日本ならではのテイストを盛り込んだデザインが魅力

 前回は完璧で独断で決定した国産現行車個性派デザインベスト10の第10位から6位までを発表したが、今回はいよいよ上位5台だ。

第5位/スズキ・イグニス

 ヨーロピアンテイストのデザインだが、それを超えている。決め手は背の高さだ。ヨーロッパのコンパクトカーは、安定感を求めるあまり、どうしても平べったくなり、頭上空間が狭くなるが、イグニスは日本車的幅狭&ノッポなフォルムを導入。

 その分、ヤリスギと思えるほどのオーバーフェンダーで、安定感を演出している。顔つきも、ちょっとワルな目付きで威嚇感を持たせているが、ヨーロッパ車にありがちなただの吊り目とは違う、日本的なポヨンとした感覚が漂う。傑作である。

第4位/トヨタC-HR

「これぞモダン・ジャパニーズ」と言っていい、ステキなアニメテイストがある。C-HRを見て誰もが思い浮かべるのは『攻殻機動隊』だ。そこに登場する多脚戦車が連想される。


まあこれは私が勝手に連想するだけで、具体的にどこが似ているというほどでもないが、これぞ日本的自動車デザインのひとつの方向性と賛辞を贈りたいでちゅ。しかも、全体のデザインバランスがとてもいい。トヨタの力作だ。

第3位/スズキ・アルトラパン

 きゃわゆいデザインは日本の独壇場。アルトラパンが街中を走っているだけで、かわいくて頬ずりしたくなる。

 ドイツには、「かわいい女性」は、建前上存在しないという。かわいいというのは弱々しいという意味を含んだ言葉で、成熟した大人の女性に使うべき言葉ではないため、「美しい女性」しか存在しないらしいのだ。しかし本音では、世界中の人間がカワイイデザインが大好き。それをこのようにクルマの形で商品化しているのは、国産メーカーだけなのだ。

第2位/ダイハツ・ムーヴキャンバス

 日本的きゃわゆいデザインを、日本的ハイトワゴンフォルムで実現した傑作。


パッと見、VWバスのパクリにも見えるが、それは主にカラーリングが原因で、フォルムは日本の軽特有のハイトワゴンそのものだ。つまり、どこからどう見ても日本的で、しかも多くの人の心をつかむ魅力を持っている。オッサンだってムーヴキャンバスに乗って、かわいいオッサンになりたいでちゅ!

第1位/マツダロードスター

 日本的とか世界的とかいう枠をはるかに超えた、人類が生んだ傑作デザインのひとつと言い切りたい。非常にシンプルでありながら、完璧に近い美しさを持っている。

 コンパクトさも、今後スポーツカーが進むべき道を示している。現在地球上で売られているすべてのスポーツカーの中で、もっとも魅力的なデザインではないだろうか? 涙が出ます。