貴重な同点弾を決めた鈴木。14日のACLブリスベン・ロアー戦に続く先発起用に、またもやゴールという結果で応えてみせた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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[J1リーグ4節]清水2-3鹿島/3月18日/アイスタ
 
 鈴木優磨が決めれば鹿島は負けない――“不敗神話”を持つ背番号9が、またもや勝利を呼び込む活躍を見せた。

【清水 2-3 鹿島 PHOTO】終盤の怒涛の反撃で鹿島が0-2から逆転勝利

 
 清水とのアウェーゲーム、鹿島は2点を先行される苦しい展開だったが、まずは植田直通が1点を返すと、その5分後、試合を振り出しに戻すゴールが生まれる。
 
 79分、左サイドから永木亮太の長いボールが供給されると、中でスタンバイする鈴木が得意のヘッドで合わせてネットを揺らした。
 
「金崎選手が(途中出場で)入ってきて、サイドに流れてもらって、自分は中にいようと意識して、良いボールが来ました」
 
 鈴木のゴールで同点とした鹿島はその後、金崎の逆転弾で試合をひっくり返し、勝点3を掴み取ってみせた。
 
 鈴木は「2点取られる前に試合を決められれば良かった」「修正点はまだ多い」と課題を口にするが、自身は絶好調をキープ。3月10日のJ1横浜戦、4日後のACLのブリスベン・ロアー戦に続き、これで公式戦3試合連続ゴール。先発にこだわり続ける男は、清水戦でもスタメンに抜擢され、そして結果を出してみせた。
 
 抜群の決定力と勝負強さを誇る鈴木のさらなる飛躍が楽しみだ。
■試合レポート■
J1・4節/清水 2-3 鹿島

 J1リーグ4節の清水対鹿島戦が3月18日、IAIスタジアム日本平で行なわれ、鹿島が3-2で劇的な逆転勝利を収めた。鹿島はこれでリーグ3連勝、清水は連勝が2でストップした。
 
 立ち上がりは鹿島ペースで進んだ。ポゼッション率で勝るアウェーチームは、最終ラインから丁寧にパスをつないで清水を押し込む。中盤の遠藤康や土居聖真がボールを収めて起点になり、SBの山本脩斗、伊東幸敏が高い位置に進出した。
 
 37分には永木亮太のロングフィードを受けた伊東がクロスを供給。最後はこぼれ球に詰めた山本がシュートを放ったが、GK六反勇治のファインセーブに阻まれた。
 
 対する清水は攻撃こそ単発だったが、守備は極めて高い集中力を維持した。鹿島のサイド攻撃で押し込まれても、中央を固めてクロスを撥ね返す。そうして迎えた41分、まさにワンチャンスを生かして先制に成功した。
 
 GK六反のロングフィードを鄭大世がフリック。これを鹿島のDF植田直通がクリアミスし、ルーズボールを拾った金子翔太がGKとの1対1を制した。
 
 鹿島は前半終了間際にセットプレーの流れから鈴木優磨が決定機を迎えたが、シュートはまたもGK六反のファインセーブに阻まれ、そのままハーフタイムに突入した。
 
 ビハインドを背負った鹿島は、後半開始から山本に代えて西大伍を投入する。ゲームコントロール能力に長けた西を入れたことで、左サイドからの組み立てが精度を増した。
 
 61分には、その左サイドでのビルドアップから小笠原満男がサイドチェンジを入れ、右サイドを上がった伊東へ展開。伊東がボールキープから遠藤へとつなぎ、遠藤が左足でシュートを放ったが、惜しくも枠を外れた。
 
 しかし、鹿島が前がかりになって徐々に中盤にスペースが空き始めると、清水の攻撃にもリズムが生まれ始める。
 
 63分に右クロスに合わせた鄭が決定的なヘディングシュート。さらに67分には松原后のオーバーラップで左サイドの裏を取り、クロスのこぼれ球を拾った金子が決定的なシュートを放った。いずれもゴールにはならなかったが、その良い流れのなか迎えた70分、鋭利なカウンターから追加点が生まれた。
 
 左サイドでボールを持った鄭が中央へパス。これはDFに当たるも、こぼれ球を拾った金子がエリア内でキープして時間を作り、走り込んできた白崎のフィニッシュにつなげた。スコアは2-0。清水に大きな2点目が入った。
 
 だが、ここから鹿島が怒涛の反撃を見せる。まずは74分、遠藤のFKに植田がヘッドで合わせて1点を返す。さらに79分には、永木のクロスを鈴木がヘッドで沈めて同点に。わずか5分間でゲームを振り出しに戻した。
 
 勢いに乗った鹿島は、まだまだ攻撃の手を緩めない。83分には土居が金崎夢生との連係でエリア内に侵入し、最後はレオ・シルバがシュート。これはDFにクリアされたが、直後のショートCKで遠藤がクロスを供給すると、中央の金崎が1トラップからボレーを沈めて逆転に成功した。
 
 結局、そのまま試合は終了。鹿島が3-2で勝利を収めた。74分に挙げた植田の追撃弾から、85分の金崎による決勝点までは、わずか11分。まさに怒涛の猛攻で王者の底力を見せつけた。