突然だが、こちらの写真をご覧いただきたい。


まるで骨董品店だが...(画像は投稿者より提供)

大小、色も形も異なる「壺」が並ぶディスプレイ。写真中央には、ケースに入った立派なものも。まるで骨董品店や美術館のように見えるが、これは東京都世田谷区にある洋菓子店「ヴィヨン」の店頭の様子だ。

洋菓子店の店頭なのに、なぜ......?

そう不思議に思う人もいるだろう。実は、このディスプレイに飾られているのは、壺型のバウムクーヘンなのだ。


実はバウムクーヘン(画像は投稿者より提供)

この画像は2020年11月2日、あるツイッターユーザーが

「たまたま通りかかって『壺売ってるなー』とスルーしそうになったけど、よく見たらバウムクーヘンで凄すぎて笑った」

とコメントを添えて投稿したもの。9日夕方現在で2万1000件のいいねを集めるほど、大きな反響を呼んでいる。

確かにこれは、バウムクーヘンだと知らなければ「壺が並んでいるな」と素通りしてしまうだろう。値札を見ると、「中」が1万4500円(税別)、「大」が2万1000円(大)。壺の価格と言われてもしっくりくる気がする。

この壺型バウムクーヘンに、ツイッターでは

「壺にしか見えません!凄い!」
「こんなんもったいなくて食えへん」
「食べたら幸せになる壺か」
「これは贈られて嬉しいw」
「家宝にしたいクオリティ」

といった驚きと感動の反応が寄せられている。

「美しい陶器をバウムクーヘンにしたい」

「ヴィヨン」の公式サイトを見てみると、この壺型バウムクーヘンの詳細が紹介されていた。


グランヴィヨンは全部で4種類(画像はヴィヨン公式サイトより)

大きな壺型のバウムクーヘンの正式名称は「グランヴィヨン」。

メープル味の大、中と、なかにゼリーが入った小、少し色の濃い「カカオ」の4種類がある。

また、もう少しサイズが小さい花器の形をした「ヴィヨネット」というシリーズもある。


色んなフルーツの味がある「ヴィヨネット」(画像はヴィヨン公式サイトより)

サイトで紹介されているのは「フランボワーズ」、「ポワール」、「ポム」、「パッション」、「マンゴー」の5種類。メープル味のバウムクーヘンにそれぞれのフルーツの味のゼリーが包まれているとのことだ。

Jタウンネットはこれらのバウムクーヘンの詳細を聞くべく、6日、ヴィヨンの広報を取材した。

壺型バウムクーヘンを生み出したのは、ヴィヨン創業者の大年壮さん。その誕生経緯として、公式サイト上には次のようなエピソードが紹介されている。

「昭和50年のはじめ、デパートへ買い物に行った私(注・大年さん)は、そこで開かれていた陶器の展覧会にふらっと立ち寄りました。
いままで陶器にあまり関心がありませんでしたが、その美しさにとても感銘を受けました」

とある。この出会いをきっかけに、大年さんは

「この美しい陶器をバウムクーヘンで作れないだろうか」

と考え、試行錯誤の末に花器の形をしたバウムクーヘンを誕生させたという。

広報担当者は、

「いつから飾られていて、販売されているか、その詳細は定かではありません。少なくとも10年以上前からディスプレイには飾られていたとのことです。また、現在のようにグラン・ヴィヨンを贈答用の木箱に入れて販売をしはじめたのは5、6年前からかと思われます」

としていた。

特にグラン・ヴィヨンはまるで本物の陶器を入れるような立派な箱に入っているため、年末年始や、還暦祝い、開業祝いといった特別な贈り物として用いられることが多いというこの商品。何より気になるのが作り方だが、残念ながら

「企業秘密です」

とのことだった。

今回、陶器のようなバウムクーヘンがツイッターで話題となったことについて、広報担当者は

「非常に嬉しく思います。壺型でとてもインパクトのある見た目をしていますが、それだけではなくその美味しさも追及している商品なのでこれをきっかけにその辺りも皆さんに伝わればと思います」

としていた。