「大奥」「砂の器」「白い巨塔」…いま、名作ドラマが次々にリメイクされる理由
3月に入ってから、名作のリメイクドラマが次々に放送されています。
10日は1980年代に一世を風靡(ふうび)した時代劇「必殺仕事人2019」(テレビ朝日系)、23・24日は1984年に大河ドラマ「山河燃ゆ」(NHK)のタイトルで放送された「二つの祖国」(テレビ東京系)、25日は何度もリメイクや続編が制作された「大奥 最終章」(フジテレビ系)、28日はかつて仲代達矢さんや中居正広さんが主演した「砂の器」(同)、30・31日は数多くの作品が制作されてきた「名探偵・明智小五郎」(テレビ朝日系)が放送されました。
4月14日の「アガサ・クリスティ『予告殺人』」(テレビ朝日系)、5月22〜26日の「白い巨塔」(同)、さらに3月25〜28日に放送された朝ドラの続編「ひよっこ2」(NHK)も含めて、テレビ業界の中でブームのようになっているのは明らかです。
なぜ今、過去の名作が立て続けにリメイクされているのでしょうか。
テレビ局にとっての大型ドラマとは
最も分かりやすい理由は、各局にとって節目の年だから。フジテレビとテレビ朝日が開局60周年、テレビ東京は開局55周年を迎え、「大型ドラマを制作・放送しよう」という狙いがあるのです。
制作サイドの考える大型ドラマ=名作のリメイクであり、だからこそ、日本を代表する大物作家と言える山崎豊子さんの「二つの祖国」「白い巨塔」、松本清張さんの「砂の器」が選ばれたのでしょう。
同じ作品を何度もリメイクしているのは、これらがドラマというジャンルにおける“クラシック”のような存在であり、時代を問わない良さがあるから。テーマが深い上に、登場人物が魅力的でドラマ性が豊かであるため、内容で批判を集めることがほとんどなく、スタッフは「一度作ってみたい」、俳優は「一度演じてみたい」という人が多いのです。
一方、視聴者にとっての名作は、中高年層が「懐かしく、つい見てしまう」ものであり、若年層が「新しく、『面白い』と言われているだけに気になる」もの。制作サイドにとっては、「少なくとも(視聴率に直結するリアルタイム視聴傾向の強い)中高年層は見てくれるだろう」という計算が立つのです。
新元号になっても再リメイク必至
名作のリメイクはドラマだけではありません。3月24日に「世界ウルルン滞在記」(TBS系)が放送されたように、バラエティーでも「過去の名作を復活させよう」という動きがあります。
あるいは、かつての「ガチンコ」(TBS系)を思わせる、「林先生が驚く初耳学」(同)の「アンミカ先生が教えるパリコレ学」「吉川美代子先生の女子アナ学」も、“名作を現代風にリメイク”という意図のコーナーと言えるでしょう。
リメイク作品の放送が発表されると、「またリメイクか」「もう飽きた」という批判の声も上がりますが、「名作を新たな時代につないでいく」「若年層はまだ一度も見ていない」という点では意義深いものがあります。平成という時代が間もなく終わろうとしていますが、今回放送された名作は次の元号でもリメイクされるのではないでしょうか。