3月のキリンチャレンジカップぶりに招集された鎌田。モンゴル戦ではヘディングで代表初得点。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

[カタール・ワールドカップ・アジア2次予選]日本6-0モンゴル/10月10日/埼玉スタジアム2002

 日本代表は10月10日、カタール・ワールドカップ・アジア2次予選でモンゴルと対戦。6−0で勝利を収めた。

 今年3月のキリンチャレンジカップ以来の招集となった鎌田大地は、このモンゴル戦で61分から途中出場し、チームの6点目をゲット。嬉しい代表初ゴールを決めた。

 ほとんどの時間で主導権を握るゲーム展開で鎌田が意識していたのが、ゴール前での働きだ。

「僕個人の内容は、そこまで気にしていなかった。今日はずっとボールを支配していたので、本当にゴール前だけ、という感覚でした。そこまで自分の頭の中で重きを置いていなかった」

 しかし、実際にシュートチャンスは何本もありながらモノにできたのは、わずか1本。「今日はかなり外していた。普段ああいうシュートの打ち方をしないシーンが多くて、ストライカーとしてのセンスが全然ないなと思っていました」と、反省の言葉が口を突くのも無理はない。
 
 そもそも2列目が主戦場の鎌田にとってはCFや最前線のポジションを任される代表は、「新しいチャレンジ」だ。「慣れるまでに時間がかかる」のは承知している。

 もっともストライカーとしてのセンスがないわけではないだろう。シント=トロイデンに所属していた昨季は、ベルギーリーグで12得点をマークしているのだ。フランクフルトに帰ってきてからはリーグ7試合で無得点だが、「1点入れば、取れると思う。僕のプロキャリアでは1点取るまでにいつも時間がかかって、そこからはすごい入っているので」というコメントどおり、これを機に波に乗る可能性は大いにある。

 ただし代表に定着するためには、決定力だけでは正直物足りない。他のライバルとは違う武器を見せる必要がある。日本人離れしたポストプレーの安定感を誇る大迫勇也、得点力と機動力がチーム随一の南野拓実、いずれも類稀なスピードが持ち味の永井謙佑と浅野拓磨とは違う“何か”だ。

 そこで活きてくるのが非凡なパスセンスだ。鎌田の独特の間で繰り出される一撃必殺のスルーパスの鋭さと正確性は、明らかに他のライバルとは一線を画すレベル。

 1.5列目は言わずもがな適任だろうし、CFで使えば、中島翔哉、伊東純也、堂安律といったイケイケのウイングの攻撃性能を活かした、いわゆる「ゼロトップシステム」にもできる。

 ゴール前の仕事に重点を置いていたモンゴル戦では披露する機会はなかったが、そうした鎌田なりの武器を見せられれば、戦術の幅を広げる重要戦力になる。持ち味をアピールするためにも、次のタジキスタン戦(15日)はターニングポイントになるかもしれない。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

【日本代表PHOTO】長友佑都の代表10年ぶり弾など大量6ゴールで大勝!モンゴルを終始圧倒しアジア2次予選2連勝!