ライバル同士の力で誕生した「珠玉のマシン」! メーカー間コラボが生み出した6つの至宝
ライバル関係と思いきや……? メーカーの垣根を超えた夢のコラボ
今や自動車業界というのはグローバル化が進んで、さまざまなメーカー同士が手を組んでいる。しかし、基本的には系列やグループなど、提携関係にあるメーカー同士というのがほとんど。ライバルとなるメーカーと協力するわけもなく、まったく関係ないところとやり取りすることがないのは本来当然ではある。しかし、歴史を振り返ってみると、提携にもいろいろとあるのだ。
1)ホンダからトヨタへCVCC
CVCCと言えば、アメリカの排ガス規制であるマスキー法を世界で初めてクリアした技術としてお馴染みだ。1972年のことで、シビックなどにも採用されたが、ほかのメーカーはなかなかクリアできなかった。じつは天下のトヨタも同様で、ホンダからCVCCの技術を購入して、TTC-Vとして実用化している。ちなみにTTCはトヨタ・トータル・クリーンシステムの略となる。
2)いすゞといえばハンドリング・バイ・ロータス
1988年、ジェミニに設定されて驚いたのが、ロータスとのコラボモデルであるハンドリング・バイ・ロータスの登場。足まわりを手がけていて、乗り味はマイルドなものではあったが、ロータスのバッジや深みのあるグリーンなど、雰囲気は十分だった。ピアッツァやビックホーンにもあった。じつは当時のロータスはGM傘下で、いすゞも同様だったので、実現したコラボである。遠い提携ゆえのコラボというわけ。
3)いすゞにはイルムシャーもあり!
ハンドリング・バイ・ロータスより前の1986年に登場したのが、ジェミニのイルムシャー。こちらも足まわりをチューニングしていて、ロータスよりもスポーティな味付けだった。イルムシャー自体はGM傘下ではなかったが、もともとGM傘下のオペルと結びつきが強く、その関係でいすゞも手がけるようになった。ジェミニ以外にもビッグホーンにも設定されていた。
輸入車と国産車の不思議な協力関係も
4)ロータスが手がけたトヨタ車
ハンドリング・バイ・ロータスはいすゞだけのものではなかった。1981年に登場したスープラのご先祖、2代目セリカXX(ダブルエックス)の足まわりはロータスがチューニングしていた。カタログにはコーリン・チャップマンが登場するなど、クルマ好きに非常に刺さった。
5)スーパーカーブランドがコラボ! ダイハツ・シャレード・デ・トマソ
初代シャレードではショーモデルに終わってしまったし、2代目でもショーモデルとしてデトマソ926Rが登場したものの、こちらも市販せず。しかし、市場からはとても好評だったことから2代目ではシャレード・デトマソ・ターボ、4代目でもシャレード・デ・トマソが用意され、市販化された。まずパンテーラやマングスタなど、スーパーカーでお馴染みのデ・トマソの名前がシャレードに付いていてびっくり。
さらに当時としては高嶺の花だった、モモのステアリングやカンパニョーロ製のマグネシウムホイール、ピレリのP8などが採用されていたことにも痺れた。ちなみにビアンカ(イタリア語で白)と呼ばれる、白いデ・トマソも限定で発売された。2代目のエンジンはベースのままだったが、4代目ベースでは新設計エンジンを搭載して、ステアリングはナルディに。さらにシートにはレカロが付いていて、これにも驚いたものだ。
なぜこのコラボが実現したかというと、イタリアのイノチェンティにダイハツが1リッターエンジンを供給していたから。イノチェンティの社長をデ・トマソ氏が務めていたのが縁となっている。
6)ポルシェデザインの日本車! スバル・レガシィ・ブリッツェン
3代目レガシィに限定で用意されたのが真っ赤なブリッツェンだ。当初はセダンのB4のみで、その後、ツーリングワゴンにも設定されたし、人気だったことから4代目でも用意された。精悍で迫力のあるエアロのデザインを手がけのはポルシェデザイン。
真っ赤なプレミアムレッドが専用色で、ブリッツェンとはドイツ語で「稲妻」のこと。ポルシェデザインはポルシェとは別だし、仕事としてなんでもデザインはしてくれるが、そもそもスバルとポルシェ本体も関係はあった。B4に用意されていたRSKと呼ばれるスポーツグレードの足まわりのチューニングを担当していたし、ヴィヴィオのシフトにも関わっているとされている。もちろん水平対向つながりというのもあるだろう。
そのほか、最近ではスープラとBMWのZ4が記憶に新しい。こちらは以前からミニ用に1リッターのディーゼルエンジンを供給していたので関係なくはないが、スポーツカーでコラボするというのはまさに寝耳に水といったところ。今後もこのパターンは増えていく可能性もあるだろう。