十日町市総合体育館北側広場で、制作途中の「Back Stage #5」(撮影:東雲吾衣)

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 新潟県の十日町市総合体育館北側広場で「十日町石彫シンポジウム」が開かれている。今年で11回目を迎えるシンポジウムの会場では、4人の参加作家の制作現場を目の前で見学することができる。8月21日まで。

 「市民の生活の中に融和していくような空間の創造」を目指し、人口6万人ほどの町の各所にこれまでに作られて置かれた石彫は50体をこえる。11年前、十日町出身の彫刻家藤巻秀正氏がコーディネーターをつとめ、地元彫刻家に声をかけてシンポジウムが発足した。不況で昨日あったものが今日はなくなっているような状況の中、なにか形として残るものをと石彫作りをはじめた。

 もともと、十日町は着物と雪祭りの町。友禅の作家や雪像作りの作家が多い土地柄のため、アートへの造詣が深い町だ。

 新潟中越地震の際、石彫自体に大きな被害はなかったが、イタリア人作家マッシモ・クレリチ氏の作品が倒れ、近くの銀行のガラスを割った。「この石彫が倒れるような地震が来たら、この町も終わりだろう」と言っていたくらいにしっかりと設置されていた石彫が倒れるほどの地震だった。もちろん町も大きな被害を受けた。

 今回のシンポジウムに参加している4人の作家のうちの一人木裳耕二(きのもこうじ)氏は、完成すれば町の中に設置される予定の同氏の作品について「町の中にたくさんの石彫があって、見てくれる人が好きな作品を1つでも見つけられれば、ほかの色々な石彫がどんどん気になり始めると思う。その好きになってくれるきっかけが僕の作品だといいな」と語ってくれた。【了】

問い合わせは 事務局 教育委員会 生涯学習科 025-757-5011