反発の声も多いが…(画像はイメージ)

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繁華街を所在無げにうろつく女性に声をかける。そんな男性の姿を一度くらいは目にした経験があるかもしれない。俗に「ナンパ」と呼ばれる行為だが、禁止の是非を巡り、ネット上で議論が巻き起こっている。

ナンパ」に恐怖を訴えるひとが「禁止すべきだ」と主張する一方、「迂闊に道も聞けない」と反発する声も多い。

ナンパの定義は不明確

街中で見知らぬ人に声を掛けられた時、ナンパと並んで想起されるのが「キャッチセールス」だろう。街ゆく人を執拗に勧誘し、商品購入やサービス契約を促す悪徳商法だ。こちらはすでに各都道府県の条例で禁止されているほか、特定商取引法でも勧誘の際はその旨を事前に消費者へ告げるよう定められており、事実上違法とされる。

一方、ナンパに関しては該当する法律だけでなく、その定義も不明確だ。一般的には「街頭などで声をかけて、男性が女性を誘うこと」(大辞泉)だが、その後の展開を含めてさまざまな要因が絡み合い、線引きが難しい。

そんな中、先日教育現場でのドッジボールをめぐって問題提起したコラムニスト・勝部元気さんが「全面禁止」を訴えた。勝部さんは2015年6月11日のブログで「女性に関してはキャッチセールス以上に『迷惑』『恐怖』だと感じているのはナンパなのではないか」と仮定し、「(クラブなど)される側も望んでいる空間のみ合法とし、公道や公共性の高い空間(日常生活で使用する施設等)の場におけるナンパ行為は全面禁止とするべき」と主張した。同時に法改正や条例改正も求め、「キャッチセールス以上の厳しい罰則を設けて欲しい」とまで書いている。

ツイッターと口コミで調査した結果も公表、「相手の素性が分からない」「付きまとわれることもある」などの理由で約97%の女性がキャッチセールスよりナンパの方が怖いと回答したという。ただ、個別具対的な事例には触れていない。

ツイッターでは「なかなか面白い」「重罪で良い」など肯定的な意見が相次いで寄せられた一方、「頭悪すぎ」「暴論だ」「しょうもな」など否定的な意見も目立つ。

中には「ブサイクが女性に道を尋ねただけで、ナンパとみなされて冤罪をふっかけられて豚箱に入れられる」と予想する人まで現れた。

「つきまとい行為」で捕まるケースもある

もちろん、いかなるナンパも法に問われない、というわけではない。場合によっては行為自体が軽犯罪法や各都道府県の迷惑防止条例で禁止される「つきまとい行為」に該当することもある。

つきまとい行為を巡っては14年5月、新宿3丁目で女性をつけ回した朝日新聞長野総局の記者(35 当時)が東京都迷惑防止条例違反の疑いで警視庁に現行犯逮捕された。ナンパ行為だけで逮捕される可能性もゼロではない。

また、クラブやゲームセンターなど不特定多数が集まる店舗の一部は、客同士のトラブルを防ぐため「ナンパ禁止」を掲げているようだ。

ただ、やはり声をかけるだけで違法と認定するのは困難のようだ。法律ポータルサイト「弁護士ドットコム」には、ナンパに関するおよそ30件の相談事例が掲載されているが、回答を寄せた弁護士の多くが「声かけ自体が違法になる可能性は低い」との認識を示している。

ちなみに、「月間新規60人とナンパでSEX」を謳いナンパテクニックを事細かに指南する、ある人気ブログは「法律を守る」「女の子に嫌な思いをさせない」「違法行為をしていない証拠を残す」の3点を逮捕されない為の注意点として挙げている。