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 映画館を運営する有限会社アップリンクの代表である浅井隆氏が、元従業員からパワーハラスメントで訴訟されたことについて16日、声明を出した。

 元従業員ら5名は同日、被害者の会「UPLINK Workers’ Voices Against Harassment」を立ち上げ、浅井氏とアップリンクを相手取り、これまで受けてきたパワーハラスメントを裁判で訴えると発表した。声明文では、「他の従業員や来場者の面前で理不尽な理由で怒鳴る、『社長の言うことが聞けないのか』等と恫喝する、『おまえは病気である』等の人格を否定した発言をする、時に改善を要望しても『議論する余地はない。会社に残るか去るか』等と半ば強引に退職を促す。こういった浅井氏によるパワーハラスメントが、長期に渡り日常的に行われてきました」と浅井氏によるハラスメントを明らかにした。

 元従業員らは、訴える経緯について説明するとともに、「私たちは元従業員という外側の立場から、浅井氏のパワーハラスメントによって傷つけられた尊厳の回復を求めるとともに、アップリンクの変革を求めます」とアップリンクと浅井氏への今後についても言及した。

 この訴えに対して、浅井氏はアップリンク公式サイトで、「元従業員からの訴訟について」と題しコメントを発表。「元従業員の方々から訴訟を提起されたことに関して、真摯に受け止めております。不適切な言動があったことを深く反省し、謝罪致します。本件の解決に向けて、誠意をもって対応をして参ります。社としてもハラスメントの再発防止に努めていく所存です」と謝罪した。今後、改めて詳細なコメントを発表するとしている。

 アップリンクは、2005年から東京・渋谷でミニシアター「アップリンク渋谷」を運営。2018年12月には吉祥寺パルコ地下2階に「アップリンク吉祥寺」を開館、3館目の新しい映画館「アップリンク京都」が11日にオープンしたばかりだ。

被害者の会「UPLINK Workers’ Voices Against Harassment」声明文

この度、映画会社アップリンクの元従業員である私たちは、代表である浅井隆氏によるパワーハラスメントを裁判で訴える運びとなりました。
他の従業員や来場者の面前で理不尽な理由で怒鳴る、「社長の言うことが聞けないのか」等と恫喝する、「おまえは病気である」等の人格を否定した発言をする、時に改善を要望しても「議論する余地はない。会社に残るか去るか」等 と半ば強引に退職を促す。
こういった浅井氏によるパワーハラスメントが、長期に渡り日常的に行われてきました。これらの行為は「世界を均質化する力に抗う」というアップリンクが掲げるポリシーとは著しく乖離するものです。
私たちはこのポリシーに共感し、アップリンクに入社しました。しかし期待は裏切られ、個人の尊厳が深く傷つけられてきました。社内でその暴力に気が付き指摘する人がいても、上映・配給作品の社会的意義や「やりがい」といった言葉に回収されて、沈黙を強いられる場面が度々ありました。映画は様々な人々の生活や人生を映し出し、時に、私たち鑑賞者の心を突き動かし、社会の変化をもたらす可能性を秘めています。
しかし、アップリンクでは、浅井氏のパワーハラスメントによってどれだけ理不尽な状況に置かれても、痛みを訴える声は無視され続けました。暴力が黙認されてしまう環境では安心が得られず、出勤する事さえも大きなストレスとなっていました。お客様が映画を楽しむスクリーンの裏側で、私たちは悔しさを感じながら、涙を堪えながら出勤していました。
私たちは浅井氏による暴力で得た傷をなかったことにしたくはないし、これ以上同じ苦しみを誰にも経験して欲しくありません。しかしこのような環境では、内側から変化を求める権利さえ奪われてしまいます。だからこそ私たちは元従業員という外側の立場から、浅井氏のパワーハラスメントによって傷つけられた尊厳の回復を求めるとともに、アップリンクの変革を求めます。
この裁判を始めるに伴い、アップリンクの元従業員を対象にした「被害者の会」を立ち上げました。浅井氏のパワハラ及びパワハラを許す社内の風潮に苦しみ、悩んでいた人は私たち原告以外にもいるはずです。もしよければ声をお寄せください。

有限会社アップリンク 取締役社長 浅井隆氏コメント

元従業員の方々から訴訟を提起されたことに関して、真摯に受け止めております。不適切な言動があったことを深く反省し、謝罪致します。本件の解決に向けて、誠意をもって対応をして参ります。
社としてもハラスメントの再発防止に努めていく所存です。
改めて詳細なコメントを発表します。少々お時間をいただけますようお願い申し上げます。
2020年6月16日
有限会社アップリンク
取締役社長 浅井隆

(編集部・梅山富美子)