大学ないのに「女子大駅」...千葉県内の「?」な駅で打線を組んでみた
駅名は、設置される地域にとって一種の名刺だ。
鉄軌道駅は全国に9000以上あるといわれる。新潟県の「燕三条」はライバル都市の名前をくっつけてしまったケースもあれば、長さ日本一を狙った「南阿蘇水の生まれる里白水高原」「長者ヶ浜潮騒はまなす公園前」のような例もある。
ほとんどは設置場所の地名や名所・名物にちなんでいる。しかし命名当時の当てが外れたり、時代を経て現状とズレが生じたり、どういうわけか別の言葉を採用してしまうところもある。
2ちゃんねるで最近、「神奈川の駅名詐欺の駅で打線組んだwwwwwwwwwwwww」なるスレッドが立っていた。
これに触発されたJタウンネットも、千葉県内から「なんかおかしくない?」という駅をピックアップし、打線を組んでみた。
「習志野」も「北習志野」も場所は○○市
1番バッターとして選んだのは新京成電鉄の「習志野」だ。人口約16万8000人の習志野市の中心駅であるかのように思えるが、住所は船橋市にある。隣駅の「北習志野」も同様だ。
新京成電鉄・習志野駅(QBKさん撮影、Wikimedia Commonsより)
2番目は2005年に開業した「流山セントラルパーク」。つくばエクスプレスの駅だ。同名の公園は実在せず、あるのは「流山市総合運動公園」だ。東武アーバンパークラインではないけれど、「カタカナの方がやっぱりカッコイイよね!」「ニューヨークのマンハッタンにある公園みたい!!」と誰かが判断したのだろうか。
つくばエクスプレス・流山セントラルパーク駅(QBKさん撮影、Wikimedia Commonsより)
打線は中軸に移る。編集部が3番に据えたのはJR外房線の「行川アイランド」(なめがわあいらんど)だ。1日の乗車人員が30人に満たない一種の秘境駅だが、レジャー施設の行川アイランド開園に伴って1970年に開業した。ところが行川アイランドが2001年に閉鎖されてしまい、利用者は激減。廃止話がたびたび持ち上がっている。
JR外房線・行川アイランド駅(sarugajyoさん撮影、Wikimedia Commmonsより)
「女子大」という駅名ですが近所にキャンパスは......
4番にしてピッチャー――編集部が絶対エースとして認定したのが、ユーカリが丘線の「女子大」だ。直球にもほどがあるネーミングなのに、ホームに女子学生があふれかえることはまずない。1日平均の乗車人員143人がその証しだ。近くにあるのは和洋女子大学のセミナーハウスだけ。キャンパスの全面移転を見越して命名されたが、実現しなかったのは言うまでもない。
ユーカリが丘線・女子大駅(掬茶さん撮影、Wikimedia Commmonsより)
次の打席で登場するのはJR総武線の「市川」。快速線も停車する大きな駅で、乗車人員は約5万8000人いる。しかし市川市の中心に近いのはお隣の本八幡駅の方だ。
JR総武線・市川駅(東京特許許可局さん撮影、Wikimedia Commonsより)
6、7番は千葉市内の駅を据えた。千葉モノレールの「栄町」は、千葉最大の風俗街の最寄り駅である。かつては市内有数の繁華街だった。しかし1963年にJR千葉駅が移転して急速に衰退し、今は見る影もない。その隙間に乱立したのが風俗店である(参照:そびえたつ天守閣ソープ...千葉市のど真ん中、斜陽の歓楽街「栄町」を歩く)。
千葉モノレール・栄町駅付近(編集部撮影)
7番を打つのは京成千葉線の「新千葉」だ。冠に「新」の文字が付くといかにもフレッシュ。しかし駅ができたのは大正時代の1923年のこと。開設当時はこれでよかったのだろうが......もう90年以上経つ。JR京葉線や千葉モノレールの各駅の方がずっと新しい。場所もニュータウンという感じではなく、現駅舎は昭和レトロ感が漂う。
新千葉駅(東京特許許可局さん撮影、Wikimedia Commonsより)
いろんな意味で無理がある「湖北」
野球チームの司令塔である捕手は8番を打つことが多い。本記事の選抜で選んだのは、JR成田線の「湖北」だ。手賀沼の北に位置することから命名された。
沼なのに「湖」としたのは取りあえず置いておこう。しかしグーグルマップを開けば分かる通り、手賀沼から若干離れている。どちらかというと、隣駅の東我孫子の方が湖北の名にふさわしいような......。
最後に取り上げるのは、銚子電鉄の「観音」。銚子市のもともとの中心部に位置し、真言宗の飯沼観音・円福寺にちなんで命名されたと推定される。
ところが駅舎は西洋の洋館風。建物内は銚子電鉄直営のたい焼き屋が入っていて、鉄道ファンにとってちょっとした名所となっている。
銚子電鉄・観音駅(Fillerさん撮影、Wikimedia Commonsより)