ドラマにも見る 何か「違和感」を覚えたら、自分がシフトアップするサイン/内藤 由貴子
● 「違和感」とは…?
年頭に、どんな一年にしようかと、目標を定めた方も多いと思います。
タイトルに「違和感」と書きました。
私たちは、違和感を感じても、スルーしてしまうことが多いのではないでしょうか。
その「違和感」という言葉について、
先月、NHKの「あさイチ」という番組で、ゲストの川村元気さんが言っていたことが、とても印象的でした。
川村元気さんは、こちらも国民の8人に1人が見たという映画「君の名は。」のプロデューサー。
ご存じの方も多いと思います。
川村さんが言っていた話で印象的だったのは「(仕事で)やっているのは、人の中にある違和感を表に出すこと」という件。
そう、「違和感」なんです。
たとえば、川村さんの利用する駅のそばのポストの上に、いつの間にかクマのぬいぐるみが置いてある。
それを見て、みんな「誰がこれを置いたの?何で置いたの?」という違和感を感じたはず。
でも誰も何も言わない
(私の記憶だけなので、番組で話されていた内容は少し違うかもしれませんが。大意は同じなはずです。ご容赦ください)
そんな表現されなかった違和感を作品を通して表に出すことが川村さんの仕事なんだとか。
● 表現されて理解されるまで、多くの場合は時間がかかります
年末に話題になったドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」略して「逃げ恥」が、
「ムズキュン」なんて言葉を生みましたが、そのムズムズ感も、実は違和感では?
そして、「逃げ恥」のドラマを作った原作をはじめとする制作関係者、
または川村元気さんのようなクリエイターは、
その違和感を表現させて、ストーリーができていく。
ドラマや映画の形で、表現されていき、表現できなくてむずむずしていたことが表に出されるから
多くの共感を呼んでいるのではと思いました。
「そう!それが私の言いたかったこと」というような。実は、表現されるまで自分でも何を言いたかったのか、気づけないのです。
だから、表現されるとそこに共感が生まれます。
「逃げ恥」の場合、一つは主婦が言いたかったけれど言えなかった「主婦の労働価値」について明快に言ってくれた! ということです。
その一つが 家事をお金に置き換えたら?をしていること。 番組サイトは「専業主婦の今日のお給料」を計算してくれる仕組みまでありましたから。
さて、クリエイターは、その違和感をストーリーにして表現していくのが仕事なら、
私たち、フラワーフォトセラピストは、相談者の違和感を 表現されるようにサポートするのが仕事。
フラワーフォトセラピーの花の写真は、自分でも良く分かっていない感情をすぐに表に出させます。
感覚としては、ムズムズかもしれません。モヤモヤかもしれません。
ドラマネタなら、朝ドラ「べっぴんさん」のすみれちゃん風に言うと「なんかなぁ、なんかなぁ」です。
滞っていた違和感が、表に出されると、人は、自分の世界がより見えてきます。
その違和感は、ブロックやトラウマなんて大げさなものではないかもしれません。
でも、あなたの中の違和感が、表に出せて初めて、スッキリすると、具体的にはどんな感情かを知るだけで、あなたの次が開けるはずです。
なぜなら、自分の世界がより理解できるから。理解は、愛です。だから、自己理解によって、自己肯定感が高まり、自分をもっと好きになれるからです。
そして、セラピストがいれば、第三者の理解によって、あなたがシフトする次のステージが、より際立ってきます。
。
● 2017年は、サバイバルの年?
実は、ドラマネタで言うと今年の1月スタートの冬ドラは、心理ネタに事欠きません。
ざっと見ても、「大貧乏」や「就活家族」、「下剋上受験」なんて、タイトルからしてサバイバルなものが多いのですが、それも世界情勢の不安を反映しているのでしょうか。
サバイバルできるのは、結局のところ、自分が自分で決めた人生を生きることに他なりません。
アドラー心理学を小説にした「嫌われる勇気」がドラマ化されたので、一回目を視ました。アドラー心理学を無茶ぶりするような印象と、今のところ、主人公が単なるわがままにしか見えないのが、ちょっと残念。(私は、アドラー派ではありませんが。)でも刑事ものなので、サスペンス好きな私としては、今後が楽しみです。
この趣旨は、人に承認されるようと生きるのではなく、自分の人生を自分で選ぶという生き方にシフトすることがポイント。サバイバルには、「自立」という精神的な成長が不可欠です。
まだ始まってないのですが、「東京タラレバ娘」も、じつはそこがキモのよう。
そして、私がひそかに楽しみにしていたのが、
NHKドラマ10「お母さん、娘をやめていいですか?」(金)22時〜
これは、いわゆる母子密着状態の母と娘。母に自分がコントロールされていることに気づき始めて
母親から離れ自立しようとする娘を許せない母は、暴走し始めるということらしいのですが…
実のところ、セラピーの現場で、母に支配されている娘さんの苦しみ=自分で決められない、縛られている状態 に付きあうことは、しばしばありました。
実際の展開は、ドラマそのものにおまかせしますが、この場合、娘の自立はもちろん、母親も娘のコントロールという精神的支えを手放すことが、母親自身の自立だと受け容れられるかどうかが鍵でしょう。
こうしてみると、どのドラマも「違和感」が、カギになってるということです。
それは「自分を生きていい」はず。でも「今までは、自分を生きて来なかったのでは…」という「違和感」です。
その違和感が膨らんで、耐えられずに人は、自分の人生を変えようとし始めます。
「私、このままじゃ、ダメ」という感覚は、こころの奥、魂からのサインです。本当の自分を生きることを求め、そして、 なんとかしなきゃ、という意識が、アクションにつながっていく。
きっとその過程にあるときは、精神的にキツイと感じるでしょう。現状維持の方が楽ですから。
そして、その違和感の正体が何なのかも、最初はわからないでしょうから。
私たちセラピストの役割は、そこにお付き合いすることです。
そんなこころの「違和感」を表現できるよう、今年は特に意識しなくては、と感じています。何か心当たりがあれば、私たちに相談してみるのも手ですよ。