
「ほかの柑橘類、特に柚子などは果汁を絞ると香りや風味が強すぎてすべて柑橘の味になってしまうんです。すだちは料理や素材の味をきちんと生かしつつ風味を変えられるので、一度の食事で複数の料理に使っても飽きないんです」(國本さん)
切り方に注意。香りを生かすポイント
「すだちをカットするときは必ずヘタと垂直に包丁を入れてください。断面が綺麗に見えて果汁の絞りやすさも変わります。ちなみに徳島で切り方を間違えると、めちゃくちゃ怒られますよ。僕も農家さんに怒られた経験があります(笑)」(永野さん)
絞り方のポイントは断面を下にするのではなく上を向けること。タネが落ちないだけでなく、果汁が皮の表面を通るので香りが増すそうです!
スライスする際は薄めに!
「すだちそばなど、スライスしたすだちを使用した料理を作る際は、透けるくらい薄めにカットすることがポイント!厚めにするとすだちの皮の苦味が強くなってしまうんです。包丁だと厚さがバラバラになりやすいので、スライサーを使用するのがおすすめです」(永野さん)
徳島の最新すだちカット方法
「別の農家さんに聞いたんですが、最近はすだちを半分にカットするのではなく途中まで切り込みを入れてパックマンのようにするのが最新のよう。一気に1個分の果汁が絞れるので、半分だと果汁の量が足りない!という人の間で話題になっているそうです(笑)」(國本さん)
農家が直伝!すだちのおすすめ活用方法
レモンの代わりに!すだち×揚げ物
揚げ物にはすだちの爽やかな風味がぴったり!「個人的には淡白な味わいの鶏肉と特に合うと思います。唐揚げが定番ですが、手羽先などほかの部位とも相性抜群ですよ」と國本さん。まずはレモンの代用として使用してみるのがおすすめです。
徳島では定番!すだち×味噌汁
すだちは味噌との相性が抜群!意外と思われる方も多いと思いますが、徳島県では定番の使いかただそうなんです。果汁を入れたり、スライスしたすだちをのせるとさわやかな風味になりいつもとは違う味噌汁の楽しみ方ができますよ。
皮を使う!すだち×そうめん
すだちの皮を使う定番の料理が“そうめん”。つゆではなく、麺に皮を散らして爽やかな香りを楽しみます。これはおばあちゃん世代から食べられている徳島ならではの食べ方だそう。緑と白のコントラストで見た目も涼しいひと品になりますね。
朝ごはんに!すだち×ごはん
ご飯にかつおぶし、すだち醤油ををかけたすだちご飯は暑い日や食欲のない日にぴったり。ごはんにすだち果汁を合わせると酢飯のような仕上がりになるそう。「徳島の農家さんでは“ねこまんま”と呼ばれているんです」と永野さん。手軽に作れるので、朝ごはんにもおすすめですよ!
ドリンク合わせも!すだち×白ワイン
炭酸水や水に入れるのはもちろん、食事に合わせてお酒に入れるのもおすすめだそう。「和食のときはサワーに、洋食のときは白ワインに入れたりします。手頃な価格のワインもすだちの果汁を入れると、フレッシュさが増してランクアップしますよ」と國本さん。
料理のジャンルを問わずに合わせられる点もすだちの魅力ですね。
すだちの上手な保存方法
「すだちは常温ではなく、冷蔵か冷凍で保管してください。冷蔵保存する場合はポリ袋に入れて、温度変化の少ない冷蔵庫の奥に保管しましょう。1回で使う分だけ小分けにしておくと便利ですよ。長期保存したい場合は絞った果汁を冷蔵するのがおすすめです。製氷機で凍らせておくのもOKです」(永野さん)
ちなみにすだちはシーズンによっては香りに差は出ますがレモンやみかんなどに比べて、個体差が少ないので選ぶときに特に注意はいらないそう。皮に傷などがあってもおいしく食べられますよ。
「冷蔵庫で保存していると、すだちの皮は黄色くなってきます。食べられないと勘違いしてしまう人が多いんですが、皮の黄色いすだちは酸味が落ち着きまろやかな風味になっているんです。果汁を醤油と混ぜればポン酢になるので、冬は鍋に合わせるのもおすすめ。
皮の色によって変わる風味の違いもぜひ楽しんでほしいです!」(國本さん)
いつもの料理にすだちをプラス!
取材・文/樋田由香(macaroni 編集部)
取材協力