湯気がホヤホヤなのは...段ボール? 福岡にある看板が「なんかいい」と評判!
2018年3月24日、次のような写真付きのツイートが投稿され、話題となっている。
近所にあるこの看板、まさしく「だからなんだと言うのだ」なんだけど、なんかいいんだよな。 pic.twitter.com/jrhkquikpP
— 桜島ニニコ (@sakurajimanini) 2018年3月24日
写真は、ディスカウントストア駐車場脇にある大きな看板だ。看板には「九州包装機材工業株式会社」という社名がある。場所は九州のようだ。「なんかいいんだよな」というコメントも添えられている。
このツイートには、「こういうの好き」「おいしそうな段ボール」「いい匂いがする段ボール」「出来立てのダンボールの上で雑魚寝したい」などといった感想が寄せられている。いったいこれは?
Jタウンネット編集部は九州に電話して、話を聞いてみることにした。
トリビア風のキャッチコピーにしてみたが......
九州包装機材工業の看板(画像提供:九州包装機材工業)
電話で答えてくれたのは、福岡県大野城市にある九州包装機材工業の姫野正浩社長だった。
「あの看板は大宰府インターチェンジ近くの県道112号線沿いに立っています。もともと10数年前から所有しており、当時は社名と電話番号だけのデザインでしたが、5年前、リニューアルして、現在のものに変えました」と姫野社長は語る。
九州包装機材工業は、段ボールやガムテープ、緩衝材などの卸売り事業を手掛けている。1968年創業というから、50周年を迎えた小さな企業だ。
「当社は主に企業向けの商品を扱っている、いわゆる『B to B』のビジネスを行っています。どちらかというと裏方的な地味な商品ですので、少しでも印象に残る看板で、一般の方の認知度を上げたい、と考えました」
「5年前、リニューアル当時、テレビのクイズ番組が人気でした。トリビア風のキャッチコピーにすると、『おや、何だろう?』と関心を持ってもらえるかな......と」と姫野社長。
看板のコピー「できたての段ボールは湯気でホヤホヤです」を目にして、興味をそそられた人は多いだろう。
九州包装機材工業のウェブサイトには解説が用意されているので、一部紹介しておこう。
段ボールは通常3枚の原紙を元にコルゲーターと呼ばれる機械で作られます。1枚は表面、もう1枚が裏面、そして残りの1枚は波々の形をしていて中芯と呼ばれています。
波々状になった中芯と、裏面となる原紙をでんぷん糊で接着するのが、段ボール製作の重要なポイントだ。
この両面の接着を行う際、でんぷん糊を加熱し蒸発させた上で中芯に貼付けます。なので、できたての段ボールは湯気でホヤホヤすることになります。ちなみにこの時の温度は約180〜190℃と非常に高温で、実際は「ホヤホヤ」などといった可愛い雰囲気ではないかもしれません。
なるほど、段ボールの世界も深い。こういった解説を読むと、知的好奇心も満足されるだろう。なお「ガムテープはエジソンの発明品です。」というバージョンもある。こちらも大いに興味をそそられるトリビアだ。
九州包装機材工業の看板(画像提供:九州包装機材工業)
看板を見た企業から、実際に問い合わせがあり、取引まで進んだケースも数件あったという。一般からの反応はあまりなかったのだが、今回ツイッターで話題になると突然、あちこちから反響が飛び込んでくるとのこと。