DMM亀山敬司×やまもといちろうスペシャルトーク第二弾として行われた就活生向けイベントの模様

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 DMM亀山敬司×やまもといちろうスペシャルトークの第二弾。今回はDMM.comの会社説明会で行われた対談を通して、最新の就職活動のあり方や企業の採用ポイント、DMM.comの今期の動きやグローバル戦略などを幅広く解説。就職活動中の学生の皆様は特に必見です。

発想と実現する力を備えている人が欲しい

やまもといちろう(以下、やま) 新しい仕事に打って出られるDMMとしては、今はどういう職種の人が欲しいとかありますか?

亀山敬司(以下、亀) 今は亀直や社内で、新しいアイデアが生まれてるんだけど、実行部隊が不足してるんだよね。つまり、発想力も欲しいんだけど、一方でそれを具現化できる人が欲しい。次はモバイルだ! 海外だ! と、やりたいことが増えてきたんだけど、結局それを具現化するには、エンジニアやディレクターなどが足りない

やま でも結構DMMモバイルとか、ふるさと納税とか、さまざまな新しい試みがいくつも始まってから、どれもすごい勢いで立ち上がったじゃないですか。

 スピードは大事だし「やれー!」って感じかな? スピードないと大手には勝てないからね。3.11震災のときに、100円を寄付したら200円になりますというダブルアップ寄付をやったけど、あれも企画から3日間で立ち上げた。あーいうのは震災が起きてすぐやらないと寄付が集まらない。

やま じゃあそのスピーディーな立ち上げに、発想と実現する力を備えている人が欲しいと。

 そうだね。俺もう50過ぎだから新しい発想も浮かばないし、実行する体力もないし。やってくれる社員が居ないと、資金ができても実行できないじゃない。だから新しいことをやりたい人、それを手伝いたいって人が欲しいかな。つまりウチの安定は「新しいことをやる資金を出せる安定」なんであって、公務員みたいな安定じゃないんだよね。

やま そりゃそうですよね。そういった安定を望んで来られても困ると。

 前に進みながら生き残ってるっていう安定を目指してるんで。

本当の「安定」とは時代に対応する力

やま 最近の人は、「安定」が大好きですよ。

 そもそも「本当の安定」って何かって話になるんだけど。さっき「公務員が安定」とか言ったけど、実のところ俺はそれをぜんぜん安定と思ってなくて…。新卒の人だと今から40年以上は働くよね。その間に公務員がギリシャみたいになったり、民営化が進むかもしれない。大手企業でも最近はどうなるか分かんなしね。ウチも含めてこれからはどんな会社に入っても、最後まで全うできるかは分かんないんじゃない。

やま 会社が無くなるとか、親会社から子会社に転職させられるとか、さまざまな事情でハシゴを外される、ということがあるわけですよね?

 うん。だからこれからは、時代の変化に対応する力を身に付けないといけないよね。だけど大組織っていうのは変化を好まないから、どうしても「考えろ」というより「今まで通りルールを守れ」が基本になる。でもそれだど組織の外では通用しないんじゃないかと思うんです。

やま ええ、仕事のやり方も会社の中だけで成立しているスキルが多いぶん、転職したりして外に出てったときに「それってなんの役に立つ能力なんですか?」ってことがよくありますね。

 先日やった「DMMふるさと納税」の時も、市役所職員の人に「時間がないので急ぎましょう。」と言っても、「寄付証明を1週間以内に出すルールがあるから準備がいる」とかどうでもいいルールを持ち出されて、なかなか進まなかった。

やま ザ・お役所仕事ですね。

 結局最後はみんな理解して頑張ってくれたんだけど、実際彼らに悪気はなくって。本当に自分達の責務はルールを守ることだ思っている。市民のためより組織のルールなの。だってそれが上司の評価基準だし、世間も税収を増やしても褒めないのに、ルールを破ると叩きまくるからね。

やま 決まった仕事をやっていれば、とりあえずは安定してますもんね。

 やっぱり組織が人を育てるんで、その中で頭の中が変わっていくと思うんですよ。公務員でも大手でも看板の大きな組織で馴染み過ぎると、看板から離れられなくなる。でも、会社にすがりつくほどリスクのあることはないよね。だって、パワハラされようがセクハラされようが、ここ辞めたら落ちぶれちゃうとか思うと、とにかくすがり付くしかないじゃない。

やま 新しいものにどんどん取り組んで、社会の変化に合わせてスキルも磨いていかなきゃいけない。また、いろんな人と会って仕事を受けなきゃいけない。職業人としてどうやって暮らしていくかって、ものすごい重要なことだと思うんですよね。

 テクノロジーの進化も早いので、40年間の間にいろんなことが変わる。ブルーカラーといった作業系が合理化されてきたけど、ホワイトカラーって言われてた仕事さえもロボット化されていくよね。

「頭を使わせてくれる会社」で自分を育てる

やま 人手がいらなくなっていくと、仕事の内容も変わっていくだろうと?

 結局安定が何かっていうと、昔みたいに就活して線路に乗ったら終わりっていう時代じゃないと思うんです。就職したあとも、自分に投資して、自立して、どこでも働けるようにならないと。だから若い人にはウチに来ないとしても「頭を使わせてくれる会社」を勧めるね。

やま そういう形で、仕事や自分のキャリアについて考えさせてくれる会社ってどうやって見分ければよいのでしょうか?

 今から就活であちこち回るんだろうけど、「楽しいよ! みんな仲がいいよ!」と良い事しか言わない会社には、意地悪な質問でもしてみたら? 痛いところを突いてくるやつを評価する懐があるならプラスになるし、そうでないならこちらからお断りでいいんじゃない?

やま 外資企業についてはどう思われます?

 例えばアマゾンだとしたら、アメリカの本社行くのはいいと思うけど、日本だと流通と仕入れしかやってないからね。ほとんどシステムは向こうにあるから、IT入ったと思ったら大間違いで、佐川に入ったと思わないといけないくらいのイメージで。

やま もう物流を極めたいという人しか、お勧めできないですね(笑)

 だから、そういったことも見極めないと、何をやらされるか。単なる名前だけで、今伸び盛りなのはアマゾンだ! アップルだ! と言っても、日本ではほとんどが流通や販売員だと思わないといけない。頭は向こうでこっちは手足だからね。どうせなら頭を取らないと「寄生獣」のミギーみたいに不自由を感じるんじゃない。

やま またコアな例えを持ってこられますね…(笑)

プロフィール

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数。DMMニュースでも連載「やまもといちろうのとっておき時事放談」を執筆中。

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プロフィール

DMMグループ会長

亀山敬司

石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めるも、めったに人前に姿を現すことがなく、その正体は謎につつまれている。