「候補者の知名度を基準に選ぶ『人気投票』まがいの選挙はやめよう」と訴える古賀茂明氏

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14日に告示された東京都知事選挙。21人が立候補し、17日間の選挙戦がスタートした。

一時、都知事選候補として名前が浮上した、『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が立候補についての全顛末を明かす!

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7月11日から13日にかけ、都知事選の候補に私の名前が浮上した。11日早朝、民進都連の松原仁(じん)会長から電話を受け、会ってみると、私を“すぐ”民進候補として擁立したいという。以前から非公式な打診はあったが、正式なオファーは初だった。

ただ、市民との話もないまま出馬の安請け合いはできない。そう伝えると、「ならば、正式な『要請』だけでも受けてほしい」と懇願され、その日のうちに民進都連の幹部らと顔合わせの会合を持つことになった。

この席で私は薄黄色のワイシャツ一枚でノーネクタイというラフな格好だった。急だったので、上着もない。松原会長には「古賀さん、きちんとした服はないの?」と言われてしまった。

結局、この会合で私は「出馬要請は光栄」としつつも、出馬については保留した。

その夜、今度は民進の岡田克也代表から帝国ホテルの立派な部屋に呼ばれた。岡田氏は私に「最後まで一緒に選挙を戦ってくれますか?」と聞いてきた。その問いへの答えとして、私は以下の2点を伝えた。

「都知事選では、市民の声を結集した候補を擁立することが大切。すでに出馬表明している宇都宮健児弁護士や出馬予定のジャーナリスト、上杉隆氏との調整が必要だ」

「友人であるジャーナリストの鳥越俊太郎氏の出馬が取り沙汰されているが、それが事実なら私は彼の応援に回りたい」

ふり返れば、公務員改革を主張して経産省内で孤立していた私を官僚の身分のままテレビに出演させてくれたのが、当時、『スーパーモーニング』(テレビ朝日)のキャスターを務めていた鳥越氏だった。同じ時期に大腸がんの手術を同じ主治医にしてもらった“がん友”でもある。そんな縁もあって、実は1週間前、鳥越氏に「出馬するなら応援します」と伝えていたのだ。

私の鳥越支援のひと言に、岡田氏は「その方向で動きます」と答えた。そして、松原氏や共産党の小池晃書記局長に電話し、出馬をやめる意向を伝えた。

鳥越氏には電話で13日朝に出馬の意思を直接確かめた。その日の午後に予定されていた出馬会見には私も飛び入り参加して、彼にエールを送った。

その後、同じく都知事選への立候補を表明した上杉氏の会見にも顔を出した。「有権者のために上杉、鳥越、宇都宮の3候補が公約を公開で議論する場を設けてほしい」とマスコミに提案するためだ。しかし、ほとんど報じられなかった。

これがこの3日間の全顛末(てんまつ)だ。一連の行動で、私が伝えたかったのは次のようなことである。

近年、都知事選は公約や政策そっちのけで、候補者の知名度を基準に選ぶ「人気投票」まがいの選挙が続いていた。

だが、こんな愚かな選挙はもうやめよう。候補者の政策をきちんと吟味して投票するために、候補者が公約を議論する公開の場を設けるべきだ。

先の参院選で32の一人区すべてに野党統一候補が誕生し、かなりの効果が出た。だが、候補統一は単なる手段。重要なのは政策だ。各候補の公約を吟味する場は、市民が主体的に候補を選ぶために不可欠なのである。

政党主導ではなく、市民が主体となって候補を擁立する。そして単なる人気者でなく、良い政策を持つ候補を選ぶ。そんな本来あるべき選挙の実現に努力していきたい。

●古賀茂明(こが・しげあき)

1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)

(撮影/山形健司)