佐藤二朗 撮影/近藤陽介

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「『週刊女性』って俺が飲んでいるの撮ったところだよね?」

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 開口いちばん、本誌記者に逆取材してきた佐藤二朗(48)。8月に本誌が報じた関ジャニ∞・村上信五との“密会”報道にこだわるのは役づくりの影響!? 週刊誌を舞台にしたドラマ『ブラックリベンジ』では編集長役を熱演中!

「個人的には週刊誌はグラビアを見るぐらいかな(笑)。スクープする側はいろいろ言われることも多いですが、批判があっても編集長なりの理があるから、必死にスクープを追っているのかなと思いながら演じています」

『週刊文春』の元記者で、現在はコメンテーターとしても活躍する中村竜太郎氏が監修を務めるとあり、リアリティーある内容になっているとか。

「台本を読んで、“いかにも編集長みたいな衣装じゃないほうがいいんじゃない?”って提案したんです。そしたら中村さんも、実際の編集部は動物園のようにいろんな髪型やファッションの人がいると教えてくださって。編集部員の中には自前のカラフルな衣装で演じている役者もいるんですよ」

 ちなみに元週刊誌の記者と接してみた感想は?

「監修を担当する中村さんはとても誠実そうな方だったので、驚きました。スクープを追う側は、本人が誠実でないとできないのかもしれませんね」

 名バイプレーヤーとして活躍する佐藤にも、マスコミを目指した時期があったそう。

「出版社は受けていないけど、テレビ局と代理店はたくさん受けましたね。子どものころから根拠もないのに役者になると思っていたけど、一方で役者だけで食えるわけもないと思っていたので、生活のために就職しよう、土日の余暇で趣味で芝居しようと。でもメーカーだと地方勤務もあり、趣味でも芝居するなら東京、東京で働けるのはマスコミ、という不純な動機でした(笑)」

 そのため、学生時代にアルバイトを経験したことのある営業職で就職活動を開始する。

「テレビ局って制作希望が多いから営業で受けると不思議がられるんです。それで素直に“実は役者をやりたくて、週末はその活動をしたい”って答えたら、全部落ちましたね(笑)。そうそうこないだ『誰だって波瀾爆笑』に出たときに25連敗したってボードに書かれちゃったんだけど、正確な数は覚えてないからその数は適当。ネットニュースにもなってしまって、どうしよう……って(笑)」

 連敗続きの就活だったが、晴れて大手・リクルートに就職。しかしたった1日で退社してしまう。

「1日で会社を辞めるって人生の汚点だから、ずっと隠していたんです。でも『波瀾爆笑』のスタッフにそそのかされました(笑)。役者になりたいと言っても放任してくれていた父親も、さすがに1日で退社したと伝えたら半泣きでした。

 ここだけは絶対に使ってほしいんですが、言うまでもなくリクルートはさまざまなアイデアが出る素晴らしい会社です。あくまでフラフラしていた当時の俺がダメだっただけなので」

 役者になるために、アルバイトをしながら2つの養成所に通った佐藤。しかし残念ながら両方で結果が出せず、26歳のときに再び就職することを選ぶ。

「こんどは小さな代理店を選びました。この道で頑張っていこうと、必死に働いていたから営業成績もよかったんですよ。でも、どこかで役者への道が諦めなかったんでしょうね。20代後半のときにどうしても演技をやりたくなって養成所時代の同期を誘って劇団を始めたんですよ。それが今でも続けている『劇団ちからわざ』ですね」

 紆余曲折(うよきょくせつ)を経て、夢であった役者として活躍中。社会人の経験は演じるうえで役立っている?

「よく聞かれるのですが、自分ではわかんないですね。衣装でネクタイを締めるときに早いぐらいかな(笑)」

 苦渋も味わってきた佐藤だけに言葉には説得力があり、8月29日付のツイッターへの投稿には、13万を超える「いいね」が。そこにはこう綴られていた―。

《10代諸君。僕もそう思っていた。「今がこんなに辛いなら大人になったらどんだけ辛いんだろう」。そうとは限らない。「大人になってからの方が千倍愉しい」。
 そう思う大人は僕の周りにもたくさんいる。その悩みの種は、いつかそれぞれの花を咲かせる。頑張ってください》

「9月1日に10代の自殺が増えるというデータを知り、息子もいずれ10代になるわけで、他人事と思えず、ひとりでも将来に希望を持ってくれたらって思ったんです」

 ツイートの最後を《頑張ってください》と締めたのは、こんな思いがあるから。

「頑張らないことの利点も300%認めたうえで、“頑張れ”はその人が笑顔になるよう祈りに似た思いの言葉。俺ぐらいの年の人が“頑張れ”って言うのをやめちゃいけない気もするんですよね」

<出演情報>
木曜ドラマ『ブラックリベンジ』 読売テレビ、日本テレビ系。夜11時59分〜。
10月5日スタート。出演/木村多江、佐藤二朗ほか