室屋成(撮影:岸本勉/PICSPORT)

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日本代表合宿がスタートした12日、室屋成は足早に報道陣の前を通り過ぎようとしていた。まるで自分が何か聞かれることはないだろうという素振りだった。だがもちろん、呼び止められて記者たちが集まり、質問が続く。室屋はずっとその場に留まり、丁寧に答えていた。

森保一監督はこれまで招集したメンバーを中心に2019年のアジアカップに臨む日本代表を構成するとしており、9月以降すべての代表選に招集されている室屋成は、当確と言えるだろう。報道陣が話を聞くのは当然のことだ。

もっとも室屋には同ポジションに酒井宏樹という強力なライバルが存在する。室屋は酒井を「対人も強いしスピードもあって、ビッグクラブでプレーしているということで、迫力もあるサイドバックだと思います」と見ていた。

一方で「自分とは少しタイプが違うと思います。対人の仕方も違うので比べることはありません」と言い、森保監督のチームを「こういうスタイルでやっていくのは自分に合ってる」という自信もみせた。

そこで室屋に最初は足早に通り過ぎようとしていた理由を尋ねてみた。室屋は「呼びかけられれば止まりますよ」と笑顔で語った後に、表情を引き締め「2試合目のときは(記者から)声をかけられますけど、1試合目からもっと声をかけられるようになりたいと思います」と続けた。

代表戦が2試合予定されているとき、1戦目の前はレギュラーと目される選手に報道陣が集まる。そのレギュラーが1試合目で出場すれば、もう1人の選手は2試合目で使われるのではないかと推測して、2試合目の前に呼び止められることが多くなる。

室屋は、自分の立場や寄せられる期待を報道陣の集まり方で感じていた。だからこそキルギス戦では「サイドからの攻撃が重要になるので、そこで自分がいかにバランスを取りながらチャンスを作れるか」という自分の特長を出そうと意気込んでいる。

【森雅史/日本蹴球合同会社】