史上初、ブラックホールの撮影に成功!8つの電波望遠鏡束ねた「イベント・ホライズン・テレスコープ」で画像化

ブラックホールの姿を直接とらえることを目標とする「事象の地平面望遠鏡(Event Horizon Telescope:EHT)」プロジェクトが、世界6か国で同時記者会見を開き、史上初めて捉えたブラックホールの姿を公開しました。ブラックホールは非常に強い重力を持つため光ですら逃げることができず、その姿が見えないと想像されていました。

今回発表された画像を見る限り、その姿は中心が黒くくりぬかれたように映っており、光すら脱出できないと言われるブラックホールの予想された姿そのものと言えます。今回の成果はThe Astrophysical Journal Lettersに6本の論文として掲載されました。プロジェクトは、世界8つの電波望遠鏡を結合させ、擬似的に地球サイズの望遠鏡として使うことで、EHTを構成し、超大質量ブラックホールがあると予想されていた2017年4月におとめ座銀河団の楕円銀河M87の中心を観測しました。
この超大質量ブラックホールは地球から5500万光年の距離にあり、質量は太陽の65億倍とされます。アインシュタインの一般相対性理論によって予言された宇宙のもっとも極限的な天体であり、非常にコンパクトでありながら莫大な質量が非常に強い重力を生み出し、周辺の時空間をゆがませ、周囲の物質を過熱しているとされます。

したがって、ブラックホールの周囲に輝くガスがあれば、その中心にあるブラックホールが黒い影のように見えるだろうと予想されていました。ただし、会見においては今回撮影された画像における中心の黒い円の部分はブラックホールの事象の地平面ではなく、光が通り抜けられないブラックホールシャドウと呼ばれる現象とのこと。

なお、今回の観測ではブラックホールが高速で放出しているジェットが観測できませんでした。もしジェットが確認されれば、その銀河に対して何らかの影響を与えているはずであり、ジェットの理解が銀河全体に対する理解を深めることにつながるはずだとのこと。これに関しては、今後数年でまた大きく解析が進むだろうとしています。

ブラックホールの「事象の地平線」を撮影へ。世界の電波望遠鏡をリンク、地球規模の電波干渉計として使用