ナスティック加入当初は、チームメイトに「いやボールを見ろよ」と注意されたという。(C)NASTIC

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岩政 1年目はプレーオフに進出しましたが、2年目は残留争いに巻き込まれましたね。
 
鈴木 2年目もそれほどチーム力が落ちたわけではないんですが、経験不足が出たかなと。1年目は3部から昇格してきた勢いがあったけど、それだけでは2年目は通用しませんでした。スペイン2部は力が拮抗していて、最下位が首位に勝つことが普通にある。そのなかで上位にいるチームは、取りこぼしが少なく、勝ち方を知っているんです。
 
岩政 スペイン2部は、チームによって戦い方が違いますか? それとも結構似ています?
 
鈴木 違いますね。ボールを大切にするポゼッション主体のチームもあれば、割り切って蹴るチームもあります。
 
岩政 守備はどうでしょう?
 
鈴木 どのチームも総じてハイプレッシャーで相手のミスを狙います。ただ、プレスをかわされたら、きっちり引く。その辺は、みんな身体に染みついていて、状況に応じて動かないと文句を言われますね。
 
岩政 浮いてしまうわけですね。
 
鈴木 そうです。自分は最初の頃、まずはラインを上げようとしていたので、「いやボールを見ろよ」と言われました。
 
岩政 ほとんどの選手がサッカーを”知っている”?
 
鈴木 ですね。スペインはパスを回すイメージでしたが、守備もきっちりしていました。少し意外でした。
 
岩政 ラインコントロールは、状況に応じた判断が必要なのに、日本では極端に分けたがる傾向があると思うんです。「チームとしてラインを高くするんですか? 低くするんですか?」というように。もちろん、ベースとしての戦術はありますが、ラインコントロールも状況に合わせて個人が判断するものだと言っても、なかなか伝わりません。
 
鈴木 点を入れられないことが目的なのに、ラインを上げるのが目的になってはダメですよね。ポゼッションしたいチームが、パス回しが目的になってシュートを打たないのも問題です。状況に合わせて上手くできないのは、自分も課題でした。
 
岩政 スペインでも、試合中にパス回しが目的になってしまう時はありますか? その時は、どのポジションの選手がどういうことをやり始めます?
鈴木 まず、サイドの選手が仕掛けます。ポゼッション主体のチームでも、スペースが空いてるのに運ばなかったり、サイドが仕掛けずに後ろに戻したりすると、ほとんどの選手が怒って「前につけろ」と要求が飛びます。
 
岩政 やっぱり、ピッチ内ではそれぞれが要求しているんですね。練習内容に日本との違いは?
 
鈴木 そんなに変わりません。ポゼッションしたり、ゲーム形式をしたり、相手のフォーメーションに合わせて守備を確認したりです。
 
岩政 監督やコーチの指示はどうですか?
 
鈴木 守備について言われることが多く、特にポジショニングの指示は細かいです。攻撃のサポートはみんな身体に染みついているんですが、守備は90分間集中力がもたない選手が多い。だから、うるさく言い続けるんだと感じました。
 
岩政 ポジショニングの指示は具体的に言うと?
 
鈴木 一番言われるのは逆サイドの絞りと、ラインコントロールのタイミングです。印象に残っているのは、3バック採用時の指示でした。日本の3バックはウイングバックも含めて後ろに5枚が並ぶチームが多いですが、ナスティックは守備の時に4バックになるんです。3バックの両サイドがサイドバックみたいな動きをして、前にプレッシャーを掛けにいく。だから基本的に引かない。そのポジショニングは勉強になりました。
 
岩政 なるほど。鈴木選手は右のセンターバックでしたね?