「僕がすごく興味を持っているのは、歴史は偉人たちだけで作られたものではない、ということなんです」

大河ドラマ『花燃ゆ』で、小田村伊之助として幕末の世を生きている大沢たかお。これから舞台は明治へと移り、激動の時代を生き抜いていく彼に、ドラマに込めた思いを語ってもらいました。

「”歴史劇”としては、たまたま歴史の分岐点で注目された人の名前がクローズアップされるけど、ほかにも優秀な人はたくさんいたし、名前が出る前に死んでしまった人もいっぱいいるんじゃないかと。ヒーローと呼ばれる人だけではなく、そういった人のことも見てもらえたらな、と思っているんです」

『花燃ゆ』以外でも、ドラマ『JIN-仁-』や映画『桜田門外ノ変』といった幕末を舞台にした作品に出演している大沢だが、そのたびに思うことがあるという。

「この時代にあふれていた”エネルギー”はどこに行ってしまったんだろうと。現代を舞台にしたら、幕末のように国を思うアツいドラマって作れないと思いませんか? そんな思いを政治家は語らないし、高校生や大学生が未来を憂いても、あの時代のようにはならないじゃないですか。まあ、時代の違いもあるから同じ線上で比較はできませんけどね」

そんなアツい思いを込めて撮影に臨んでいる、大沢のリラックス方法は?

「ん〜……、家で寝ることかな。特に今は現場に出ていることが多いし、外に出ていると気を遣わなければならないじゃないですか。だから、家にいられることが一番ですよね。それに外は暑いし(笑い)」

でも、夏休みはどこか旅に出たんでしょ?

「いえ、僕に夏休みはありませんでしたから。よりによって、夏休みの時期に撮影で僕の出番が多くなって」

それは”旅人”としては寂しいですね……。

「いや、何か僕のイメージとして”旅人”みたいなことを言われますけど、そんなことはないですよ。時間があれば旅に出ますけど、そんなに行っているわけではないですから(笑い)」

撮影/廣瀬靖士