日本の漢方薬の良さは中国人にも認められており、これは訪日中国人が漢方薬を「爆買い」する光景からも分かる。(イメージ写真提供:123RF)

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 かつて日本は非常に多くの事物を古代中国から学び、取り入れてきた。中国医学もその1つで、中国には現在でもその場で生薬を調合してくれる薬局がたくさんあるが、実は現在の漢方大国は日本だという。それは、日本が世界の漢方薬市場で圧倒的なシェアを獲得しているためで、中国メディアの今日頭条は23日、これを「中国人が思いもよらなかった」事実として紹介した。中国のシェア率はわずか2%ほどにすぎないという。

 記事によると、日本は中国医学を唐の時代に学び、のちに明治維新の頃に「捨てた」過去があるという。実際のところ完全に捨てられたわけではないが、経済発展に伴い、慢性疾患やアレルギーといった現代病が広まると、漢方が見直されるようになったと分析した。今では本家の中国よりも広まっているといえるだろう。

 日本では89%の医師が漢方薬を処方することがあるとし、安全性や環境への配慮を重視した管理基準であるGAPへの取り組みも中国とはけた違いだという。日本の漢方薬の良さは中国人にも認められており、これは訪日中国人が漢方薬を「爆買い」する光景からも分かるとした。

 それにしても、なぜ漢方薬が日本でここまで広まったのだろうか。記事は、「政府の協力」、「イノベーション」、そして、「高い品質」のためだとした。日本の企業は研究開発に力を入れており、研究者の数は多く、研究開発にも積極的な投資を行っていることを指摘。また、人によって調合がばらばらな中国医学とちがい、日本の漢方薬は品質が一定して高く、生薬の国産化を進めるなど生薬の品質保証にも力を入れていると紹介した。

 中国人の誇る中国医学が日本で普及していること自体は、中国人としては鼻が高いことかもしれないが、中国が守るべき伝統産業が日本でここまで発展してきたというのは複雑な気持ちであるに違いない。記事は、「我々は日本に何を学べるか」と問いかけているが、中国はイノベーションに力を入れると同時に伝統産業をしっかりと守る努力をした方が良いのではないだろうか。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)