(株)直丸屋(TDB企業コード:370202378、資本金3800万円、岐阜県高山市丹生川町坊方2114、代表牧野はるか氏)は、5月11日に事業を停止し岐阜地裁高山支部へ自己破産を申請、同月21日破産手続き開始決定を受けた。
 
 申請代理人は神谷慎一弁護士(岐阜市神田町2-12松久オフィスビル4階、弁護士法人神谷法律事務所、電話058-266-7910)。破産管財人には阪下六代弁護士(高山市桐生町4-432、阪下法律事務所、電話0577-34-6612)が選任されている。財産状況報告集会期日は9月13日午後1時30分。
 
 当社は、1989年(平成元年)12月に(株)板蔵として設立。岐阜県高山市東部の丹生川地区、国道158号線沿いに大規模ドライブステーション「板蔵」として、高山ラーメンおよび飛騨牛料理を中心とする食堂を運営していた。個人観光客や、大手旅行代理店バスツアーの団体客を取り込む傍ら、自社公式ホームページにて全国の一般個人や食品卸問屋、通販業者向けにラーメンの販売も行っていた。創業者である前代表の方針により積極的な投資を続け、安房トンネルが開通した97年以降は長野県松本方面の交通量増加も寄与し、2002年2月期には年売上高約10億9900万円を計上していた。

 しかし、その後は観光バスの周遊ルートの多様化に伴い来店客数が減少したことから売上高は減少傾向をたどり、欠損計上を散発。また、複数の関係会社に対する多額の貸付金を借り入れで賄っていたことから、財務面は大幅な債務超過に陥っていた。関係各社とも多額の累積損失を抱えた状態で休眠状態となり、回収できるめども立たないことから、金融債務は債権回収業者(サービサー)に譲渡され、2014年10月と2015年4月には裁判所より本店不動産の競売がなされるなど、資金繰りはひっ迫。

 こうしたなか、前代表が死去し、現代表の牧野はるか氏が経営を継承、2018年には本店併設の製麺工場と土産物店を閉鎖し、食堂部分のみの営業に縮小するなど経営の見直しを図っていたが客足の減少に歯止めがかからず、2020年2月期の年売上高は約9600万円にまで落ち込み、営業段階から欠損を計上していた。

 さらに、昨年以降は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出もあり、来店客数が大幅に減少。店舗稼働と採算面が低調にとどまるなか、過大な債務返済のめどが立たないことから事業継続を断念、今回の措置となった。
 
 負債は約19億円(うち金融債務は約13億円)。