【更新】イーロン・マスク、タイ洞窟救出用潜水艦を完成。衰弱者救出に活用なるか

タイの少年サッカーチーム洞窟遭難事故は、現地の救出チームがすでに4人の少年の救出に成功しています。しかし、少年らの中には水泳ができない者や衰弱している者もいるとのこと。そのような人々をどうやって助け出すかは記事執筆時点ではまだはっきりしていません。

一方、この遭難事故の救出作業に支援の名乗りを上げているイーロン・マスク氏は、泳げない子供も救出可能な、人ひとり分の大きさの潜水艦(缶)を試作し、ロサンゼルスのプールで実際にそれが使用可能かどうか実験をするまでに至っています。
イーロン・マスク氏はタイの洞窟事故発生の知らせを見てなにかできないかと考え、すぐに数名のSpaceX/The Boring Company技術者を現地へ送り込む指示を出しました。一方で、Twitterで自ら救出アイデアを出しつつ様々な人からの意見を取り入れてブラッシュアップするという、いかにも21世紀のテクノロジー起業家らしい発想で、7月8日には救出用潜水"缶"の具体案をまとめ上げました。

そして、その潜水缶を実際に日本時間7月9日朝までに試作、プールでの実地試験を開始しています。この潜水缶にはいくつもの把手がつけられており、ダイバーがそれを掴んで水中を運搬できるようになっています。内部には酸素ボンベからエアを供給できるようになっており、気密性も十分保たれています。

なお、そのままだと浮力が生じてしまうため、この缶の胴体部分にはダイバー用のウエイトを取り付けることでそれを調整するとのこと。またいくつかの動画では、遭難現場の洞窟を知る専門家から得た情報をもとに洞窟内の狭い場所を想定した通り抜けの仕方もシミュレーションするなどして、可能な限り万全の体制を築き上げようとしている様子が伺えます。

もちろん、ロサンゼルスのプールでうまく行ったとしても、それをタイの遭難現場に運び込むまでには約17時間が必要とされます。したがってそれまでに少年らが全員助け出される可能性もあります。また現地の救出チームがマスク氏の案を採用するかどうかもわかりません。

とはいえ、マスク氏はこの潜水缶のアイデアは宇宙船からの脱出用ポッドとしても役立つだろうという二次的な活用アイデアも出しており、たとえ少年らの救出に使われる機会がなかったとしても、そのアイデアはどこかで再利用される可能性がありそうです。

タイの現場には、オーストラリアから19人の医療チームが駆けつけており、洞窟内から脱出するだけの体力があるかどうかの判断に協力しているとされます。なお、救出チームは今日の救出作業を開始する前に脱出ルートの要所要所にまずは必要な酸素ボンベを配置する作業が必要だとして、その作業に数時間を要すると語っています。

またすでに救出された4人の中には25歳のコーチも含まれるとのこと。なぜコーチが真っ先に?と思われるかもしれないものの、このコーチは自身が持っていた食料を少年らに与えてしまっており、衰弱の度合いが進みつつあったためとCBSは報じています。

7月9日22時更新:タイの現地救出チームは8日と同じ水中マスクによる潜水方式で9日の救出作業を開始し、4人を新たに救出したとCNNが報じました。これで残る要救出者は5人となりました。なおCBSは8日、現地報道から25歳のコーチが救出されたと伝えていましたが、CNNはこのコーチが残る5人のうちの1人としていまだ洞窟内にいると報じています。