津田学園vs享栄
先発した北川投手(津田学園)
ベテラン柴垣旭延監督が復帰して4年目の享栄。10年ぶりの県大会を制したとともに、昨秋に続いての東海大会進出で、着実に古豪復活の兆しを示している。この日は、県大会でも好投し柴垣監督の期待も高い背番号10の二宮君が先発した。「入ってきた時から、3年の夏までに1試合を投げられるようになってもらえればと言うつもりで育てた」という投手だ。この春からは、その期待に応えている。
津田学園は180cmを越える大型選手が多く、登録メンバー20人中8人もいる。先発の背番号10をつけた北川君と久保田君もともに180cmを越える大型バッテリーである。身長が高いだけではなく、下半身もどっしりとした感じである。また、中軸を打っている押川君や広君などは、身長はそれほど高くなくても、しっかりとした体幹で、見るからにパンチはありそうな印象だ。
初回、津田学園は先頭の濱田君が中前打して、バントで進めると、内野ゴロで三塁へ進み4番広君の中前打で幸先よく先制した。反撃したい享栄は2回に二死から7番横山君が右中間に二塁打すると、続く野村君がしぶとく三遊間を破り、二塁走者が帰って同点。さらに享栄は二宮君が続き四球で満塁としたあと、早川君が三遊間を破って2者を帰して逆転した。
しかし、津田学園も参加には広君が二死一塁から左翼へ2ランを放って同点した。その裏、享栄は二死三塁として8番野村君の2類への内野安打で再びリード。こうして序盤は点の取り合いとなった。
中盤になって少し試合が落ち着いてきたが5回、二死二塁となって全打席で本塁打を放っている広君を迎えたところで、柴垣監督は二宮君を諦め、エースナンバーサイドスローの成田君を投入した。ここは、それが成功して成田君は広君を三振できる。
4回から東急のリズムを取り戻してきていた津田学園北川君は、持ち前のタテのカーブが決まり出して、4、5、6回を3人で退けていた。そして、いい流れで攻撃には入れた津田学園の7回、四球と濱田君の右越二塁打で無死二三塁、一死後3番押川君が、右翼へ運んで逆転の3ラン。さらに、広君四球後、岩木君と北川君の連打でもう1点追加して、津田学園はこの回4点を奪った。まさに、パンチ力のある津田学園のパワーが爆発したという感じでもあった。
成田投手(享栄)
反撃に転じたい享栄だったが、8回は二死二塁から野村君の右前打が出たが、米倉君の好返球に本塁で刺されて得点にならなかった。それでも、9回には2番早川君が安打して、北川君を引きずり降ろして、4番の代打太田君が安打するなどして1点を返して意地を示した。
柴垣監督は、「けが人も何人も出ていてね、そういう中でやらないといかんのだけれども、(普段出ていなかった野村君が3安打と活躍するなど)使った選手がある程度敵るなということもわかって収穫もありました」と、春季大会の成果もあげていた。ただ、成田君が打たれたことについては、「少し、高かったかなぁ」と、この日はいくらん球が浮き気味だったようだ。
パンチ力のあるところを見せて、逆転での勝利となった津田学園の佐川竜朗監督は、「最初は大事なところで内野が(失策=記録は内野安打)やって、暗い顔していたので、主将がいい顔してやらないといかんということを言っていたんです。それをベンチが盛り上げろということを言っていたのですが、7回本塁打して、会心の笑顔を見せてくれました」と、押川君の逆転3ランを喜んだ。
「大きい選手が多いように見えますが、実は小さい二遊間が核なんです」と、言うように、3番押川君、5番岩木君が鋭い打球を放って行きながら、広君の一発などで帰していくというのが゛パターンだという。そういう意味では、津田学園にとっては会心に近い形のいい試合だったようだ。
(文=手束 仁)