ダイエットのためには、有酸素運動によって脂肪を酸化させ、効率良く燃焼することが非常に重要です。スペインのグラナダ大学の研究チームが発表した研究結果から、運動を始める30分前に濃いコーヒーを飲むと、脂肪燃焼の効率が劇的に向上することがわかりました。

Caffeine increases maximal fat oxidation during a graded exercise test: is there a diurnal variation? | Journal of the International Society of Sports Nutrition | Full Text

https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12970-020-00400-6

Drinking a strong coffee half an hour before exercising increases fat-burning, new study finds - Canal UGR

https://canal.ugr.es/uncategorized/drinking-a-strong-coffee-half-an-hour-before-exercising-increases-fat-burning-new-study-finds/

疲労を覚えると、アデノシンと呼ばれる物質が脳内の受容体に結合します。コーヒーに含まれるカフェインはこのアデノシンに似た化学構造をしており、摂取するとアデノシンと競合して受容体に結合します。アデノシンが脳の受容体に結合すると人は倦怠感を覚えますが、カフェインの場合は疲労感やけん怠感を覚えにくくなり、肉体的なパフォーマンスが向上しやすいといわれています。実際に2019年の研究では、カフェインが肉体的なパフォーマンスを向上させることが報告されました。



今回、研究を発表したのは、グラナダ大学の生理学者であるFrancisco José Amaro-Gahete氏が率いる研究チームです。研究チームはカフェインと運動の関係を研究するため、15人の男性を対象とする実験を行いました。

研究チームは被験者に、「朝8時に偽薬を飲ませる」「夕方17時に偽薬を飲ませる」「朝8時にカフェイン錠剤を飲ませる」「夕方17時にカフェイン錠剤を飲ませる」をランダムにスケジューリングしました。また、薬を飲んだ後はサイクリングテストを行い、体の脂肪燃焼能力と最大酸素摂取量を測定しました。



その結果、有酸素運動の30分前にカフェインを体重1kgあたり3mgを摂取することで、脂肪燃焼速度が午前中に運動した場合は平均10.7%、午後に運動した場合は平均29.0%も向上したことがわかりました。研究チームによれば、このカフェイン量は「濃い目のコーヒー一杯に含まれるカフェインの量」とほぼ同程度だとのこと。

Amaro-Gahete氏は「私たちの研究結果から、有酸素運動を実行する30分前にカフェインを摂取すると、運動中の最大脂肪酸化量が増加することが示されました」と述べています。

ただし、実験のサンプル数がかなり少なく、朝の運動や食事量が影響している可能性もあるため、今回の研究結果だけでは科学的根拠にやや乏しい部分がある、とAmaro-Gahete氏。それでも、「総評として今回の実験結果は、『午後にある程度のカフェインを摂取してから運動を行うこと』が、有酸素運動中の脂肪燃焼を増加させる方法であることを示唆しています」と述べました。