東映動画時代の中村和子さん

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 東映動画の第一期生として日本初の長編劇場用カラーアニメーション映画『白蛇伝』(1958)などの作品に参加し、女性アニメーターの草分けの一人として多くのアニメ作品に携わってきた故・中村和子さんを偲ぶ作品展が開催されることが決定した。国登録有形文化財である東京・島薗家住宅にて3月19日〜23日(11時〜16時)で開催となる。

 2019年8月に死去した中村さんの作品展では、アニメ作品のほか、油彩画、墨絵、アクリル画などが紹介される。作品と共に、中村さんの人となりを知ることができる機会として企画された。なお、展覧会タイトル文字は中村さんの絵画の師で洋画家・松田正平氏の書によるもの。

 中村さんの本名は加藤和子。1933年、満州国旅順に生まれ、1952年に女子美術大学洋画科に入学した。宇部高校時代から松田氏の指導を得て、国画会に入選。1956年には、東映動画(現・東映アニメーション)の第一期生として入社して、『白蛇伝』で動画からセカンドに昇格、一部原画も務めたことで知られる。

 その後、『西遊記』(1960)の制作時に原案者の手塚治虫氏と出会い、虫プロに移籍。『千夜一夜物語』『クレオパトラ』、テレビアニメ「鉄腕アトム」「リボンの騎士」などで原画、作画監督などを担った。手塚氏と同時に虫プロ退社した後は、やなせたかし氏の依頼を受けてサンリオのアニメ部創設に加わり『小さなジャンボ』(1977)などの作品を担当。その後、再び手塚氏に呼ばれ、手塚プロダクション内でアニメ制作を開始。『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』(1980)などの制作に取り組んだ。以降は松田氏を師と仰ぐ画家たちによる「風の会」に出展したり、各種の創作活動にも取り組むが、晩年は下肢の大手術後、自宅療養生活が続き、2019年8月3日、夫の介護のもと、永遠の眠りについた。(編集部・梅山富美子)