「もはや大義なし」五輪中止求める署名「45万筆」、バッハ会長らに提出
東京五輪の開幕まであと8日と迫る中、新型コロナ感染拡大への懸念などから、五輪中止を求めるオンライン署名が45万筆を突破した。
署名を呼びかけてきた元日弁連会長の宇都宮健児弁護士は7月15日、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長や小池百合子都知事らに署名と五輪中止を求める要望書を提出した。
宇都宮弁護士は同日午前、都庁で会見し、「もはや五輪に大義は失われています。今なぜ五輪なのか」とあらためて中止の必要性を訴えた。
●「人間の尊厳に重きをおく五輪憲章にも反する」
東京五輪の中止を求める署名キャンペーンは、「Change.org日本版」で5月にスタート。7月11日に45万筆を突破し、同サイトとしては史上最多を記録している。
宇都宮弁護士は会見で、「東京では4度目の緊急事態宣言が発令され、世界的にも感染者がまた増えている中、もはや『復興五輪』や『新型コロナに人類が打ち勝った証としての五輪』という大義も失われてしまっています」と指摘した。
また、今年1月から3月にかけて、東京都や大阪府など都市部で感染者数が増え、一部で医療崩壊が指摘されたことに触れ、「このままでは五輪期間中にも感染が拡大して、医療崩壊を招く可能性があり、救える命も救えなくなります。そうした事態になったとき、誰が責任を取るのか」と危機感を示した。
IOCが五輪憲章でその目的を「人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立」としていることについても、「五輪開催はこの根本原則に反している」と批判。次のように述べた。
「人間の尊厳とは命です。(新型コロナの感染拡大で)命が失われようとしているとき、五輪の開催は人間の尊厳を無視する行為です。このことが問われている大会だということを、肝に命じてほしいです」
宇都宮弁護士は、7月14日夕方までに集まった45万1867筆とともに、中止を求める要望書をIOCのバッハ会長や国際パラリンピック委員会にメールや郵便で送付したほか、小池都知事に提出した。バッハ会長は来日中であることから、宿泊先のホテルにも郵送したという。
また、15日午後には、菅義偉首相や丸川珠代五輪相、大会組織委員会の橋本聖子会長にも提出する予定。宇都宮弁護士は、オンライン署名は今後も、民意を表明する場として継続していくとしている。