(撮影:岩本芳弘)

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こんにちは、プロゴルファーの村田理沙です。今回、短期連載の場をいただいたのですが、縁となったのは私が米国の下部ツアー「シメトラツアー」でプレーしていたこと。日本ではあまり知られていないシメトラツアーの実態を、私自身の目標も加えてお話ししていきたと思います。

私はアメリカ人の父と日本人の母を持つハーフです。一つだけ断言しておきますね。

「私、英語が話せません(笑)」

2018年米国女子ツアーのファーストQTを突破し、2019年のシメトラツアーに参戦するため、私は単身、米国に乗り込みました。私の初戦は4月26日から行われる「マーフィーUSAエルドラドシュートアウト」です。もちろんドキドキで、そのときの感想は……。

え、話をはしょりすぎ? といっても、事前準備とか特に面白い話はありません。何せ私は英語が話せないので、とにかく無我夢中で乗りきっただけですから。

試合のエントリー、移動や宿泊先の手配……。経費節約のために単独行動ですから、とにかく一人でチャレンジあるのみです。試合の3週間前に、宿泊先やレンタカーの申し込み要項とにらめっこ。最初のうちは時間をかかりましたが、自分で決めたことなのでネガティブになったところで何も生まれません。「やってできないことはない」というポリシーを実証できたし、少しずつ英語も覚えてむしろありがたかったですね。

シメトラツアーはレギュラーツアーへつながる過程の「修行の場」。賞金は安いのですが、その他は修行のための環境が整っています。一つが宿泊先で、ホームステイ先をあっせんしてくれるのです。ファミリーが応援にきてくれることもあり、うれしかったなぁ。そうそう、キャディもボランティアの皆さんが請け負ってくれるんですよ。お金がかからないことは本当に助かります。

話を初戦に戻します。特に大きな緊張もなく、むしろ期待のほうが大きい中で会場へ到着した最初の感想は……。

「うわー、いろんな言語が飛び交っている!」

イスラエル、フィンランド、韓国……。地元の米国人が主体ですが、将来のレギュラーツアー入りを目指して世界各国からゴルファーが集結。ここで戦うんだと思うと楽しみしかありません。

ただ、他人を蹴落としてまでの様相かといえば、決してそうでもない。笑顔で会話が交わされ、今を楽しんでいるようにも見える。自分のためというかプロゴルファーとして試合がしたいという思い、プロゴルファーとしてのキャリアを積んで自分の人生を豊かにしたいという感じでしょうか。

異質な目的が絡み合う中での環境下でプレーするのは精神的に難しくないか? そんなことはなかったですよ。これが米国の下部ツアーだと思えば受け入れることは簡単です。あくまでも私は自分の目的を遂行すること。このシメトラツアーで結果を出すのみです。新しいチャレンジが始まりました!

※同連載は週1回の更新で、全8回を予定しています。

■村田理沙(むらた・りさ)
1995年6月22日、東京都三鷹市出身。身長161センチ、体重52キロ。祖父母の影響で8歳からゴルフを始めた。杉並学院高校(東京都)から山梨学院大学(山梨県)に進学したが中退し、まずは日本のプロテストに専念。3回目の2016年7月29日に合格し、晴れて正式な女子プロゴルファーとなった(88期生)。2019年には米国下部「シメトラツアー」でプレー。帰国後に日本のQTを受け99位の成績だったことから、今年はステップ・アップ・ツアーを主戦場としている。アメリカ人の父と日本人の母を持つ美人プロとしても有名。ゼビオホールディングス所属。