CX-5には個性を主張するふたつの特別仕様車を用意

 マツダが2019年に一部改良を施したクロスオーバーSUV「CX-5」ならびに「CX-8」。トピックのひとつである、AWD車に搭載された「オフロード・トラクション・アシスト」の性能はすでにリポート済み。今回は市街地で試乗する機会を得た。特別仕様車を新設定し、ユーザーの選択肢を増やしたCX-5とユーザーニーズに対応したCX-8、それぞれの使い勝手や特徴を紹介していこう。

 CX-5にはSUVらしい力強くタフな印象のスタイリングを演出するアクセサリーパッケージ「タフスポーツスタイル」と特別仕様車「XDシルクベージュセレクション」を用意。タフスポーツスタイルはフロントとリヤのアンダーガーニッシュとルーフレール、オールウェザーマット、ラゲッジトレイをセットにしている。もともと単品での取り扱いはあったが、アクティブな趣味を楽しめる装備をパッケージ化することで「イメージしやすく、ユーザー選びやすいようにした」という。新たに導入したポリメタルグレーメタリックもアウトドアユーザーに嬉しい汚れが目立ちにくい色合いだ。

 取材当日はあいにく雨が降っていたため、靴の裏についた汚れを車内に持ち込んでしまったのだが、それを気にさせないオールウェザーマットのありがたさを早速実感することができた。

 シルクベージュセレクションには、滑りにくく通気性も良いスウェード調生地のグランリュクスをシート中央部に用いたシルクベージュのハーフレザレットシートを取り入れた。

 また、上品で肌触りの良いシートは心地よく、いつまでも座っていたいと思うほど。マツダ車の内装色はダークカラーが多いイメージがあったが、ベージュカラーは展示車として用意されていたソウルレッドクリスタルメタリックとの組み合わせも趣があり、まさに大人の女性に似合う一台。装備は上級グレード同等でありながら、ハーフレザーを用いることで、プロアクティブとLパッケージの中間に位置し、かゆいところに手が届く一台となっている。

 公道ではCX-5のXD エクスクルーシブ・モードを試乗した。SUVならではの視界の高さが安心で、まったく不安なく運転できた。車室内に侵入したロードノイズを素早く吸収するというトップシーリング材を構成するフィルムの材質を変更した効果か、ディーゼルエンジン特有のガラガラ音はかなり軽減されていた。個人的にはランバーサポートに感動した。個人差があるだろうが、腰痛持ちの方には一度体験してみることをお勧めしたい。

 シートの座り心地も柔らかすぎずちょうど良く、加えてシートヒーターは冬場に欠かせない装備といえるだろう。

CX-8は後席のシート構成を使い方によって選べるようになった

 CX-8は若者から高齢者までユーザー層が幅広いことから、さまざまなニーズに応える改良を施し、多人数車としての使い勝手をさらに高めている。荷室にはサブトランクボックスの容量を拡大し、機内持ち込みサイズのスーツケースは3列目を使用した状態でも4個積み込めるようにした。

 後部座席の高級感も高めている。輸入車やCX-5から乗り換えたユーザーからはベンチシートを、ミニバンから乗り換えたユーザーからはウォークスルーを求める声があったことから、Lパッケージまでのすべてのグレードで6人乗り、7人乗りを選ぶことができるようにし、用途に応じてシート構成を選べるようにした。

 Lパッケージの2列目ベンチシートにはワンタッチウォークインスイッチを追加。さらにナッパレザー素材を採用したウォークスルータイプのキャプテンシートを追加し、XDプロアクティブSパッケージにはブラックのレザーシートを設定した。また、25Sを除くウォークスルータイプのキャプテンシート車には2列目用のカップホルダーと充電用USB端子を用意、一部グレードには3列目シートにもUSB端子を備えた。

 25Sプロアクティブ、XDプロアクティブ、XDプロアクティブSパッケージには2列目シートにシートヒーターを取り入れている。

 法人ニーズにも応える機能は特別仕様車「エクスクルーシブ・モード」に搭載。2列目に4WAYパワーシートやシートヒーター、ベンチレーション、アームレスト付きコンソールを採用した。客人をもてなすための装備としても重宝されそうだ。さらにスイッチ操作で2列目のシートバックが倒れ、シートが前方にスライドする電動ウォークイン機能も追加している。子どもでも安全に使える速度で動作するよう工夫したという。

 パワートレインはスカイアクティブG2.5モデルにAWDを、スカイアクティブG2.5Tモデルに2WDを追加設定したことで、すべてのエンジンモデルで2WDと4WDを選べるようにしている。

 インテリアの変更点では、センターディスプレイを7インチから8インチへと大型化。ルーフ部には塗布型の制振材を採用したことで、雨粒がルーフを叩き発生する騒音を低減、開閉とチルトアップができる電動スライドガラスサンルーフを一部グレードに設定した。

 また、使い勝手も高め、サブトランクボックスの奥行きを拡大し、ボーズサウンドシステム非装着車では+19L、ボーズサウンドシステム搭載車は8L拡大。ベビーカーを立てて入れられる広さを確保し、利便性向上にも貢献している。床下荷室にはもともとパンク修理キットが収まっていたが、おもなユーザー層である30代、40代の開発メンバーからサイドポケットにはほとんどものを入れることがなく、ここにパンク修理キットを入れても問題ないのではないかという声があったことから、荷室容量を増やすことができたという。

 新たにXDプロアクティブSパッケージも追加し、ブラックのレザーシートと運転席、助手席のシートヒーターとベンチレーション、フレームレス自動防眩ルームミラー、7インチマルチスピードメーターを搭載した。

 公道試乗では25S Lパッケージを運転。全長4900mm、全幅1840mm、全高1730mmと大型に部類されるCX-8だが、実際に乗ってみると思っていたよりもサイズ感に戸惑うことはなかった。ソウルレッドクリスタルメタリックとホワイトレザーの組み合わせもおしゃれで、疲れにくいフロントシートのおかげか、どこまでも運転してきたくなると感じるほど。2、3列目の使い勝手も高く、多人数での旅行にも持ってこいだ。