2.88MBの容量を持つ「2ED」フロッピーディスク:スイートメモリーズ File012
[名称] 2ED Floppy Disk
[種類] 磁気ディスク
[記録方法] 磁気記録
[サイズ] 約86mm
[容量] 2.88MB
[登場年] 1990年頃〜

今や淘汰された懐かしの記録メディアたちに光を当てるこの連載企画では、ゆるっと集めているリムーバブルメディア・ドライブをふわっとご紹介していきます。

「2ED」(2 side Extra high Density)は、未フォーマット時4MB、フォーマット時2.88MBの容量となる3.5インチのフロッピーディスク。最も一般的な2HDとサイズ、形状はほぼそのままに、セクタ数を18から36へと高めることで、2HD比で2倍の容量を実現しています。2HDは5インチフロッピーディスクにもありましたが、2EDは3.5インチのみとなります。

これは日立マクセルのメディアですが、右肩に誇らしげに「ED」の文字があります。これは2EDのマークのようで、他社製2EDメディアでも同じ。容量は未フォーマット時の4MBが赤文字で大きく表示され、2HDとは違うというのが強調されています。なお、「SUPER RD」は日立マクセルが作っていたフロッピーディスクのシリーズブランドで、2HDや2DDなどの容量や、5インチフロッピーディスクでも採用されていました。

ちょっと話は脱線しますが、このSUPER RDの前、「Reliable & Durable」(RD)というのが、たぶん日立マクセルがフロッピーディスクに付けた最初のブランド名です。SUPER RDの次は「SUPER RD ULTRA」そして、「SUPER RD X」へと続いていますが、2EDのメディアが作られていたのは短期間ということもあって、SUPER RDの製品しか確認できませんでした。(探せばあるかもしれません)

話を2EDに戻しましょう。物理的な形状はほぼ3.5インチの2HDと同じですが、メディアの種類識別用のホール......正面から見ると右下にある穴の位置が、ひとつぶん上にずれています。



この写真は裏面からとなるためホールは左下となりますが、右の2HDがライトプロテクトと同じ高さにあるのに対し、左の2EDではそれよりも高い位置にあることが確認できます。ちなみに2DD以前ではこのメディアの種類識別用のホールはあいていません。

ほとんどの人が2EDなんてメディアを見聞きしたことがないかと思いますが、それもそのはず。2EDに対応したドライブは、NeXTやIBMのPS/2(PS/55)、初期のThinkPadくらいにしか採用されなかったためです。NeXTへの搭載は、「www.NeXTComputers.org」のサイトにある「NeXTWORLD Magazine」のココあたりでその存在を確認できます。

なお、FDコントローラーの方は2EDに対応しているものが多く、古くからの自作PCファンであれば、FDDのBIOS設定で「2.88MB」という表示があるのを覚えている人も多そうですね。とはいえドライブ単体での入手が難しかったため、使ったことがあるという人はかなりレアだと思います。



ちなみにこのドライブは、ThinkPadからの引っこ抜き品をジャンク屋で購入したもの。挿入口の中央に記された「2.88」の文字がまぶしいです。製造年は1995年。入手してから20年以上経っていますが、1度も使う機会がありません......。

ドライブもメディアも当時から入手が難しかったこと、そして1990年代に入るとフロッピーディスクの出番が激減してきたことから、2EDはひっそりと登場し、そしてひっそりと消えていった印象です。

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Source: Wikipedia, www.NeXTComputers.org