画像提供:埼玉県立宮代高校

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 「なぁなぁ、学校卒業したらどうすんの?」「俺? フリーター!」・・・なんて会話が当然になっているのか、若者のフリーター人口は年々増え続ける一方。さらに最近では「ニート」と呼ばれる若者たちの実態も明らかとなり、ただでさえ芳しくないニッポンの先行きに、さらに黒雲が立ち込めている。どうなる!? 私たちのニッポン!

 もちろん、大人たちだって黙って見過ごしているわけではない。全国各地で若者へ向けた講演・セミナーなどが、活発に行われているのだ。埼玉県立宮代高校でも、先日『フリーター・ニートになる前に読む本』の著者、鳥居徹也さんによる講演が開かれた。

 「鳥居先生には以前から本校の就職支援講師としてなど、あらゆる面でサポートをしていただいておりました。今回は書籍発刊に伴い、“ぜひ講演をお願いしたい”と依頼させていただいたのです」(埼玉県立宮代高校・進路指導部)

 クイズ形式で「フリーターと正社員の生涯賃金の格差」を解説するなど、講義は一貫したわかりやすさで進行した。なかでもユニークなのが、アニメ映画『帰ってきたドラえもん』の放映。未来に帰らなければならないドラえもんのために、のび太が自立を決意するという、大人でも涙なしでは観られない感動ストーリーである。しかし、なぜ講演でドラえもん?

 その答えは、放映後に鳥居さんが言ったメッセージの中にある。いわく、「のび太はドラえもんのために自立を決意した。誰かのために生きる。それがヒーローだ」・・・「のび太」を自立できない若者、つまりフリーターやニートに見立て、それを支える環境を「ドラえもん」として表現したのである。とても斬新なアイデアだと思うが、生徒たちの反応はどのようなものだったのだろう?

 「身近に感じるキャラクターだったので、反応はとても良かったですよ。のび太にとってドラえもんが良き相談相手であったことがどんなに重要か、生徒たちの心に響いたと思います」(同氏)

 映画の途中で、こんなシーンがある。いつものようにジャイアンと喧嘩になり、のび太はドラえもんに助けを求めようとするのだが、ぐっと堪える。そして、代わりに叫ぶのだ。「僕だけの力で君に勝たないと、ドラえもんが安心して未来に帰れないんだ!」と。
 
 皆さんは今、自分の大切な人を安心させていると言い切ることができるだろうか? (安田明洋/verb)