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法務省が7月末から始めたツイッターアカウント「ほうむSHOW」の投稿(8月13日)が批判を受けて、削除された。

「いっけなーい! 待機待機」など、アニメ作品の次回予告ナレーションのような作りで、「ちょっと昔のネットのノリ」を感じさせる内容となっていたが、ちょうど名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性の死亡問題で法務省に対する批判の声があがっているタイミングだったため、「ほうむSHOW」の投稿にも批判が集まった。

投稿の意図はなんだったのか、法務省に聞いた。

●「これからどうなっちゃうの〜!?」

批判されたのは、次のツイートだ。

〈いっけなーい! 待機待機 私、法務省。どこにでもいるごく普通の中央省庁! だけど中央省庁って霞ヶ関が最寄りっぽいのに法務省はそうじゃないよねとか言われちゃったもんだからもう大変! これからどうなっちゃうの〜!? 次回「赤レンガは桜田門駅出口すぐそば」! 皆見てくれよな〉(8月13日投稿)

この投稿に対して、「人が亡くなってる入管問題の最中にふざけたツイート見せられて不快すぎる」など数多くの批判コメントが寄せられた。

名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが死亡した問題で、法務省・出入国在留管理庁(入管庁)は8月10日、名古屋入管の対応を検証した最終報告書を公表し、12日には、施設内の映像を編集したものが遺族に開示していた。そんなタイミングでのツイートだったのだ。

ツイッターでの批判だけでなく、「ほうむSHOW」の公式インスタグラムの投稿にまで「 #ウィシュマさんのビデオを全部開示してください」など入管問題を批判するコメントがつけられた。

8月14日、当該のツイートが削除された。

●「タイミングが不適切」の指摘受けてツイ消し

弁護士ドットコムニュース編集部が法務省に問い合わせたところ、秘書課が8月16日、答えた。

ツイートを削除したのは「タイミングとして不適切だというご指摘があったので、それを受けて削除するのが適切と判断した」との理由によるという。

この「タイミング」が、入管問題で法務省の対応が批判されている「タイミング」を意味するのかどうかについては、回答はなかった。

●投稿は入局3年〜20年の職員が話し合っておこなった

「ほうむSHOW」は、若手職員の自由な発想による親しみやすい広報を推進するためのプロジェクトとして開設された。入省およそ3〜20年の男女十数人の職員でつくられる横断的な組織「ほうむSHOW編集局」が運営するアカウントだ。

その目的は法務行政の広報にあるが、法務省の広報室とは切り離された存在だ。投稿の主体は個人ではなく、編集局のみんなで考えたものだという。

●農水省の人気YouTubeチャンネルも見て勉強した

法務省では、本体アカウントのほか、すでに複数のアカウントでツイッターを運用している。そこからさらに「ほうむSHOW」が生まれたのは、「これまでとは広報とは違う新しい目線や切り口での情報発信」に挑戦するためだった。

親しみやすい広報活動を目指し、SNSや動画配信に力を入れる中央省庁も増えている。ほうむSHOW編集局も取り組みにあたっては、農水省の若手職員によるYouTubeチャンネル「BUZZMAFF」なども参考にしたそうだ。

「今後の投稿・企画については、いろいろプランがあったと思うが、このようなご批判をうけて、また仕切り直しで考えるのではないかと思います。

しかし、新しい発想や目線、切り口の企画こそが彼ら彼女らの思いなので、なくすことなくやってほしいし、支えるために環境整備したいと思います」(法務省秘書課)

ほうむSHOWは、法務省公式アカウントのフォロワー数(23万4000)を超えることも目指している。8月16日現在、その数は約1870だ。