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会社を辞めようとする際に提出する「退職願」と「退職届」。1文字違うのは見ればわかりますが、実際にどう違うのかをご存知ですか。

ツイッターでは、「退職願と退職届はまったく同じもの」「実は同じようでまったく違います」など正反対の意見があります。また、「退職届の前に退職願を出さないといけないのか」という声もありました。

一体、退職願と退職届にどんな法的な違いがあるのでしょうか。どのように使い分けるものなのでしょうか。企業法務にくわしい高島秀行弁護士に聞きました。

●主な違いは「撤回が可能か否か」

--退職願と退職届は法的にどう違うのでしょうか。

退職願は、合意による退職の申し入れとされています。したがって、退職願は、会社が退職を承諾して初めて退職の合意ができますので、その時点で退職の効果が生じます。

重要なのは、退職願については、会社が承諾するまでは、基本的に撤回が可能だということです。

これに対して、退職届は、退職の意思の通知とされています。一般的な正社員は期間の定めのない雇用契約により雇用されていますので、退職届を出すと、2週間後に退職の効果が発生します。

退職届の場合、退職願と異なり、会社が退職を承諾する前だからといって撤回できないという点が重要となります。

--どのように使い分けるものなのでしょうか。

会社が承諾しなくても、場合によっては反対されても絶対に退職するという退職の意思が固い場合は、退職届を提出するということになります。

一方、会社が承諾してくれたら退職しようと考えるようなケースでは退職願を出すということとなります。

ただし、会社が引き留めてくれるだろうと期待して、退職願を出したら、会社からすぐに退職を承諾されてしまうというケースもあります。そこで、「退職願なら撤回できるし、会社も退職をすぐには承諾しないだろう」という甘い考えで退職願を出したりしないほうがよいと思います。

(弁護士ドットコムライフ)

【取材協力弁護士】
高島 秀行(たかしま・ひでゆき)弁護士
「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載され、「企業のための民暴撃退マニュアル」「訴えられたらどうする」「相続遺産分割する前に読む本」(以上、税務経理協会)等の著作がある。ブログ「資産を守り残す法律」を連載中。http://takashimalawoffice.blog.fc2.com/
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com