【岐阜展望】伝統校、有力校が抜け出せず混迷状態のなか大垣日大がリード
第99回全国高等学校野球選手権岐阜大会が7月8日から開幕する。今回は抽選会前に注目校を中心に岐阜大会を展望する。
秋と春の4強の顔ぶれが変わった今年の岐阜県修行恵大(大垣日大)
昨年の秋季県大会と今春の県大会とでベスト4の顔ぶれががらりと変わった。それだけ、本命不在の混迷の勢力構図ということも言える。今季の岐阜県は本命不在という色合いが色濃く出ているといっていいであろう。とはいえ、今春は大垣日大が優勝して中京学院大中京が準優勝で、ベスト4に岐阜各務野と土岐商で、岐阜各務野以外は、それぞれ実績のある学校が残った。
大垣日大は阪口慶三監督が手塩にかけて育てた修行恵大が最終学年を迎えて大きく成長。東海地区大会でも好投して自信を深めている。左腕・石川 隼也も力がある。総合力ではやはり一番の存在であろう。阪口監督の提唱する「魂のこもった野球」も選手全員に浸透してきている。そうなると、やはり大垣日大は強い。
先夏の代表校・中京学院大中京(昨年は、中京で4月から現校名)は、昨秋はベスト8で益田清風に屈した。今春は2回戦で、その雪辱を果たして9対1で快勝。さらに県立岐阜商や土岐商という公立の伝統校を相次いで下しての決勝進出は、やはり力があることの証明であろう。エースナンバーを背負った古田 星投は身長は170cmにも満たないが、多彩な変化球が武器で歯切れのいい投球を持ち味としている。昨夏の経験もある。
伝統の県立岐阜商は力強い球を投げるエース岡本滉史を中心として守りの野球に徹するが、破壊力に乏しいのは否めない。
今春3位に食い込んだ岐阜各務野は左腕・大滝竜弥の出来にかかると言えよう。準々決勝で美濃加茂に競り勝ち、乱戦気味となった3位決定戦でも土岐商に勝てたことで自信をつけたのではないだろうか。
組み合わせ次第では思わぬところが、ポンと抜け出る可能性も河地京太(多治見)
昨秋に優勝した多治見はアンダースローではないが、身体を倒してから、サイドハンド気味の手の出どころで、右変則気味の河地京太投手を擁している。21世紀枠代表として出場したセンバツでは大敗を喫してしまったものの、初めての打者としては、タイミングも取りにくく打ちづらいであろう。
また、昨秋に準優勝した麗澤瑞浪の伊藤 智紀投手もアンダースローで安定感がある。昨秋の東海地区大会では敗れはしたものの、三重の強力打線に対して散発5安打、左打者に対しても強気の内角攻めの投球スタイルは評価されていいだろう。自分自身では、埼玉西武の牧田和久を参考にしているという。梅田恭明監督は、「もっと球の切れが良くなってくれれば、さらに安定感が増すだろう」という課題を掲げていたが、この夏は、その成果が問われる。
面白い存在としては、福知山成美で実績を作った田所孝二監督が就任して2年目の岐阜第一や関商工で甲子園出場を果たした北川英治監督が母校を率いる岐阜が挙げられる。さらには大垣商や岐阜城北、大垣南も侮れない。また、神奈川県の山手学院から外様として舞い降りてきて岐阜県に定着して3年目となる土井誉仁監督が率いる加茂も、矢野太一投手が逸材で面白い存在となりそうだ。
いずれにしても、組み合わせ次第では思わぬところが、ポンと抜け出る可能性も秘めている、今年の岐阜大会だ。
(文・手束 仁)
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