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夫との離婚を検討している女性が、「(夫の)親名義の口座にあるお金は、財産分与の対象になりますか?」と、弁護士ドットコムの法律相談に質問を寄せた。突飛な質問にも思えるが、実は夫の会社が数年にわたって「給料の一部を夫の親名義の口座に振り込んで」いたという。

相談者はこの事実を知らずにいたが、夫は不倫をしている。そこで離婚した場合、親名義の口座にあるお金が財産分与の対象になるかどうか知りたいようだ。夫は今も両親に渡していることを秘密にしており、「貯金がないのはお金の管理ができていないからだ」と非難する始末だという。

夫が夫の親に対して渡したお金は、財産分与の対象となるのか。またもし、そのお金をすでに使ってしまっていた場合、財産分与の対象とはならないのだろうか。家事事件に詳しい浅尾美喜子弁護士に聞いた。

●夫の両親が生活費として使っていると「分与の対象外」

「夫が振り込んでいた口座を実際に管理していたのは誰でしょうか。管理していたのが親なのか、夫なのかで、答えは異なってきます。

まず、親が実際に受け取り、親自身の生活費として使っていた場合には、残金があっても分与の対象にはなりません。夫には親族扶養義務があり、振込はそのためだったと考えられるからです」

●夫が実質的に管理していれば「分与の対象になる」

では、夫が管理していた場合には、どうか。

「夫がその口座の通帳及び印鑑を持ち、実質的に管理していた場合には、何らかの目的のために名義をかえて夫が貯めていたとも考えられます。この場合には、夫自身の口座とみなすことが出来る可能性があります」

夫が管理していたと証明できれば、財産分与の対象になるとして交渉できるのか。

「この場合には、通帳の残額が財産分与の対象とみなされることになります。しかし、すでに使ってしまっており、口座に残額がない場合には、分与対象財産がないため、実際には相談者に分与されることはありません」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
浅尾 美喜子(あさお・みきこ)弁護士
銀座で弁護士事務所を開設して20年、多くの民事事件、家事事件を手がけてきた。依頼者から「最強の弁護士」と称される。最近は、家事事件・会社法事件に加え、医療過誤や労働事件の依頼が多い。
事務所名:新銀座総合法律事務所
事務所URL:http://newginza.jp/index.html