SMAPファン、山田孝之、真木よう子らがやった“お金集め”の賛同と批判
●山田孝之=502万円
●真木よう子=634万円
●SMAPファン有志=合計5300万円
●西野亮廣(キングコング)=合計1億円以上
この金額はそれぞれがファンや一般人に向けて資金提供を呼びかけ、結果的に集まった金額だ。これらはすべて“クラウドファンディング”と呼ばれる手法を使って、お金が集められた。
「“クラウド”とは、群衆という意味。そして資金調達という意味の“ファンディング”を合わせた言葉です。
具体的には、“こういうモノを作りたい”“コンサートを開きたい”など、やりたい企画がある人が、不特定多数の人から、基本的にインターネットを通して、金銭的な支援や協力を集め、企画を実行します。芸能人であれば作品を作りたいので、その制作資金を集めたい、といった形が多いですね」
そう話すのは、クラウドファンディングに詳しいITジャーナリストの坂本翔氏。
「クラウドファンディングは、大きく分けると種類は3つ。資金提供者に対して、サービスや権利、物品をリターン(返礼)する【購入型】。企画発案者が考えたリターンを買うイメージです。そのほかの2つは、金銭的なリターンのない【寄付型】、金銭的なリターンのある【投資型】となります」(坂本氏)
冒頭の芸能人たちは、いったい何のためにこれほど多額の資金を集めたのか。
「山田孝之さんは、8月に知人とともに会社を立ち上げました。その会社の第1弾プロジェクトが、“江戸ガラスを使ったグラスのプロデュース”。その制作資金をクラウドファンディングで集めました。早々と目標の500万円を達成しましたが、彼の企画は、集まった金額分を生産する形なので、期限まであとひと月ありますし、まだまだ伸びそうです」(スポーツ紙記者)
企画は支援金額によってコースが分かれ、日本酒グラス1脚がリターンとして贈られる1万3122円から、グラス全種類とレセプションパーティーへの招待がついた32万4000円のコースとさまざま。金額に応じてグラスの種類や数が変わる購入型だ。また、目標金額に達成しなかったとしても、支援を申し込んだ時点で売買契約の成立となるシステムとなっている。
SMAPファンの結束は強い
「クラウドファンディングは、多くの場合、目標金額が設定され、その金額に達しなかったら企画自体がなしとなる【達成時実行型】や、目標金額に達しなかった場合でも、調達した資金を受け取ることができる【実行確約型】などがあります」(坂本氏)
寄付型のクラウドファンディングによって多くの資金が集まったのが、SMAPファンによるもの。
「SMAPは『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)において毎週、被災地への支援を呼びかけていました。それを引き継ぐ思いで今年、彼らのファンが企画したのが、'16年の熊本地震への支援金を集めるクラウドファンディング。結果、目標を大きく上回る1300万円が集まりました」(前出・スポーツ紙記者)
クラウドファンディングを有効活用し、その存在を広めた芸能人として有名なのが、お笑いコンビ『キングコング』の西野亮廣だ。
「絵本作家としても活動している西野さんは、'13年にニューヨークで自身の絵本の原画展を開く費用を集めて以来、これまでに複数の企画でクラウドファンディングを利用しています。その集まった資金の合計は、なんと1億円以上。彼の影響で、お笑い芸人を中心に何か作品を作りたいときに、資金をクラウドファンディングで集める人が増えましたね」(芸能レポーター)
当然、すべての芸能人が資金を集められるわけではない。
「塩谷瞬さんは、アフリカの難民地域に、きれいな水を届けるために井戸を掘る資金を募りましたが、'12年の二股騒動がいまだに尾を引いているのか、残念ながら目標金額の10%で終了となりました」(前出・スポーツ紙記者)
拡散することで支援者を増やすチャンスができるため、クラウドファンディングはSNSと相性がいいという。しかし、目にする人が多くなると、批判の目にもさらされる。
真木よう子は自主制作の“フォトマガジン”の制作資金をクラウドファンディングで募り、それを『コミケ』で売ろうとしたため“自分のお金でやれ”などと批判され自身のSNSが炎上。目標金額の79%にあたる約640万円が集まったが、企画は途中で打ち切られた。
「山田さんの企画も、すでに目標金額は達成していますが、“こういう商売に手を出してほしくない”など、少なからず批判する人もいました。山田さん自身は、“勝手に騒ぎが起きているだけ”と、意に介していないようですが」(前出・スポーツ紙記者)
お金よりも広告効果
批判の根底にあるのは、“芸能人はお金がある”というイメージだ。ある芸能プロ関係者は、
「内容がどういったものでも、批判の声が上がるので、事務所としてはやることを止めることはありませんが、全面的に賛同はできないというか……。ただ、事務所のお金ではなく、タレントの力でお金を集めているので、その面は会社としてもすごく喜ばしいことではありますね」
芸能人とクラウドファンディングの組み合わせについて、前出の坂本氏は、
「芸能人がクラウドファンディングに手を出すと、“お金があるんだから、自分でやれ”と批判されます。しかし、彼らの場合は、必ずしもお金が目的ではなく、ブランディングが目的であったり、 “新しいこと、面白いことをやっている芸能人”というイメージをつけたい、という思惑でやっていたりもします。お金よりも広告効果を狙ってやっている方が多い印象です」
新しいイメージを強く印象づけたいのか、最近クラウドファンディングと強い結びつきを感じさせるのが、現在は“のん”として活動している能年玲奈。
「8月に、クラウドファンディングサイトの運営会社とタッグを組み、のんさんの自主音楽レーベルは、そのサポートを受けることになりました。どのような形でのサポートになるかわかりませんが、彼女のライブや音源の発表などに関して資金集めのサポートをしていくのかもしれません」(レコード会社関係者)
10月から東京都はクラウドファンディングにかかる手数料の一部補助を開始。利用者は増えていくだろうから“自由”になったあの3人も?