松竹マルチプレックスシアターズは、東京都千代田区にある「有楽町マリオン」新館の「丸の内ピカデリー」で都内初となる「ドルビーシネマ」を導入、10月1日に内覧会を開催した。

 ドルビーシネマとは、最先端の映像技術「Dolby Vision」と立体音響技術「Dolby Atomos」、没入感を高める最新のシアターデザインを採用した劇場のこと。現在、世界中で急速に拡大しており、昨年から徐々に日本でも導入が進んでいる。今回、内覧会が開催された新しい丸の内ピカデリーのシアター数は「1」。ドルビーシネマ専用の劇場になる。

 松竹の迫本淳一社長は内覧会に先立ち、「今年の映画における興行は好調で、ネットでは代替えできない価値を提供できている。新たなスタイルの映画体験も多く登場してきているが、その中でも今回導入するドルビーシネマは究極の体験になるのではないか」とコメント。「相当のお金がかかっている」と集まった報道陣を笑わせたが、実際に映像・音響・シアターデザインのトータルで最上級のシアターに仕上げており、コストも通常の劇場とは比にならない。

 まず、映像ではコントラスト比が100万:1という規格外のハイコントラストを実現。これは従来フォーマット(2000:1)の500倍だという。劇場のスクリーンに映る黒はこれまで若干の白みがあり、それを制作者も鑑賞者も当たり前として受け入れてきたが、ドルビーシネマの黒は本当に黒。見る人が見ればというレベルではなく、誰が見ても一目瞭然のレベルだ。

 レーザー光源は2台の「ドルビービジョン プロジェクションシステム」を採用しており、輝度は従来の約2倍(108nits)。色域は従来のDCI P3からRec 2020に拡張。輝度と色域の幅が広がったことで、実物を見ているような鮮やかな世界をスクリーンに表現することができる。

 音響技術で採用している「Dolby Atomos」は上下左右のさまざまな場所から音を響かせるオブジェクトベースの立体音響技術。最近では、スマートフォンやPCでも採用されており、名前を聞いたことがある人は多いかもしれない。

 もちろん、ドルビーシネマのDolby Atomosはそれらと比べ物にならない。空気の振動が体にダイレクトでリアルに伝わってくる。その振動も非常に表情豊かで、映像作品の音であることを思わず忘れてしまうレベルだ。デモ映像で流れたあるシーンでは、見たことのある映像にも関わらず、そのリアリティに思わず当時は感じなかった感動を覚えた。

 丸の内ピカデリーにおけるドルビーシネマの座席数は255席(うち車椅子席2席)。鑑賞料金は、通常料金に追加でドルビーシネマ作品が一律600円、ドルビーシネマ3D作品が一律1000円となる。オープニング作品は、10月4日公開の『ジョーカー』。同日0時から日本最速上映を実施する。

 その後、11月1日に『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』、11月22日に『アナと雪の女王2』、11月29日に『ドクター・スリープ』、12月20日に『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を上映。年明けに劇場版『機動戦士ガンダム』I〜IIIの同時上映、『Fukushima50』など、アニメや邦画作品の上映を予定する。(BCN・大蔵大輔)