毎日しっかり歯を磨いているのに黄ばみがとれない、加齢とともに黄ばみが強くなった気がする…。歯の色素沈着は、年齢を重ねるほど多く挙げられる美容悩みのひとつと言われています。

加齢とともに歯が黄ばんでしまうさまざまな理由と、白く美しい歯にするための方法や注意点を六本木あおばデンタルクリニック院長の小室千春先生にお話を伺いました。


自己流のホワイトニングケア、間違っているかも!?(※写真はイメージです)

歯磨きでも黄ばむ!コーヒー紅茶、赤ワインだけじゃない歯の色素沈着の原因



「長引くマスク生活で隠れてしまう口元ですが、隠せる今だからこそ歯をキレイにしたいという患者様が増えていますね。歯並び矯正はもちろん、ホームホワイトニングについてのご質問もいただいております。そのなかで気になったことは、日常の歯ブラシや歯みがき剤の使用法を誤り、歯の黄ばみを招いてしてまっている患者様が多いことです」と小室先生。

歯みがきで歯が黄ばむ…? そもそも歯が黄ばんでしまう理由と、日常で歯を白く保つためにはどうしたらよいのでしょうか?

●歯の黄ばみむ主な原因は?




食後に口をゆすぐだけでもステインの予防に(※写真はイメージです)

「歯の色素沈着と聞いてまず思い浮かべるのは『ステイン』という言葉ではないでしょうか? ステインとは飲み物や食べ物、タバコのヤニなどの色素が歯の表面に着いたものによる外因性の黄ばみ原因です。食前に水で口内をうるおす、食後に口をゆすぐだけでもステインを予防することができます」

そのほか、外因性による色素沈着として、治療後の詰め物等の劣化や、歯の表面を黒く着色する菌(黒色色素産生菌)などが挙げられます。これらを改善するためには、定期的にデンタルクリニックでの診察とクリーニングを受けることが大切なのだそう。

●肌だけじゃない!加齢による内因性の歯の黄ばみやくすみ




(※写真はイメージです)

加齢によって肌にシミやくすみがあらわれるように、歯も年齢を重ねるとともに黄ばみやくすみが強くなります。
「歯の構造は黄みがかった象牙質とそれを覆う透明なエナメル質からなり、加齢によってエナメル質がすり減り象牙質が露出、また象牙質が厚みを増すことで黄ばみを感じるようになるのです」

●歯みがき粉の誤った使用法は歯の黄ばみの原因に!




(※写真はイメージです)

ドラッグストアに行くと、さまざまな種類の歯みがき剤が陳列されています。
「『美白(ステイン除去)』『歯ぐきケア』『口臭予防』などそれぞれの製品に特徴がありますが、誤った使用法によって、それらの効果を台無しにしていることも少なくありません」と小室先生。

日常の歯みがきで歯の黄ばみを引き起こす原因は強すぎるブラッシングよりも歯みがき剤の使い方にあるそう。
「たとえば、ステインを除去するために本来『週に一度』とされる製品や研磨剤入りの歯みがき剤を毎日使用すると歯の表面に傷がつき、そこに飲食物のステインが入り込むことで歯が黄ばんでしまいます。美白歯みがき剤は効果効能と説明書を確認し、過度な使用には注意が必要です」

なお市販されている歯みがき剤の『歯を美白』とは歯の表面汚れを落とすことを意味し、エナメル質や象牙質に影響を与えることはありません。
「また唾液の少ないドライマウスである場合ステインが付着しやすいため、ヒアルロン酸など保湿成分が配合された歯みがき剤を選ぶことで、歯の黄ばみを防ぐことができるでしょう」

●海外の強力美白歯みがき剤のリスク



個人輸入サイトでは海外製の超強力美白をうたう商品が数多く見受けられますが、歯の黄ばみに本当に効果はあるのでしょうか?

「欧米製で歯の美白をうたう歯みがき剤の中には、国内の薬機法では市販が禁止されている薬剤などが配合されているものも多くあります。欧米人とくらべて日本人のエナメル質は薄く、成分によってはエナメル質や歯茎に深刻なダメージを与えてしまうことも少なくありません」

エナメル質が破壊され、象牙質が露出することで美白どころか黄ばみや知覚過敏を引き起こす可能性も考えられるそう。
「もちろん欧米製でも日本人の歯に悪影響のない歯みがき剤もありますが、個人輸入の際はレビューなどを真に受けず、配合成分をしっかり確認することが大切です」

デンタルクリニックでのホワイトニングの種類とメリット・デメリット



強力な美白歯みがき剤が黄ばみを招く原因になるかもしれない…やはり健康的な白い歯を目指すためにはデンタルクリニックで高額な施術を行うしか方法はないのでしょうか?

「審美歯科は高額、施術によっては痛みをともなうと思われている方が大多数だと思われます。でも最近のホワイトニングは比較的に安価で痛みの少ない施術も多く、1回の施術でお好みの白さにできるメニューもありますよ」

以下はデンタルクリニックで行われている主なホワイトニング施術です。また、ホワイトニングは自費治療となり各クリニックで価格は異なります。

●オフィスホワイトニング




(※写真はイメージです)

歯にホワイトニング効果のある薬剤を塗り、光をあてる施術。
「照射タイプのホワイトニングの中には痛みを強く感じるものもありますが、歯茎をしっかり保護し、歯に安全な薬剤を使用することで痛みや不快感は軽減されます。一度の施術でも歯を数段階、白くすることができます」


・メリット:一度の施術でホワイトニング効果
・デメリット:数カ月でホワイトニング効果消失 歯の状態によって疼痛
・おおよその料金:上下の歯20本 25000円〜


●ホームホワイトニング




(※写真はイメージです)

歯型に合わせてマウスピースを作製、自宅でお好きな時間にマウスピースに薬剤を注入し数時間装着することで少しずつ歯を白くする施術。
「比較的に安価なホワイトニングですが、使用薬剤によって装着時間が約30分〜7時間と大きく異なるので注意しましょう。またマウスピース作製後は薬剤のみの購入となります」


・メリット:比較的に安価 自宅で施術可能
・デメリット:繰り返しの施術が必要 洗浄などの手間
・おおよその料金:上下マウスピース+薬剤 25000円〜、追加薬剤 3000円〜


●ホワイトコート




ホワイトコート施術中(あおばデンタルクリニック提供)

歯のジェルネイルともいわれるホワイトニング。歯の表面に歯科用プラスチック薬剤を塗り、光を照射して固める施術となります。
「オフィスホワイトニングやホームホワイトニングなどで白くすることができない差し歯や銀歯も希望の白さにできることが特徴です。一度の施術で約3か月、白い歯をキープすることが可能とされています」


・メリット:一度の施術で好みの白い歯を約3か月キープ
・デメリット:歯が噛み合う部位への施術不可
・おおよその料金:上もしくは下の前歯8本 17000円〜



上が施術前の歯。下が上の歯のみにホワイトコートを行った状態(あおばデンタルクリニック提供)

日々の歯みがきを見直すことでも歯の白さを保つことができます。それでも歯の黄ばみが気になる場合はデンタルクリニックで相談を。また口腔内を清潔に保つことは感染症リスクの低減になるといわれていることから、しっかりと丁寧なデンタルケアを心がけましょう。

<取材・文/城戸 香>

●教えてくれた人
【小室千春先生】



六本木あおばデンタルクリニック院長。安易に歯を削らず、自然の歯を大事にする治療をモットーとする。ホワイトニングも一般歯科同様にしっかりとしたカウンセリングと患者のニーズに応じた丁寧な施術を提供。六本木あおばデンタルクリニックHP(www.aobadc.com/