団員は10代・20代! 若き力で「神楽」の伝統を守る
[Jステーション-広島ホームテレビ]2016年11月24日放送の広島HOMEテレビ「Jステーション」の「Jステ特集」のコーナーで、広島の伝統芸能である神楽が紹介されました。
広島には200以上の神楽団があるといわれていますが、安佐北区可部で活動する綾西神楽団は1981年結成、現在主な舞手は10代20代の若者で構成されているそうです。演出の若林佑紀さんは28歳ですが、神楽歴は10年以上。新舞といわれる創作神楽の初披露に向け練習を重ねていました。
初心者向けのわかりやすい演目
初披露された広島マリーナホップ(Taisyoさん撮影、Wikipediaより)
初披露の場は、若い客層でにぎわう広島マリーナホップで10月29日に行われました。マリーナホップでは「夜神楽」公演を行うなど力を入れているそうです。約150人の観客の前で新たな演目初披露。演目は「出雲建(いずもたける)」と「隠神(いぬがみ)」です。
「出雲建(いずもたける)」は豪族出身の出雲の首長出雲建が、一計を企てた日本武尊によって討ち取られるお話。「隠神(いぬがみ)」四国松山の化けタヌキ隠神刑部が稲生武太夫により封じられるお話です。2時間に及ぶ熱演でしたが、若林さんはまだまだ未熟だと反省していました。神楽を知らない人も多いので、わかりやすい演目を持って来たりするなど様々な工夫をこらす若林さんたち。「神楽を初めて観たけど こんなに面白いと思わなかった」という声もあるそうです。
北広島町大朝では11月5日に第53回大朝神楽競演大会が開かれ、演目の合間に神楽団のプロモーションビデオが流されました。このビデオを制作した門出佳大さんは35歳。工場勤務の傍ら、依頼があれば結婚式などのプロモーションビデオなども手がけているそうです。今大会のプロモーションビデオは、運営部の青年部から「何か特別なことがしたい」という話から始まったもので、門出さんはこのほか大会のCMも手がけています。そして門出さんはビデオ制作だけでなく神楽団の団員としても活躍しています。
門出さんは世羅町出身ですが、神楽の魅力に惹かれ郷之崎神楽団に入団し、大朝町に移住してきたそうです。郷之崎神楽団は150年以上の歴史を持つ神楽団で、古くから伝わる旧舞の継承がモットーの神楽団です。「伝統を大事にしようという志を僕らも受け継いで、また次の世代に受け継いで行きたいなと思います」と話す門出さん。
若い力が伝統を守り伝えようとする気持ちが、見ているこちらにも熱く伝わってきました。(ライター:石田こよみ)