娘たちから花束を贈られた張栩・新名人(中央)

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(東京 8日 中央社)第43期囲碁名人戦七番勝負で井山裕太・前名人に勝利し、10期ぶりの復位を果たした台湾出身の張栩・新名人の就位式が7日、東京都内のホテルで開かれた。年齢を重ねるにつれ、自身の成績だけでなく日台囲碁界のために力を尽くしたいと考えるようになったという張。これからは囲碁の魅力を伝えることで囲碁の普及に貢献していきたいと語った。

2009年の名人戦七番勝負で10歳近く年下の挑戦者、井山に敗れて以来、十段や王座、棋聖などのタイトルも次々と奪取された張。今回は因縁の相手ととことん戦うつもりで臨んだという。対局後、井山が取材で「張栩さんは強かった」と話したと知りうれしかったと感想を述べた。

張は10歳でプロ棋士を目指して日本に渡り、09年に当時最多の五冠を制したが、13年に無冠に。気持ちの切り替えを図ろうと、15年に故郷の台湾に約1年間里帰りしている。中央社の取材に対し、当時の状態が心身ともにさんざんだったという理由のほかにも、日本で生まれた子どもたちに台湾の文化に触れさせたい気持ちもあったと説明した。

里帰り期間には台湾の棋士らと交流したほか、それまでやりたいと思っていた青少年の指導にも当たり、その過程で、自身の調子も徐々に回復していったという。

勝負の世界は残酷で、ストレスを受けやすいと語る張のストレス解消法はスポーツ。最近はクライミングがお気に入りで、ここ2〜3年は健康状態も体力も大きく変化し、気持ちも明るくなったそうだ。

(楊明珠/編集:塚越西穂)