フランチェスカ・ヘイワードとトム・フーパー監督
 - Photo: Kazuhiko Okuno

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 大ヒットミュージカルを実写映画化した『キャッツ』が24日より公開された。豪華キャストが“猫化”したビジュアルも話題の本作。メガホンを取った『レ・ミゼラブル』のトム・フーパー監督と、主人公ヴィクトリアを演じたフランチェスカ・ヘイワードが来日し、インタビューに応じた。

 人間に捨てられた若く臆病な子猫ヴィクトリア(フランチェスカ)の視点から、ロンドンの片隅にあるゴミ捨て場に集まった“ジェリクルキャッツ”=人間にこびず、気高く生きる個性豊かな猫たちの世界を描く本作。英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルであるフランチェスカのほか、人気歌手のテイラー・スウィフト、オスカー女優のジュディ・デンチらが猫を演じている。

 昨年7月に海外版予告編が公開されて以来、キャラクターたちのビジュアルが大きな話題を集めていた本作だが、フーパー監督は「こだわったのは、人間が演じる猫を見せることです」と語る。そこには舞台版へのリスペクトと、映画だからこそできる表現で描きたいという思いがあったという。

 「舞台版はライブで踊って歌って、そこが素晴らしい。なのでアニメーションで描くのではなく、キャストにその場で踊って歌ってほしかった。それから舞台の衣装やメイクを見たときに、どうしたら映画のマジックでより良いものにできるかと考えました。それでデジタルエフェクトを使って、人間が猫を表現しやすくなる方法をとりました」

 フランチェスカも「自分が猫になるのを見るのは変な気分で、慣れるのに時間がかかったけど、すごくクール。撮影中はどんな姿になるのかわからなかったから、うれしいサプライズでした。いつもみんなでどんな猫になるんだろうと話していました」とほほ笑んだ。

 アメリカでは公開後に視覚効果(VFX)をアップデートした改良版が各劇場に送られたことが報じられていたが、「VFXというのは複雑で、より良くしようと思ったら永遠に作業できるんです」とフーパー監督。「何か内容が変わったわけではないけれど、ちょっとしたディテール、例えば顔と毛のブレンド具合だったりが自然になっています。誰かに止められるまで、とことんやりたくなってしまう性格なんです」と笑った。

 さらに、フーパー監督は「この作品は5歳から85歳まで、幅広いファミリーに観てほしいと思って作りました。子供は想像力がオープンで、いろいろなことをそのまま受け入れることができる。おいとめいがロンドンプレミアに来たときも、彼らにとっては(人間が演じていても)猫は猫なんです。そういう感覚は大人になると失ってしまいがちなもの。日本の皆さんにも童心に返って観てほしい」とアピールした。(取材・文:編集部・中山雄一朗)