日テレでは、チーフアナウンサーが系列局女性アナにセクハラ行為

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   朝日放送(ABC)の男性アナウンサー3人がセクハラ行為をしたとして、ABCは2006年11月14日付で3人に懲戒処分を下したと発表した。それにしても、テレビ業界は日テレフジテレビ、今回のABCと、セクハラ事件のオンパレードだ。それも派遣、アルバイト、系列局アナといった弱い立場の女性を狙う悪質なものだ。

   06年に起きたテレビ局社員のセクハラ事件を見ると、いくつかの共通点が見つかる。06年9月にセクハラでチーフアナからヒラに降格された日本テレビの船越雅史アウンサーは、06年初夏に巨人の地方遠征に中継のため出張した際、遠征先の系列局主催の宴会に出席し、系列局女性アナにセクハラ行為をした。

女性派遣スタッフに飲酒を強要

   フジテレビの総務局次長は、06年8月30日に同局社員4人と約20人の外部スタッフによる懇親会で、「女性派遣スタッフに飲酒を強要したり、胸を触るなどしたセクハラ行為で降格処分を受けていたことが明らかになった」(06年10月23日: スポーツ報知)。
   ABCのアナウンサー3人にセクハラされたのは、それぞれ別の女性だが、

「女性3人はアルバイトや出入りのスタッフで、以前からセクハラ行為を受けていたという」(06年11月16日: 東京スポーツ)。

   つまり、被害にあった女性は、アルバイトや派遣社員、地方の系列局アナと立場が弱い女性ばかりなのだ。

   セクハラ問題を扱う行政書士の梅澤裕昭さんは、

「女性派遣社員、アルバイト女性へのセクハラ相談が非常に増えてきているんです。テレビ局も例外ではないのです」

とJ-CASTニュースの取材に答えた。

「逆らえばクビになるのではないか」

   つまり、男性社員は、仕事上の「上下関係」につけこんで、立場の弱い派遣などの女性に近づく。女性は、「逆らえばクビになるのではないか」と不安になり、被害を報告しない。その悪循環が続いてきたのだという。しかし、

「行政もセクハラ被害の窓口を設けるなど、セクハラが社会問題化し、女性達も『被害を訴えてみよう』という意識が出てきているんです」

   そのため、急にテレビ局内にセクハラ行為が蔓延したわけではなく、隠れていたものが顕在化してきたのだと梅澤さんは指摘する。
   もともとテレビ業界はこの手のセクハラが多いといわれていた。あるテレビ局の女性職員も、J-CASTニュースに対し、

「実態が表面に出にくかっただけで、セクハラは存在していた。いろいろな話は聞いている。今年から急に増えたわけではない」

と「常習性」を認める。梅澤さんが話すように、立場の弱かった女性がセクハラに立ち向かう姿勢を強くするなか、テレビ局のセクハラスキャンダルは今後も表面化する可能性もある。