トム・クルーズ

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 猛暑の中での取材。仕事とはいえ、芸能取材の現場も過酷です。

 先日、俳優のトム・クルーズが映画『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(8月3日公開)のプロモーションのために、23回目の来日を果たしました。

 そのジャパンプレミアイベントは、野外で行われました。集まったファンは約1000人。「ミッション:インポッシブル」好きのファンのためか、猛暑対策の危機管理はしっかりしていて、誰一人、具合が悪くなる人は出ませんでした。

 ところがメディア側は不摂生をまとったようなタイプばかりで、それを棚に上げて文句ブーブー。屋外イベントは、約2時間も続いたからです。

 最近、海外映画のイベントで大はやりの取材スタイルに、サウンドバイツというものがあります。回廊の内側にファンが陣取り、テレビの取材カメラが回廊の外側に並び、出演者や監督がその間を歩きながら、ファンサービスとメディア取材を一緒にこなしてしまおうというやり方です。

「ちょっと前、スターウォーズの最新作のジャパンプレミアも同じサウンドバイツ形式でした。この形式だと、出演者が自社のカメラの前に来るまでは、ただ待機なんです。テレビ局以上につらいのは、ウェブ媒体や週刊誌、スポーツ紙の記者、スチールカメラマンですね。

 基本、何もやることがないので、出演者が最後に登壇するまでは、ただ見物人になるだけ。非効率なんです。それにテレビ局の人は、監督や共演者の話なんてオンエアしないから、トムだけのコメントを取れればいい、って言っていました。

 ところがサウンドバイツだと、他の共演者や監督のコメントも取ってくださいと、PR会社の人に言われてしまうんです」

 映画サイト記者は、そう指摘しため息を漏らす。

 対照的に、ハツラツだったのは、トム・クルーズだ。ファンと記念撮影を楽しんだり、サインに応じたり、日本の酷暑にも嫌な顔一つ見せず、まさに神対応。

 撮影1日目に右足首を骨折し、全治9か月の診断を受けましたが、わずか1か月で撮影に復帰する超人的な回復を見せたと伝えられています。そのことを確認すると、

「僕は映画作りに人生をささげているから、お客さんのために全力を尽くす主義。お客さんには映画を見るだけではなく、体験してもらいたいと思っているから、どんな映画でもスタントを使わないで、自分でチャレンジを続けているんだよ」

 と、身体を張る撮影について語りました。その表情は、ハリウッドのトップスターの自信に満ちあふれていました。

 なぜ全治9か月と診断されたものが、1か月で復帰できたのか? そんなのあり得るの? という疑惑さえも、映画の宣伝材料のエピソードとして昇華されていきます。

 タフなトムに、やわな取材陣。そんな構図が酷暑の中で浮き彫りになった取材現場でした。

<取材・文/間垣ジェーン美瑠>