『ケトルVOL.50』(太田出版)

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ザギンでチャンネーとシースー……なんてチープな言葉で業界人っぽくなれる時代は終焉を迎えましたが、実際に“業界のプロ”が使っている言葉の意味を理解しているだけで、イケてる雰囲気を醸し出せる気がするのも事実。現在第3シリーズ『時効警察はじめました』が放送中の時効警察シリーズでは、たっぷり業界用語が出てくる回があります。

それは、サスペンスドラマの現場が舞台となった1期第4話。主役の霧山修一朗(オダギリジョー)は憧れの“アネゴ探偵 寂水先生”を演じるアヤメ旅子に出会い、実際の撮影現場も見学させてもらいます。

そして業界に染まった霧山は、早速時効管理課のメンバーに覚えたての「テレビ業界用語」を披露。こういう業界人ネタに一番弱い男・十文字(豊原功補)も、霧山の話に聞き耳を立てながらこっそりメモし、覚えたての「フレームイン」「煽り」といった言葉を精一杯駆使し、ちょっとした道案内にトライします。せっかくなので、そのシーンのセリフをわかりやすく訳してみました。

「まっすぐ行って上手に出てフレームインして最初の信号をキューにして。下手の大きなビルなめに少し食われた感のある小さなビルからショットの煽りで3階をバミってください(訳:まっすぐ行って右の道に入り、最初の信号を渡ってください。左手の大きなビルの奥にやや小さなビルがあり、見上げると3階に目的地があります)」。

このほか、霧山直伝の「テレビ界・知る人ぞ知る用語集」は以下の通り。

・おはようございます→撮影現場のあいさつ
・フィックス→カメラを固定して撮影する
・わらう→物を片付ける
・フレームイン/アウト→画面に映り込む/抜ける
・ナグリ→金槌、トンカチ、ハンマーなど
・地明かり→舞台上部に設置されたスポットライト
・ガバチョ→布粘着テープ
・八百屋→傾斜がついた舞台
・上手/下手→ステージから見て左/右


なお事件解決後、霧山はあれほど覚えた業界用語をスッパリ忘れていました。事件解決とともに情報を「わらう」霧山、割り切っているようです。

◆ケトルVOL.50(2019年10月16日発売)