天皇陛下、タモリ、星野源、神木隆之介、のん…酉年生まれの著名人列伝

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明けて2017年は酉年である。よく干支(えと)というが、これは酉を含む十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)と、十干(じっかん。甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)を組み合わせたものである。干支は60年で一回りするので、ここから満60歳を「暦が還る」、すなわち還暦として祝う習慣が生まれた。干支でいえば今年は「丁酉(ひのととり/ていゆう)」にあたり、前の丁酉の年、1957(昭和32)年生まれの人が還暦を迎えることになる。この記事では以下、今年還暦の人をはじめ、酉年の著名人をあげていきたい。


「ポスト安倍」を狙う自民党57年組――1957年(昭和32年)生まれ


きのうの紅白歌合戦で「愛の讃歌」を歌い上げた女優の大竹しのぶは7月に還暦を迎える。女優では、かたせ梨乃、名取裕子、アニメ「アンパンマン」など声優としても活躍する戸田恵子、また故人ではあるが夏目雅子も同い年。

各界に目を向ければ、トランプ次期アメリカ大統領と面会したことも記憶に新しいソフトバンク社長の孫正義、NHK「クローズアップ現代」のキャスターを昨年3月まで23年間務めた国谷裕子、批評家の浅田彰、漫才師のオール阪神(相方のオール巨人は6歳上)、小説家の小林恭二、建築家の坂茂、バイオリニストの堀米ゆず子、マンガ家の柴門ふみ、高橋留美子、近藤ようこ、高野文子などといった人たちがこの年の生まれ。このうち高橋と近藤は新潟の高校の同級生で、ともに漫画研究会を創設したという話も。

スポーツ界では、日本リーグ時代より活躍するサッカー元日本代表で昨年までFC岐阜の監督も務めたラモス瑠偉、プロ野球・広島東洋カープの元エースの北別府学、柔道家で国民栄誉賞受賞者の山下泰裕、元体操選手でタレントの森末慎二も今年還暦を迎える。山下と森末はいずれも1984年のロサンゼルス五輪の金メダリスト。ラモスは昨年末に脳梗塞で緊急入院したのが気になるところだ。一日も早い回復を祈りたい。

昨年8月に発足した第3次安倍第2次改造内閣では、外相の岸田文雄が留任、石原伸晃が経済財政政策担当相として入閣する一方、防衛相の中谷元、地方再生・国家戦略特別区域担当相の石破茂が外れた。彼らもまた1957年生まれの年男である。石破は内閣改造に際して引き続き農水相の打診を受けていたが、ポスト安倍をにらんで断ったと伝えられる。その安倍内閣は、自民党総裁の任期が3期9年に延長されることがほぼ決まったこともあり、長期政権となる可能性も高い。石破らが首相となる日は来るのか。

政界ではこのほか、前首相で民進党最高顧問の野田佳彦、元宮崎県知事・衆院議員の東国原英夫も年男。東国原が宮崎県知事に就任し、そのキャッチフレーズ「どげんかせんといかん」が流行語になってから早いもので10年が経つ。

気鋭の女優の伯母は今年96歳――1921年(大正10年)生まれ 辛酉(かのととり/しんゆう)


首相・原敬が暗殺されたこの年生まれの著名人には、ソニー創業者のひとり盛田昭夫、マンガ雑誌「ガロ」の創刊編集長の長井勝一、コメディアンの由利徹、国民栄誉賞も受賞した作曲家の吉田正、「リンゴの唄」の歌手・並木路子、元財務相の塩川正十郎、ノーベル物理学賞の南部陽一郎などがいるが、さすがに存命者は少ない。そのなかにあって評論家の犬養道子は今年4月で96歳を迎える年女である。ちなみに犬養の祖父・毅は元首相であり、又従妹に元国連難民高等弁務官の緒方貞子、さらに異母妹にはエッセイストの安藤和津、姪に女優の安藤サクラがいる。

まだまだ現役の80代――1933年(昭和8年)生まれ 癸酉(みずのととり/きゆう)


日本が国際連盟を脱退したこの年、皇太子が誕生した。いまの天皇陛下である。同い年の著名人には、藤子・F・不二雄、伊丹十三、渡辺淳一、菅原文太、永六輔、平幹二朗などすでに亡くなった人も目立つ。しかし黒柳徹子は『徹子の部屋』を放送開始40年を越えてなお継続中であり、女優の草笛光子は大河ドラマ「真田丸」の臨終シーンでも簡単には死なず、俳優の笈田ヨシは演出を手がけるオペラ「蝶々夫人」の全国公演がまもなく始まるし、元プロ野球の投手で通算400勝を挙げたカネやんこと金田正一は83歳となったいまもビシバシ言わせている(たぶん)。同年生まれの元プロ野球往年の名選手にはこのほか、阪神初の日本一のときの監督である吉田義男、引退後は名評論家として活躍する佐々木信也、西鉄ライオンズ黄金時代の強打者で「怪童」と呼ばれた中西太がいる。

各分野においても、劇団四季を創立した演出家の浅利慶太、作曲家の一柳慧、一柳の元妻でのちにジョン・レノンと結婚した芸術家のオノ・ヨーコ、映画監督の吉田喜重と女優の岡田茉莉子夫妻、同じく女優の若尾文子、元女優・参院議長の扇千景、俳優の宍戸錠、歌手の菅原洋一、ペギー葉山、テレビプロデューサーで80年代の漫才ブームの仕掛け人のひとり澤田隆治、人形師の辻村寿三郎(ジュサブロー)、グラフィックデザイナーの仲條正義、写真家の細江英公、作家の森村誠一、中国文学者の中野美代子、ジャズサックス奏者の渡辺貞夫など一時代を築いた人が目立つ。

戦後とともに歩む1945年(昭和20年)生まれ 乙酉(きのととり/いつゆう)


終戦の年に生まれた著名人は、昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した分子生物学者の大隅良典、女優の吉永小百合、栗原小巻、波野久里子、富司純子、松島トモ子、宮本信子、鰐淵晴子、歌手の水前寺清子、作詞家の阿木燿子、ジャズサックス奏者の坂田明、書家の石川九揚、映画監督の小栗康平、原一男、柳町光男、作家の池澤夏樹、落合恵子、玉村豊男、辻原登、宮城谷昌光、村田喜代子、横田順彌、評論家の佐高信、ジャーナリストの櫻井よしこ、政治学者の福岡政行、マンガ家の黒鉄ヒロシ、永井豪、林静一、絵本作家の五味太郎、プロ野球・広島東洋カープの元エースの外木場義郎、プロゴルファーで日本女子プロゴルフ協会元会長の樋口久子、前自民党総裁で衆院議員の谷垣禎一と多士済々である。阿木や樋口のようにそれぞれの分野でパイオニア的存在となった女性も目につくのも特徴か。一方で、谷垣は昨年自転車事故で負傷後、思いのほか療養が長引いていることが懸念されている。

おっと忘れてはいけない、終戦の1週間後に生まれたタモリも年男。2年ぶりの出演となったきのうの紅白歌合戦では、マツコ・デラックスと異色の夫婦役で登場、おおいに笑わせてくれた。

SMAPが最後に歌ったあの曲の作者も――1969年(昭和44年)生まれ 己酉(つちのととり/きゆう)


アポロ11号が人類初の月面着陸に成功したこの年生まれには、ミュージシャンの槇原敬之(よく知られるようにSMAP「世界で一つだけの花」の作者でもある)、俳優・歌手の福山雅治、女優・タレントの富田靖子、鈴木杏樹、山瀬まみ、浅香唯、天皇家の第一皇女で現在は結婚して一民間人である黒田清子、画家の山口晃、映画監督の河瀬直美、将棋棋士の佐藤康光、前大阪市長の橋下徹、作家の金城一紀、諏訪哲史、和田竜、土橋章宏などがいる。このうち和田は『のぼうの城』、土橋は『超高速!参勤交代』をそれぞれ自らの脚本で映画化、時代劇に新風を吹き込んだ。

さらにスポーツ界ではアルベールビル冬季五輪(1992年)で活躍したフィギュアスケートの伊藤みどり(銀)、ノルディック複合の荻原健司(金。のち参院議員)、バルセロナ五輪(1992年)で優勝した柔道家で格闘家の吉田秀彦、第64代横綱・格闘家の曙太郎、プロゴルファーの丸山茂樹、プロ野球・中日の元選手でミスタードラゴンズとも呼ばれた立浪和義、競馬騎手の武豊らがこの年の生まれ。武豊は昨年、父で元騎手・調教師の邦彦を亡くし、さらに同じく騎手の弟・幸四郎が調教師免許を取得と、私的にも大きなできごとがあいついだ。年男となった今年、18歳でのデビューから30周年を迎える。

星野源と乙葉の共通点は?――1981年(昭和56年)生まれ 辛酉


今月8日から放送が始まる今年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の主演・柴咲コウは1981年生まれの年女。女優ではまたNHKドラマ「カーネーション」「夏目漱石の妻」での演技も印象深い尾野真千子も同い年。そのデビュー作は前出の河瀬直美監督の「萌の朱雀」だった。

昨年は「真田丸」「逃げるは恥だが役に立つ」と話題のドラマに出演し、歌手としても2年連続の紅白出場をはたすなど勢いづく星野源も1981年生まれ。「逃げ恥」最終回では、藤井隆が実の妻の乙葉と夫婦役で出演して話題を呼んだが、星野と乙葉は同い年にして誕生日も同じ1月28日である。

この年生まれの芸能人ではこのほか、年男に俳優の要潤、浦井健治、斎藤工、中村勘九郎(九代目)、関ジャニ∞の横山裕と渋谷すばる、EXILEのAKIRAとTETSUYA、年女には2000年代のグラビアアイドルブームを牽引したMEGUMI、山本梓、佐藤江梨子、安めぐみ、初期モーニング娘。の中核を担った飯田圭織と安倍なつみがあげられる。飯田と安倍が2日違いながら同じ病院で生まれたということは、モーヲタのあいだではつとに知られるところ。安倍は昨年、5歳下の俳優・山崎育三郎と結婚した。

野球界から1981年生まれを探せば、昨年108年ぶりに米MLBのワールドシリーズを制したシカゴカブスに所属する川崎宗則、そのカブスから昨シーズンより古巣ソフトバンクに復帰した和田毅のほか、岩隈久志(シアトルマリナーズ)、鳥谷敬(阪神)、糸井嘉男(同)などがいる。糸井は昨シーズンオフにFAでオリックスから阪神に移籍したばかり。

サッカー界でも元日本代表の阿部勇樹(浦和レッズ)、石川直宏(FC東京)、前田遼一(同)、松井大輔(ジュビロ磐田)、鈴木啓太(元浦和レッズ、一昨年現役引退)、駒野友一、田中マルクス闘莉王らがこの年の生まれ。駒野は昨年、磐田からFC東京に移籍、アビスパ福岡への期限付き移籍を経て11月に退団した。闘莉王も昨年1月に名古屋グランパスを退団後、クラブのJ2降格の危機に際して復帰したが、結局J1残留は果たせないまま11月に退団している。両選手とも今後の去就が注目される。

このほか各界の1981年生まれをあげるなら、トリノ冬季五輪(2006年)の金メダリストで現在はプロフィギュアスケーターの荒川静香、柔道家で北京五輪(2008年)金メダリストの谷本歩実は、元レスリング選手でロンドン五輪(2012年)金メダリストの小原日登美、囲碁棋士の河野臨、詩人の三角みづ紀、自民党所属の衆院議員の小泉進次郎などがいる。将来の首相候補という声もある小泉だが、父・純一郎が首相に就任した歳から逆算するならまだ23年もあり、先は長い。

映画、朝ドラ、五輪……各分野で羽ばたく1993年(平成5年)生まれ 癸酉


「君の名は。」の神木隆之介、「この世界の片隅に」ののん(本名・能年玲奈)と、昨年話題となったアニメ映画で主演を務めた二人はいずれもこの年の生まれ。のんとNHKの朝ドラ「あまちゃん」で共演した福士蒼汰と有村架純も同い年。きのうの紅白歌合戦で紅組司会の大役を果たした有村は、今春からの朝ドラ「ひよっこ」の主演でもある。その紅白で、AKB48グループから出場メンバーを決める視聴者投票により1位に選ばれた山本彩(NMB48)も今年が年女。一方、乃木坂46の橋本奈々未は、24歳の誕生日である来月20日をもってグループを卒業、芸能界からも引退する。

スポーツ界の1993年生まれとしては、昨年のリオデジャネイロ五輪のシンクロナイズドスイミングで2つの銅メダルを獲得した三井梨紗子も五輪閉幕後に現役引退の意向を示した。三井と同じくリオ五輪で活躍したレスリングの登坂絵莉(48キロ級・金)、体操の加藤凌平(団体総合・金)、卓球の石川佳純(女子団体・銀)、またリオパラリンピックでは惜しくも連覇を逃したが、前回ロンドンで金メダルを獲得したゴールボールの欠端瑛子、2011年に女子サッカーのワールドカップを制したなでしこジャパンではチーム最年少だった岩渕真奈もこの年の生まれである。

最後に、ひとつ前の酉年、2005年生まれの年女として、朝ドラ「あさが来た」でヒロインの少女時代を演じるなどドラマやCMに引っ張りだこの子役・鈴木梨央をあげたところで、あらためて新年のごあいさつを申し上げたい。みなさんにとって今年がよい年でありますように!
(近藤正高)