聖カタリナ学園vs愛媛県大学選抜
135球5安打2失点（自責0）完投勝利の聖カタリナ学園・新保 雄太郎（1年・主将）
2007年にスタートした愛媛県野球フェスティバルでは2014年から全国的にも注目すべき試合が組まれている。名付けて「愛媛県大学・高等学校野球交流戦」。四国地区大学野球連盟各校の1〜3年生から選抜される「愛媛県大学選抜」と1年生大会優勝チームのうち1地区の優勝チームが対戦。一昨年は南予地区の大洲が現在・駒澤大2年の久保 翔磨（当時3年・投手）も加えた1・2年、昨年は優勝校の今治西が辞退したことで東予地区準優勝の西条が1・2年生チームで対戦し、貴重な経験を積んだ。
迎える3回目。今回「愛媛県大学選抜」は初の愛媛県内高校出身者のみの構成。対する中予地区1年生大会初出場初優勝・聖カタリナ学園も今年4月創部のため「オール1年生」構成。通常ではまず味わえない3〜5歳上の選手と対戦する点からも、さらなる関心が集まる一戦となった。
そして12時57分に始まった試合は2時間11分後。驚きの結果を残して終わった。「聖カタリナ学園5対2愛媛県大学選抜」。高校生と大学生が練習試合を行うケースは近年、決して珍しくなくなってきたものの、1年生チームが大学選抜チームに勝利したのは「快挙」といってよいだろう。
かつ試合内容も理詰め、素晴らしいものだった。3回までは昨年センバツで1勝をあげた松山東のエース・亀岡 優樹（愛媛大1年）のテンポよい投球に苦しんだ聖カタリナ学園だったが、4回表2番手の松山大2年左腕・渡辺 翔吾（東温高卒）に対し、一死から2番の大森 貴仁（1年・捕手・162センチ58キロ・右投左打・西予市立城川中出身）が11球粘って中前打。次打者の際に盗塁を決めると、4番・伊藤 絋輝（1年・遊撃手・166センチ55キロ・松山リトルシニア出身）の浅い中前打で捕手のタッチを交わし先制ホームイン。その際に抜け目なく伊藤は二塁を陥れ、5番・竹田 蓮（1年・一塁手・右投右打・170センチ63キロ・松山中央ボーイズ）の右前連続適時打を引き出した。
愛媛県大学選抜を破りグラブタッチを交わす聖カタリナ学園
その裏、先発の新保 雄太郎（1年・175センチ76キロ・右投右打・松山中央ボーイズ出身）が守備の乱れも絡み2点を失うも、その後は守備から粘り強く闘いチャンスを待った聖カタリナ学園。結果、8回表二死満塁から竹田 連が初球の変化球を狙い打った右前2点適時打で勝ち越すと、9回表にも二死二塁から1番・加形 篤史（1年・左翼手・176センチ69キロ・右投左打・宇和島市立広見中出身）が深めの外野守備を見計らったようなポトリと左翼手前に落とす適時打で計10安打5得点。
投げても新保が135球5安打6四死球5奪三振・自責点0で「今日は完投させることをテーマにしてマウンドに上げた」越智 良平監督の期待に応える高校初完投。「序盤からボール先行で球数も多かったが、みんなが声をかけて励ましてくれたことで9回になったら3回のような短さを感じた」未知の領域を冬の前に味わえたのは、春以降の戦いを見据える上で大きな収穫であろう。
最後に主将も務める新保は言った。「1年生大会ではけが人も多かったが、これまでの負けを忘れず『勝って冬に入る』ことをテーマに大学選抜に勝てた。だから、冬は質の高い練習を積み重ねて、春・夏にぶつけていきたい」
負けを糧に、大殊勲にもおごらず。2016年・愛媛の野球界にインパクトを残し続けた「赤い軍団」は、インパクトを超える結果を残す2年目に向かって、歩を進めていく。
（取材・文＝寺下 友徳）
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