トータル4時間...大江戸線延伸を夢見る「大泉学園町〜東所沢」区間を徒歩で取材
光が丘(東京都練馬区)から「都営大江戸線」の延伸構想ルートを歩く企画。前回は1時間ちょっとで、ひとまずの目的地、大泉学園町駅(仮称)にたどり着いた。ここから先は「今後整備について検討すべき方向」(運輸政策審議会答申第18号)でしかなく、ルートもあいまいだ。
しかし、埼玉県新座市は「延伸することは市の悲願」と位置付け、2015年度の答申では、光が丘―大泉学園町と同様に「整備着手することが適当である路線」に格上げしてもらおうと、誘致活動にはげんでいる。
市は駅開業を機に、周辺の大規模開発を計画。「車両基地」の誘致もふくめて、延伸をアプローチしているという。そこまで熱を込めるのならば、すでにそれなりの「開発」がされているだろう。
期待に胸を躍らせながら16時10分、夕日に映える「ヤマダ電機」を後にした。ここからは周辺自治体が結成した「都市高速鉄道12号線延伸促進協議会」の資料を見ながら、手探りで歩いていく。
新座中央駅で飲んだ「砂まみれのネクター」
歩くこと10分。早くも新座市へ入った。しかし、ここから新座中央駅までは、いささか距離がある。資料によると、一時は途中駅として「新座南部駅(仮称)」も検討されたようだ。
土地収用済みの「緑フェンス」もなく、プリントアウトした資料と、スマートフォンの地図を見比べながら、オレンジ色に染まる道を歩いていった。
途中、幾度となく関越自動車道に引き寄せられ、ずいぶん遠回りをしてしまった。痛み始めた足をいたわりつつ、「みんなの力で大江戸線を新座市へ」の横断幕や看板にはげまされながら、17時ちょうどに新座中央駅と思しき場所へたどり着いた。
とはいえ、あたりは一面の畑。本当にここで合っているのだろうか。
計画図によると、このあたりには何本かの道路が新設され、その交点に駅ができることになっている。断定はできないが、「大体このへんであろう」と推測して、その場を後にした。
iPhoneで撮影したパノラマ写真
駅から「車両基地」へは数百メートル。その前に糖分を補給しようと、自販機で「ネクター」を購入した。おつりをつかむと、なにやらザラザラしている。商品を手にすると、不安は的中。風で舞い込んだのだろうか、私のネクターは砂ぼこりにまみれていた。
清瀬北部駅、東所沢駅、そして...
地図によると「車両基地」は、関越沿いの「中学校」の前にある。おそらく現在の新座消防署の敷地を考えているのだろう。消防署を横目に、関越をまたぎ、清瀬北部駅(仮称)へ急ぐ。途中で「にいざ温泉」なる施設を見つけたが、仕事中なのでなくなく断念した。
現在の新座消防署
ほどなく東京都清瀬市に入り、旭が丘団地を抜けると、清瀬北部駅であろう場所へたどり着いた。18時10分。ここは柳瀬川通りと、旭が丘通りが重なる「旭が丘交番」交差点だ。
柳瀬川を渡ると、武蔵野線の高架が見えた。ここからは埼玉県所沢市。歩道も街灯もない農道を、行きかう車におびえながら歩く。
20分ほど歩くと、道が開けた。途中に「名古屋」なるバス停を見つけ、気持ちが高まる。「名古屋から東所沢まで、5分で歩いたよ!」と自慢したくなったが、名前の由来は調べていない。
そうこうしているうちに、18時50分、JR武蔵野線の東所沢駅に到着した。光が丘からの歩行距離は、約4時間で19.1キロ。あくまで素人考えだが、「ずいぶん遠くまで延伸しようとしているな」との印象を受けた。
一面に広がる畑の地下を、リニアモーターの地下鉄が走る――。年度内にせまる答申がどうなるか気になるが、とりあえずは駅前の「日高屋」でビールをあおって、長旅の疲れをとるのだった。