2016年12月12日、小田急江ノ島線特急ロマンスカー「えのしま74号」が車両故障のため運休し、一般車両による「代走」が行われるという、ちょっとした珍事があった。

当日朝の告知でこの事実を知り、意気込んだのは、多くの鉄道ファンたちだった。

ツイッターには、次のような写真付きのツイートも投稿され、注目を集めた。

ロマンスカー代走くるぞおおおおお!!!!!!!」という雄叫びがコメントとして添えられている。

ロマンスカーを一般車両で代走させるだと!?」


小田急30000形ロマンスカー「EXE」。写真はイメージです(Sui-setzさん撮影、Wikimedia Commonsより)

冒頭のツイートに続いて、多くのファンは小田急沿線へ馳せ参じたようだ。

この知らせは瞬く間に小田急沿線に広がる。ツイッターには、下のような動画付きのツイートも投稿された。

この動画は、「片瀬江ノ島駅発車後の車内放送」が録音されている貴重なものだ。車内では「臨時特急新宿行き」と呼ばれたようだ。また停車駅は、藤沢、大和、相模大野、新百合ヶ丘、新宿。特急券は各駅で払い戻しされると、アナウンスされている。

ツイッターには、途中駅からの報告が寄せられている。「これが問題の非ロマンスカーか」「通勤型のロマンスカーが来ました!!!」などといった感想だ。

ロマンスカー代走の臨時特急えのしま74号は、無事、新宿に到着した。

ところで、小田急ロマンスカーの一般車代走には「ウン十年振り」という噂がある。とにかくめったにお目にかかれないレアケースだ。いったい何十年ぶりなのか、過去の記録について知りたい、という人も多い。

Jタウンネット編集部は、小田急電鉄に電話で問い合わせてみた。

電話で答えてくれたのは、小田急電鉄CSR・広報部の担当者だ。「ロマンスカーの一般車代走は、過去に確かにございました」と担当者。ただし、正確な日時までは不明とのこと。

今回の事実関係については、こう説明してくれた。

「12月11日18時50分ころ、特急ロマンスカー(30000形)の車両に不具合を発見しました。運行途中で、乗客の皆様には他の電車に乗り換えていただき、故障車両は車庫に入れて修理作業に入りました。結局、その修理と点検が翌朝までに間に合わなかったため、一般車による代走となった次第です」

代走を行ったのは、1000形・一般通勤用電車。「代走電車に種別表示を行わなかったのは、一般のお客様が間違って乗ってこられないようにするためでした」と広報担当者は語る。

片瀬江ノ島駅を8時42分に発車し、途中、藤沢、大和、相模大野、新百合ヶ丘に停車して、新宿に到着した。「到着時刻は、予定より8分遅れの9時54分でした」と担当者。この遅れは1000形電車のスピード不足のためではなく、都心方面で多少の遅延が発生していたためだったとのこと。